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【禁聞】商業化が進む少数民族地区 千年の古城が廃墟に

2014年01月17日

【新唐人2014年1月17日付ニュース】中国雲南省のチベット人居住区であるシャングリラ県の旧市街地で11日、火災が発生し、旧市街地の3分の2が廃墟と化しました。2000人の消防隊が消火に当たりましたが、鎮火には10数時間かかりました。経済利益のために、歴史のある古城の開発のみに熱中し、安全問題を考慮しない地方政府に対する批判の声が聞かれます。

 

シャングリラの旧市街地は1300年の歴史があり、中国で最も規模が大きく、最もよく保存されたチベット族居住地です。古い歴史と文化を残してきたこの古城が、先日の火災で廃墟と化しました。

 

地元の旅館経営者によると、1月11日未明、商店街のある旅館から火が出ました。消防車が到着したのは通報から30分後でした。その間、ガス管が爆発し、辺りは火の海となり、壊滅的な火災となりました。

 

雲南省シャングリラ県獨克宗古城旅館経営者 呉さん

「多くの商店街が燃え、木造なので風で広がり、辺りに全部燃え移り、消火もできませんでした。給水栓にも水がなく、火が燃え続けました。人の死傷はないですが、経済損失が甚大です」

 

報道によると、旧市街地の総面積は1.5平方キロメートル。うち、3分の2の1平方キロメートルが今回の火災で焼けました。火災発生後、2000人の消防隊と消防車39台が消火に当たりましたが、火は10数時間も燃え続けました。

 

地元政府によると、火災によって242棟の家屋が全焼したほか、多くの文物や芸術品が焼失し、経済損失は日本円でおよそ17億円に上るそうです。

 

チベット人作家、ツェリン・オーセルさんは、シャングリラの旧市街地は近年、商業化が進み、「古城」とは言えないほど破壊されていたと述べます。

 

チベット人作家 ツェリン・オーセルさん

「千年の歴史のある建物などありません。今回焼けた区域の周辺にある寺院は文革時に破壊されました。シャングリラ最大の寺院—松讚林寺も文革時に破壊され、文革後に再建されました。だから ここには千年の古城などありません」

 

チベットの語源から「月光城」と呼ばれるこの旧市街地は、後に「中甸」と改名。2001年、地元政府は観光業を発展させるために「シャングリラ」と地名を変えました。

 

チベット人作家 ツェリン・オーセルさん

「『シャングリラ』と改名された後は急速に商業化しました。7〜8回行ったことあります。あちらに住んでいた時に目にしましたが、軒を連ねているのはほとんどがバーや商店、旅館などです。いわゆる『古城』は全部この有様です」

 

この旧市街地の起源は唐王朝時代にさかのぼり、茶馬古道(ちゃばこどう)の要衝(ようしょう)でもあります。2001年、地元政府によって雲南省の文化名城に指定されました。時事評論家は、中国共産党は民族文化の看板を掲げて、いわゆる文化古城を建設しては、それらを商業化していると指摘します。

 

時事評論家 刑天行さん

「安全面の問題など当局は考えません。1億元(17億円)の経済損失と言っていますが、もし本当に歴史のある物があるなら、この額で済まないでしょう。計り知れない損失です」

 

刑天行(けい)さんは、今回の火災は人々の心を痛ませていると同時に、観光地の開発のみを重んじ、古城の歴史と文化を保護しないと、中国の伝統文化は商業化が進む中で完全に消え去るだろうと話します。

 

オーセルさんは自身のブログの中で、ここ1年間、チベットで頻発している火災を挙げました。例えば、2012年12月29日、四川省のチベット族居住区新竜県の寺院で火災が発生し、120あまりの部屋が焼け、仏学院は本殿を除いて、全焼しました。

 

去年5月4日、同じく四川省のチベット族居住区白玉県(はくぎょくけん)の寺院で火災が発生し、数十の部屋と一部文物が焼失しました。

 

11月16日には四川省のチベット人居住区の別の寺院で、また火災が発生し、本殿が焼けました。また、一部僧侶が文物を保護しようとして負傷。

 

今年1月9日、四川省カンゼ県のチベット人居住区の仏学院で火災が発生し、200以上の部屋が焼け、僧侶や尼僧が負傷しました。2日後の11日未明、雲南省シャングリラ県の旧市街地でも火災が発生しました。

 

新唐人テレビがお伝えしました。

http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2014/01/14/atext1043635.html  (中国語)

(翻訳/坂本 ナレーター/水田 映像編集/工)

 

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