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【チャイナアンセンサード】厄介な外交問題「1つの中国」

2014年09月03日

今回の「クリスが見る中国の不思議」は「1つの中国」。

 

「クリスが見る中国の不思議」へようこそ。パラドックス王子、クリス・チャペルです。

 

中国は1つだけ!

 

問題は2つの政府が自分こそが中国だと主張しているのです。まずは中華民国、  即ち台湾。もう1つは中華人民共和国、即ち中国大陸。ややこしいですね。これは多くの国を悩ませる外交の難題です。

 

では、なぜ両国とも自分が「中国」だと主張するのでしょうか。

 

問題の始まりはこうです。清朝の滅亡後、孫文率いる国民党が1911年に中華民国を創建し、中国を統制しました。しかし 第二次世界大戦勃発後、日本と国民党は戦争になりました。日本の敗戦後、国民党が統治する中華民国は国際連合安全保障理事会で代表権を獲得、そして台湾を日本の50年の支配から取り戻しました。しかし毛沢東と彼の共産遊撃隊は中国を再び戦争に巻き込み、国民党に向けて開戦しました。彼らは長年国民党に勝とうとしましたが、返って自分が滅亡寸前に至りました。国民党は現代化装備を持った日本軍と8年間も戦っていたので、国民党の最盛期は既に過ぎていました。

 

1949年、共産党が大陸を統治し、中華人民共和国を樹立しました。国民党は台湾へ撤退し、中華民国政府も台湾に移転しました。だから今 二つの政府が中国の統治権を主張しているのです。しかし 他の国々はとても困っています。どちらが合法的な政府なのかと。これが問題となるのはどちらが「中国」を代表するかによって、安保理での常任理事国の席が得られるからです。

 

これだけではなく、1950〜60年代共産主義は国民を飢餓に陥らせたり、民衆を虐殺したりしました。冷戦時代だった当時旧ソ連が既に安保理の常任理事国となり、米国、フランス、英国は台湾を中国として認めようとしました。

 

しかし1970年代、中国は旧ソ連と仲が悪くなりました。ニクソン大統領は中国を旧ソ連を抑制する道具と見なし、ベトナム戦争を終わらせる方法と見なしました。そして中華人民共和国との関係正常化を推進し始めました。毛沢東も安保理での1票の重要性を意識したのでしょう。そこで、中華人民共和国が「中国」として認められたら、その「中国」には台湾も含まれます。このようにして中華人民共和国は「中国」と認められました。これがまさに世界で人権侵害が最も酷い国が安保理の人権問題担当の理事国になれた経過です。

 

では「2つの中国」にもたらした影響とは?中共が統治する中華人民共和国は台湾を未回収の1つの省と見なし、台湾を必ず回収すると宣言しました。「必要なら武力行使してでも、長年外で漂流している中華民国を回収する」と。台湾海峡の対岸には台湾に照準を合わせたミサイルが数多く配置されています。2012年には1600発を超えるミサイルが配置されました。では、なぜ台湾に侵攻しないのでしょうか?米国が軍事面で台湾を援助し、さらには電波塔を建てて、中国に民主主義を伝播しているからです。

 

米国極東陸軍司令官であったダグラス・マッカーサー氏はかつて、「台湾は1隻の沈まない航空母艦だ」と喩えました。米国も「台湾への挑発は米国への挑戦だ」と態度をはっきり表明しました。これで米国が中国を「中国」と認めたわけではありません。一方、世界ほとんどの国は中華人民共和国を「中国」と認めています。スパーパワーを持つ米国は、どれが「中国」なのか言っていません。米国政府の立場は両者ともが「中国」と主張するのを認めています。台湾が主権国家でないことに同意し、「中国」と言える独立した国ではないことを認めています。しかし中華人民共和国の台湾に対する主権も認めていません。

 

一方、他の国は大陸側に立たなければ、厄介な事を招きかねません。中国は安保理の常任理事国の否決権を使って、「国際連合平和維持活動」の決議を否決、または否決するよう脅したりするからです。

 

例えば、1996年のハイチ、1997年のグアテマラ、1999年のマケドニアの問題において、そのようにしたことがあります。マケドニアはそれが故に台湾と断交しました。

 

日本も似たような外交の難題に遭遇しています。まず日本と中国の関係はうまくいっていません。「3.11」東日本大震災2周年記念の時、日本側は台湾を含む外国公使の席を準備しましたが、中華人民共和国の代表は激怒しました。「中華民国の代表と同じ待遇?台湾は1つの省にすぎず、 独立国ではない」と。結局中華人民共和国は追悼式に参加することを断りました。

 

では、なぜ日本は深く考えずに台湾と中国を平等に扱ったのでしょうか。まず、これは大震災の追悼式であり、次に台湾は約2億ドルを援助しました。ほかの127か国の総和よりも多いのです。実は東日本大震災1周年記念の時、中共の制御を受けていた日本の民主党当局は台湾の代表を「民間組織の代表」と扱い、一般席へ配置しました。台湾の援助を考慮し、多くの日本国民は政府の屈辱的な外交に相当不満を持ちました。当時の野田佳彦首相は台湾に謝罪せざるを得ませんでした。

 

しかしこのすべての中で、最も人をがっかりさせるのは世界各国の中国語学習者なら誰もが直面する問題——つまり、漢字の書き方の崩壊です。台湾では伝統的な漢字が使われていますが、中華人民共和国ではなく、その以前の大陸で数千年も使われてきた漢字です。今の中華人民共和国では簡体字を使用していますが、それは中国共産党が発明したもので、一部は本来の意味が変えられています。だからあなたが今学んでいる漢字は数千年の歴史を持つ、奥深い内包のある中国文化ですか?それとも十数億人が、今使っているもの?将来はどうなるでしょう。

 

米国の台湾への支持とアジア太平洋地区の軍事配置もあるので、だから中国は台湾へ軍事的に侵入しないかも知れません。しかし台湾の今の総統・馬英九氏は5年の任期中に両岸関係を過去の60年間よりも近づけました。だから彼は台湾で批判を受けています。例えば、彼は幾つかの貿易協定にサインしましたが、一部の人は台湾の利益を損なっていると考えています。馬英九政府はまた中国人に旅行ビザを開放しました。これは台湾の利益を大陸に売っているのでしょうか?それとも大陸の人に対岸の台湾の生活ぶりが伺えるチャンスを与えるのも悪くない?台湾は今民主主義ですから。

 

しかし中華民国の崩壊または共産中国によって消耗されることを容認する台湾総統は一人もいないでしょう。そして目にしているように、中国大陸が台湾へ侵入する可能性は低いのです。

 

そこで疑問点は、もしある日中共が崩壊し、中国大陸への支配権を失ったら?人々は1949年中共が政権を取った時から、その日の到来を予言してきました。今の指導者、習近平も腐敗は党を滅ぼすと言いました。現在中国を困らせている経済、社会と政治問題には触れずに。だから中華人民共和国が崩壊したら何が起きるのでしょう。中華民国が再び中国大陸を支配できるでしょうか。中共に替わって新しい政府ができたら、「1つの中国」問題はまだ続くのか。或いは台湾は独立国家になれるのでしょうか。

 

皆さんはどう思いますか?

 

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では、また次回お会いしましょう。

 

https://www.youtube.com/watch?v=MZqVv2wj6C4

 

(翻訳/駒崎 編集/坂本 映像編集/李)

 

 

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