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忍の話―忍びこそ、本物の強さ

2010年03月02日

 

【冒頭の詩】
宇宙はもともと「真・善・忍」
忍び譲れば大物になる
忍んだ韓信は将軍になり
短気な項羽は民心を失った
「忍」は心の上に刃物
忍びこそ本物の技
 
 
【あらすじ】
「強い人間になりたい」これは誰もが抱く願いだろう。だが、真の強さとは一体何なのか?けんかなら誰にも負けないほどの怪力?それとも、誰もが押し黙ってしまうほどの舌鋒(ぜっぽう)の鋭さ?
 
だが、今回の物語の主人公、韓信(かんしん)は違う。韓信は、前漢を創立した劉邦(りゅうほう)につかえた将軍で、数々の戦いに勝利した名将だ。実は少年時代、韓信はあるごろつきから辱め(はずかしめ)を受けた。体格が立派で、武術にも優れていた韓信ではあったが、けんかを売ってきた相手にやり返すこともなく、ただひたすら耐え忍んだ。(「韓信の股くぐり」)
 
周りから見れば、韓信は意気地のない、弱虫に映ったかもしれない。だが、本当に心の弱い人間は、屈辱に黙って耐えられるだろうか?つらいこと、苦しいことを前にしても、心は決して揺るがない。これこそが真の強さではないのだろうか?
 
では「忍」の字を見てみよう。「忍」の上には、「刃」があり、その下には「心」がどっしりと構えている。すなわち、心臓に「刃」物が突き刺さるほどのつらい目に遭っても、「心」はどっしりと構え、決して動ずることがない。これこそ「忍」の真髄なのである。
 
このほか、「大興(だいこう)和尚」の物語もご紹介。どうぞお楽しみに。
 
【漢字について】
1、甲骨(こうこつ)文字:
四千年近い歴史を持つ漢字の中で、最古のものとして残っているのが甲骨文字。殷の時代、国にとって重要なことがあると、亀の甲羅や牛の骨を焼いて占った。そのひび割れで出た占いの結果は、刻して記録された。この際使われたのが、甲骨文字だ。
 
2、金文(きんぶん)文字:
甲骨文字の後、つまり殷・周から秦・漢の時代まで使われた文字。青銅器に刻されたり、鋳込まれたりした。ここでの金は、青銅器を指す。当時は、官職に任命されたり、戦功を上げたりすると、それを青銅器に記録したという。
 
3、小篆(しょうてん)文字:
金文の後に誕生したのが篆書(てんしょ)。これは小篆と大篆に分かれる。秦の始皇帝は、まちまちだった文字を統一し、標準書体を定めた。これが小篆である。
 
4、楷書(かいしょ):

南北朝から隋唐の時代にかけて標準となった書体。漢の時代まで使われた隷書から発展したもの。

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