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海外での消費を厳しく監視へ 資金流出防ぐ狙い

2017年06月10日

【新唐人2017年6月10日】

中国国家外貨管理局は、9月1日より中国の銀行カードによる海外取引と千元以上の消費について、銀行が同局へ報告義務を導入すると発表しました。休日も含め毎日12時までに銀行カードによる海外取引についての報告を義務づけます。

 

外貨管理局はデビットカードとクレジットカードなどに限らず、申告はカードを発行した金融機関が行うとして個人が申告する必要はなく、カード利用料には影響しないと強調しています。

 

浙江財経大学経済国際貿易学科教授 謝作詩氏:「人民元の下落と、資本が海外に流出するのを恐れているのです。そうした事態が発生するのを防ぐための措置です。」

 

浙江財経大学教授の謝作詩(しゃ さくし)氏は、大量の資金が海外に流出すれば人民元の下落を招くことになるため、当局は厳しい監視に乗り出したと指摘しています。

 

謝氏によると、中国の資本市場は自由市場ではないため、海外に資本を持ち出すには制限がありますが、規制を逃れて大量の資金を海外に持ち出す者もいるといいます。そこで銀行は、海外への資金流出が合法的か否かを厳しく監視することになったと指摘します。

 

米国在住中国問題研究家 張健氏:「昨年末から中国の外貨準備高は3兆8000億ドルから3兆ドルに激減しています。もし中央銀行がこのまま関与しなければ、外貨預金はさらに大幅に減少するでしょう。」

 

国際金融業協会の調査では、2015年に中国から海外へ流出した資金は6760億ドルに上るとしており、ブルームバーグの調査では1兆ドルとしています。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』はこれについて、海外流出の史上最高記録であるとし、政府の経済運営能力に対する投資者の信用の失墜を反映していると指摘しました。

 

米国在住中国問題研究家 張健氏:「中央銀行は1ドルに対し6元以上の人民元を発行するという政策を行っています。ですが、資本が海外に流出し、ドルが国外へ出てしまえば、これらの人民元は価値がなくなってしまいます。国内の市場に留まり続け、非常に大きな問題となります。」

 

米国在住の中国問題研究家、張健(ちょうけん)氏は、これまで20年以上にわたり、汚職役人と太子党(中国共産党の高級幹部の子弟)が不当に得た巨額の人民元をドルに換え、国外に持ち出すことを繰り返してきたため、国内市場の物価をつり上げ、中国の資本を著しく搾取してきたと指摘しています。

 

張氏はまた、中国が人民元を国外で上昇させ、国内で下落させる政策は企業が発展するのを妨げたため、将来に不安を感じた中国の企業家があらゆる手段を講じて資本を海外へ移していると指摘します。

 

サウスカロライナ大学教授の謝田(しゃ でん)氏は『新唐人』の取材に対し、中央銀行が今回発表した1000元以上の消費申告の政策は、資金の海外流出と外貨輸出の減少が加速化しているのを示していると指摘しています。

 

実際当局はこれより前に海外での中国の銀行カードの利用を制限するという手段に出ています。銀聯カードで海外で引き出すことのできる金額は1日1万元、年間10万元までに制限しました。今年3月には中国本土で発行された銀聯カードを使って海外の不動産を買うことを禁止しています。昨年12月以降にはマカオのATMで銀聯カードで引き出せる金額は1度につき5000マカオドルまでに制限されました。

 

張氏は、内需を拡大できる能力のある中国人はみな海外で消費しており、消費能力のない中国人が国内に取り残されていると指摘します。ですが、中央銀行が実施しようとしている外貨資本の「ファイアウォール」は人道にもとるものです。個人の資産の使い方を誰かに指図を受けるべきではありません。中央銀行のやり方では、国内外の中国人に人民元の有効使用を促すことはできないと張氏は指摘しています。

 

新唐人テレビがお伝えしました。               

http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2017/06/05/a1327705.html(中国語)

(翻訳/白白 ナレーター/佐藤 映像編集/李)

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