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象の話ー穏やかな心と優しい気持ちを胸に

2012年05月08日

 【冒頭の詩】

大人も子供もたくましい
長い鼻で何でも出来る
大きな耳をあおいで涼む
暑さ寒さ苦手で、お風呂好き
争いをせず、心が広い
心優しく寿命も長い
 
 
【あらすじ】
動物園で人気者の象。その巨体は圧倒的だ。二メートルもある長い鼻に、人の二倍ほどの背丈(せたけ)、そして車五台分の体重など。けれど、実は心優しい。これこそが人気の秘訣かもしれない。
 
日本でよく知られる象の話といえば、「かわいそうなぞう」であろう。第二次世界大戦末期、動物園が攻撃されたら動物たちが街へと逃げ出し人々を襲う、という理由で上野動物園の動物たちは殺されることに。だが、象はどうやっても殺せない。毒入りの餌を与えても吐いてしまうし、毒の注射を打とうとしても針が折れてしまう。そこで、餌を与えず餓死させることに。すると象は餌をもらおうと、必死に芸をするのだったが…
 
はるかはるか遠い故郷から連れて来られた象。一転、人間の都合が悪くなると、その命さえ奪おうとする。そんな身勝手な人間を前にしても、象は静かだ。ただただ、わずかな希望に望みをつないで、出来る限りの曲芸を披露するのだ。
 
人からいじめられても、傷つけられても反撃しない。常に穏やかな心と優しい気持ちを胸に抱く。象が見せてくれたこれらは、もしかすると人間にとって一番大切なものなのかもしれない。
 
今度動物園で象を見かけたら、ぜひこの話に思いをはせてほしい。大きい象がもう一回り大きく見えるはずだ。
 
 
【漢字について】
1、甲骨(こうこつ)文字:
四千年近い歴史を持つ漢字の中で、最古のものとして残っているのが甲骨文字。殷の時代、国にとって重要なことがあると、亀の甲羅や牛の骨を焼いて占った。そのひび割れで出た占いの結果は、刻して記録された。この際使われた文字が、ずばり甲骨文字。
 
2、金文(きんぶん)文字:
甲骨文字の後、つまり殷・周から秦・漢の時代まで使われた文字。青銅器に刻されたり、鋳込まれたりした。ここでの金は、青銅器を指す。当時は、官職に任命されたり、戦功を上げたりすると、それを青銅器に記録したという。
 
3、小篆(しょうてん)文字:
金文の後に誕生したのが篆書(てんしょ)。これは小篆と大篆に分かれる。秦の始皇帝は、ばらばらだった文字を統一し、標準書体を定めた。これが小篆だ。
 
4、楷書(かいしょ):
南北朝から隋唐の時代にかけて標準となった書体。漢の時代まで使われた隷書から発展したもの。
 

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