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家の話ー「家」にこめられた古人の思い

2012年06月16日
 
 
 
【冒頭の詩】
どの家にも悩みがある
外に漏れたら恥になる
父は慈しみ、子は孝行する
夫婦は一生愛し合い
兄弟姉妹は心を一つに
一家は楽しく、万事は盛んに
 
 
【あらすじ】
家屋と豚に関する漢字といえば?……実は「家」。ご存知、「宀(うかんむり)」は屋根のある家屋を表し、「豕(いのこ)」は「豚」の昔の字。でも、なぜこの二つが組み合わさったのか?
 
もちろん人が過ごすには、雨風を避けるための家屋が必要だ。そして人が豚を飼うのにも大きな意味がある。豚はほかの家畜に比べて、繁殖力が強い。例えば、豚はわずか四ヶ月で一度に12匹も産める。一年で二回ほど出産するから、年間合わせて約24匹産めることになる。中国人は子孫繁栄と幸せを強く願うので、豚をそのシンボルにしたのだろう。
 
忙しい現代人にとって、「家」は単に食べて寝るだけの場所かもしれない。しかし、古人は違う。人生はここで始まり、ここで終わる。若いとき各地を旅していても、最後には帰郷を願うものだ。我が家は、何よりも大切な居場所だから。きっと、この「家」の字には、そんな古人の熱い思いがこめられているに違いない。
 
さて、皆さんは「家」にどんな思いを持つだろうか?今一度我が家の温かさ、ぬくもりに思いをはせてみたい。
 
 
【漢字について】
1、甲骨(こうこつ)文字:
四千年近い歴史を持つ漢字の中で、最古のものとして残っているのが甲骨文字。殷の時代、国にとって重要なことがあると、亀の甲羅や牛の骨を焼いて占った。そのひび割れで出た占いの結果は、刻して記録された。この際使われた文字が、ずばり甲骨文字。
 
2、金文(きんぶん)文字:
甲骨文字の後、つまり殷・周から秦・漢の時代まで使われた文字。青銅器に刻されたり、鋳込まれたりした。ここでの金は、青銅器を指す。当時は、官職に任命されたり、戦功を上げたりすると、それを青銅器に記録したという。
 
3、小篆(しょうてん)文字:
金文の後に誕生したのが篆書(てんしょ)。これは小篆と大篆に分かれる。秦の始皇帝は、ばらばらだった文字を統一し、標準書体を定めた。これが小篆だ。
 
4、楷書(かいしょ):
南北朝から隋唐の時代にかけて標準となった書体。漢の時代まで使われた隷書から発展したもの。
 

 

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