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カルテ(二十八)―災いを防ぐには心から

2010年05月12日

「口が災いの元」とはよく言ったものだ。実際、思わず漏らしてしまった一言が重大な結果を招いてしまうことは数知れない。特に言葉が命とも言われる政治家が、これで失脚する羽目になるなど、日常茶飯事だ。 

人の命を預かる医者にとっても、言葉は極めて大切である。今回ご紹介したカルテのように、医者のふと漏らした言葉が患者の心にいつまでも残って、ひいては病状の回復にまで影響することさえあるからだ。
 
誰もが痛いほど分かる言葉の大切さ、それなのにこの言葉のために失敗をする例は枚挙にいとまがない。本人も分かっているし、周りのマスコミも絶えず警告を発している。それでも、この失敗が絶えることはない。では、どうすべきか。危ういことや微妙なことには一切触れなければよいのか。
 
胡先生はずばりこう言う。「悪い言葉を発することが問題なのではない。問題は、その悪い言葉を発する考えなのである」
 
つまり言葉を慎重に発するのが重要ではなく、肝心なのは言葉を発する源――頭の中にある考えを良いものにすること。確かに、この点こそ言葉での失敗を防ぐ根本的な対処法かもしれない。大変シンプルな発想ではあるが、意外に核心を突いているのだろう。

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