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冬の滋養―今は栄養より運動に注意を

2010年07月22日

「冬の滋養」。中国にはこんな言葉があるという。恐らく栄養状態があまり良くなかった昔、厳しい寒さに耐えて冬を乗り切ろうと、栄養価の高いものを積極的に取ったのであろう。日本では逆に夏ばてを防ぐために、夏こそ精のつくものを食べようという雰囲気が強い。土用の丑の日のうなぎが良い例だ。ただ通常、現代人は日頃から肉・魚などを取り入れているため、特別気を使う必要はないのではないか。

とはいっても、冬、特に高齢者にとっては要注意だ。確かのこの季節、突然体を壊したり亡くなったりする方が多い。これは栄養状態というよりも体が回りの環境に対処しきれないことが原因だ。例えば急に寒い所に入ったり冷気に当たったりする場合。現代医学では高血圧を招くとして注意を呼びかけているが、漢方でも同様だ。「寒束経絡」といって、経絡が寒さによって流れが滞るとトラブルを招く。
 
もう1つ面白いのは、五行の相生相克を活用した理論だ。冬は水に属するが、この水は火を制する。そして火は心臓を指すので、寒い冬は心臓の病気に要注意なのだ。この時期は、急激な運動よりもゆったりとした動きのスポーツ、例えば太極拳や気功、座禅がお勧めだという。

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