【新唐人2014年4月13日ニュース】最近、世界貿易機構WTOの専門家グループは中国政府の17種以上のレアアースおよび鉱物2種の輸出制限は国際貿易の原則に違反しているとの見解を示しました。中国当局はこの輸出制限を環境保護が目的であると主張していますが、WTOの専門家グループに否定されました。鄧小平時代から、中国共産党は「中東に石油があるように、我々にはレアアースがある」という考えを示していました。この中にはどのような秘密が隠されているのでしょうか。
2年にわたる調査を経て、WTOの専門家グループは3月26日、261ページに及ぶ報告書を発表し、中国はレアアース、タングステン、モリブデン製品の輸出関税、輸出量及び、輸出関連企業に対して与えた輸出業績と登記資本金要求はいずれも「1994年関税及び貿易に関する一般協定」および「中国の加入議定書」の関連規定に適合していないと指摘しました。
中国商務部条約法規司・楊国華副司長は、中国の2つの方面がWTOの規定に適合していないと認めました。1つはレアアース輸出における増税で、もう1つは輸出枠の制限、つまり毎年一定量のレアアースしか輸出できないという事です。
WTOの慣例によると、専門家グループの報告から60日以内であれば、中国側が上訴可能で、最終裁決が発表されるのは3〜4ヶ月後になります。
北京師範大学のMBA教官・段紹訳さんは、北京がレアアースの輸出制限をしなければ、世界のレアアース価格は下落すると予想しています。
北京師範大学MBA教官 段紹訳氏
「間違いなく価格は下落し、競争も多くなるでしょう。世界にとってみれば、貿易が自由になるほど、資源の分配は合理的に効率的になります。しかし、利益集団はいつも自分の最大限の利益の保護が目的です」
レアアースは17種の特殊金属元素の総称です。別名「工業ビタミン」とも呼ばれ、ミサイルからコンピューター、携帯電話などのチップにまで幅広く応用され、欠かすことのできない原料です。
中国は長期にわたって、世界の23%のレアアース、47%のタングステンの埋蔵量を誇り、国際市場に90%のレアアース製品および80%のタングステン製品を提供していました。
2011年、WTOは中国の原料輸出制限は規定に反すると裁定しましたが、指摘した9種の原料の中に、レアアースは含まれていませんでした。2012年、米国、日本、EUは再度中国のレアアース輸出制限は国際貿易の原則に反するものであるとWTOに提訴しました。
北京師範大学MBA教官 段紹訳氏
「彼らの要求は合法的かつ、正当なものです。中国政府のレアアース輸出制限はWTO関連規定に違反していて、実は政府の自由市場への干渉問題なのです。政府の市場介入は市場価格に影響を与え、競争が不公平になります」
レアアース専門家である「中国有色工程設計研究総院」の王国珍教授はメディアに対し、中国は2005年と2008年に2度、レアアース輸出企業を大規模に削減。特に2008年は、輸出企業を減らすと共に輸出枠も減らしたため、国際市場のレアアース価格が急激に上昇したと述べました。
2010年、中国が日本に対し、レアアース輸出禁止策を取り、ほかの国に対しても輸出枠を大幅に削減した際、中国国内からは、「北京は経済と戦略上から、西側先進国をけん制する有力手段を掌握した」との声が上がりました。
新唐人評論家 馬傑森さん
「鄧小平の時代から『中東に石油があるように、我々にはレアアースがある』と言われ、グローバルビジネスをコントロールする重要な手段に使われています。輸出を減らして、レアアース価格が上昇すると、利潤率は更に高くなります」
WTOの専門家たちはまた、レアアースの輸出制限は環境保護が目的であるという中国の主張をも否定しています。実際、中国当局は環境保護など重視しておらず、各地のレアアース採掘では多くの汚染が発生していると指摘されています。
新唐人評論家 馬傑森さん
「南方に重金属米が現れ、中国の20%の土地は汚染されています。大きな要因となっているのがレアアース開発過程において、環境を顧みない、やり方による環境への破壊です」
ニューヨークタイムズは昨年末の報道で、天津のレアアース精錬工場から漏れ出す放射性物質は地下に浸み込み、1億5000万人の水源である黄河を汚染。また、江西省ではレアアースの違法な露天採掘によって多くの災難をもたらされ、広東省の露天レアアース採掘場の強酸は田んぼや渓流を破壊していると伝えました。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2014/03/29/atext1091151.html(中国語)
(翻訳/赤平 ナレーター/萩野 映像編集/工)