HOME > ニュースページ > 政治 > 詳細

エジプト政変から回想する天安門事件

2011年01月31日
エジプト政変から回想する天安門事件

【新唐人日本2011年2月1日付ニュース】ムバラク大統領の退陣を求めるエジプトの反政府デモに対して、当局は武力で弾圧。人々が被弾する場面は、中国人にとっておなじみの光景かもしれないだ。1989年6月4日の天安門事件をそこに重ね合わせるのだ。中国当局は現在、エジプトのデモに報道制限をかけており、中国メディアは、新華社の記事しか使えない。ブログも“埃及(中国語でエジプトの意味)”が敏感なキーワードとなり、検索できなくなった。これは当局の恐れと懸念の裏返しともいえる。

 
チュニス政変以来、各国のデモと中国社会を結びつける中国の知識人も少なくない。ある程度、参考の価値があるというのだ。中国人の怒りは一触即発のところまで達しており、中国でも暴力事件が起こるだろうと案じる声もあれば、逆に、中国人はすでに気概が欠け、政府の言いなりの民に落ちぶれ、立ち上がることはないと悲観する声も聞かれる。
 
戦車、装甲車が街に繰り出す場面に、天安門事件を重ね合わせる中国人も少なくないだろう。
 
中国の人権派弁護士、滕彪氏は、ツイッターに、カイロのデモ参加者が単独で、装甲車の前に立ちはだかった場面から、天安門事件を思い起こしたとつづった。“絶対に見るべきだ。エジプトの天安門事件。ある勇士が体を張って、装甲車を阻止した。これは東に波及し、エリトリア、サウジアラビア、イラン、ミャンマー、ベトナム、中国、そして北朝鮮へと広がっていく!”
 
ネットには“戦車が広場に入る。これは見慣れた光景だ”。つまり、天安門事件だ。またエジプトの民衆が警官に口づけし、軍隊がデモ弾圧を拒んだ写真が転送されると、大きな物議を醸した。“軍隊が発砲を拒んだら、誰が怒るのか”“このような光景に、一部の人たちは恐怖に震えるだろう”
 
中国共産党の恐怖
 
中国当局は今、情報封鎖を行っている。大陸の多くのブログでは、1月29日から“埃及(エジプト)”の2文字が敏感キーワードとなり、検索できなくなった。検索すると画面には、“関連法律法規に基づき、検索結果は表示できません”との文字が出てくる。誰かがネットでエジプト関連の言論を発表しても、すぐに削除されてしまう。
 
ラジオ・フランス・アンテルナショナルの報道によると、中国国務院と公安省は共同で、中国メディアに対しエジプト関連ニュースでは、必ず新華社の記事を使うよう要求。外国の記事の引用を厳しく禁じたほか、ネットのブログなどへの監視を強めるという。
 
中国の国営テレビ局、中央テレビと多くのニュースサイトは、エジプトの反政府デモを報道したものの、詳細を報じていない。
 
中国メディアはエジプトの政治動乱について、わずか数行の記事を流しただけで、写真も目立たないところにしか掲載していない。中央テレビは昼のニュースの関連報道でわずかに報道したのみ。外交省は30日、エジプトの最新情勢についてまだ態度を表明していない。
 
エジプトとチュニスは、中国と緊密な関係にある。中国の温家宝首相は2009年エジプト訪問の際、ムバラク大統領を“中国人の一番良く知っている長年の友人”と持ち上げた。
 
中国がエジプト関連ニュースをシャットアウトするように、エジプト政府も同様の措置を取っている。インターネットを切断した後、30日、“中東のCNN”と称されるカタールの衛星テレビ局、アルジャジーラのエジプト支社の放送許可およびテレビ局の記者の取材許可証を取り上げた結果、中東の一部地域で放送不能となった。
 
米報道官 中国とエジプトを比較
 
あまたのエジプト人が街頭へ繰り出し、ムバラク大統領の退陣を求めた。ボイス・オブ・アメリカによると、ギブス大統領報道官は28日、記者会見で記者から、いまだに人権を尊重しない国と政権を米国が支持している理由とは何かと詰問された。ギブス報道官は、中国を例に挙げ、この種の国の指導者との直接対話の重要性を指摘。オバマ大統領はこれらの指導者と会見する際、いつも経済、安全、および人権の議題に触れるが、もしこういう場がなくなれば、このメッセージを伝えられなくなってしまうと釈明した。
 
中国文化大学中山・大陸研究所の蔡瑋教授は、ギブス報道官の回答は、米国のこれまで一貫した外交政策であり、確かに強健国家との対話により、変化をもたらしたこともあったと分析。
 
東呉大学・政治学科の徐永明教授補佐は、米中首脳会談の後に、エジプトと中国を比べる発言をしたのは、とても敏感なことであると指摘。“米国はかつて、中国とエジプトは非民主国家だが、戦略的地位や米国の外交などにおいて、これらの国との協力は不可欠である。しかし、胡錦濤首席の訪米直後に、ギブス報道官はエジプト政変に関し中国を例に上げた。これは、米国が民主や人権の価値観を非常に重んじていることを改めて浮き彫りにした”“エジプトなど、民衆が政権に不満を募らせる国は、長期政権や非民主国家など、中国の状況と酷似している。これらは中国共産党にとって、ショッキングなことだ”。と述べ、これこそが共産党がメディア封鎖をする原因であると結んだ。
上のリンクをクリックすると、このニュースの中国語版が見られます。

 

トップページへ