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中国の米国債投げ売り、その真相

2010年03月02日

【新唐人2010219日付ニュース】アメリカ財務省の216日の発表によれば、去年12月、中国は、自らの持つ342億ドルのアメリカ国債を売ったため、アメリカ国債の保有国として第2位に転落。再び日本が世界最大の債権国になりました。米中関係がきしむ中、このことが持つ意味とは?国内外の声をご紹介します。 

中国は20089月以来、ずっとアメリカ国債の最大保有国でした。しかし、去年12月に342億ドル分を売ったため、中国の持つアメリカ国債の総額は7554億ドルまで減少。減少幅は4.3%と、20008月以来の減りになりました。 
 
かつてFRBに務めたピーターソン国際経済研究所の経済学者・トルーマン氏は語ります。
ピーターソン国債研究所・経済学者 トルーマン
「中国の巨額なアメリカ国債は、すでに米中間の政治問題となった。中国の持つドルが増えれば増えるほど、影響力を発揮する可能性が高い」 
 
アメリカ・サウスカロライナ大学の謝田教授は自由アジアラジオ局の取材に「中国は今回、計算づくの上で国債を減らしたのだろう。国際社会に向けた政治的なメッセージだ」と答えました。 
 
アメリカ・サウスカロライナ大学教授 謝田
「中国政府内部の強硬派は、これで様子見しており、例えば欧米の反応、または金融の武器、つまり不釣合いな武器の持つ殺傷力。実際、大幅に減らしたら、例えば34割減らしたら、自分の首を絞めます」 
 
北京大学軍経済観察研究センターの仲大軍氏は、「今回の行動は、保有外貨を分散してリスクを避ける目的のほか、台湾へ武器を販売したアメリカへの報復でもある」と分析します。 
 
130日、アメリカは、台湾へ総額64億ドルの武器を売る、と発表。これに対し、中国政府は即座に抗議しました。 
 
新華社系の『瞭望(りょうぼう)新聞週刊』は軍事関係者を取材し、「アメリカ国債の投げ売りで、アメリカに制裁を課すことも可能だ」との声を載せました。 
 
「中国がアメリカ国債を投げ売りすれば、アメリカ国債の利息が上がり、アメリカと世界の経済の復調に影響する」と専門家は言います。 
 
アメリカの財政赤字は、まもなく16千億ドルに達します。『ウォールストリート・ジャーナル』は217日の記事で、「アメリカの財政赤字が増え続ける上に、緊迫する米中関係。中国はそれでもアメリカに金を貸し続けるのか」と案じました。 
 
アメリカ・コーネル大学の教授でIMFの北京事務所の前所長・プラサド氏は言います。
「中国は今、手元のドル準備高を使い、米国に圧力をかけている。米国の貿易・為替政策に対する、中国の反撃だろう」 
 
しかし、政治経済評論家の草庵居士(そうあんきょし)氏は、希望の声ラジオ局の取材に対し、
「ドル売りはドル安を招き、米国製品は安くなって、世界への販売に有利になると共に、中国保有のドルが目減りします」 
 
中国の国内メディアは、今回の件について、最近の米中間の摩擦とは関係がない、と報道します。新華社は、関係者の話として「今回の措置は、ユーロが短期間に暴落し、反動でドル高になったのが原因だ。中国には、ドルを大幅に減らす意図はない」と伝えます。 
 
新華社は中国外貨投資研究院・院長の話として、「アメリカ国債の安定性、安全性と収益性は、いまだに高い。世界のどの通貨もまだ、それに取って代わることはできない」と伝えます。 
 
しかし、ドル安の結果、中国の持つドル資産もすでに目減りしました。
「中国政府も認めるように、去年目減りした保有ドルは1900億ドルです。外貨の保有は中国にとり、良いことではなく、実際大きな負担です」 
 
去年、中国の持つアメリカ国債は一度、8千億ドルを超えました。これは、中国のドル建て外貨準備高の3分の1。しかし、20097月以来、この数字は低下しています。 
 
広東省、中山(ちゅうざん)大学・嶺南(れいなん)学院の陸軍教授は
「すでに巨額で調整が必要です。投資からいえば賢明ではなく……あれほどの金を一人の債務者に投じるのだから。政治から言えば、国債減らしを報復手段にするのなら、自らの首を絞めるのと同じで愚かなことです」 
 
イギリス・王立国際問題研究所のブラウン氏は述べます。
「今の中国経済は、依然として米国への依存度が高い。巨額のドル資産を投げ売りし、ドル安を招いたら、米中両国とも共倒れだ。だが、長い目で見れば中国が投資を多角化するのは、必然の流れだろう」 
 
『ウォールストリート・ジャーナル』は、ピーターソン国際研究所の専門家の声を載せます。
「中国のドル減らしは、基本的には市場行為だ。アメリカの財政赤字の増加や経済に対する不安からである。今年12月の数字が出ても、中国のドル減らしが続くようなら、はっきりとした答えが出るだろう」 
 
新唐人記者がお伝えしました。
 
 

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