【新唐人日本2011年3月9日付ニュース】今年の全国人民代表大会で、温家宝首相は、貧富の格差、官僚の腐敗などの社会問題を率直に認め、解決に向けた努力を約束しました。しかし、人民代表大会の最も資産をもつ70人の総資産がおよそ6兆円を超えるなど、権力の偏りこそが問題だと指摘する声がやみません。
中国では3月5日、国会に当たる全国人民代表大会が始まりました。温家宝首相は、政府活動報告の中で、次の5カ年計画の主な目標は、経済成長率を7%に抑えて、安定成長を重視する点を強調。
しかし専門家は、現在のインフレやバブルを解決するには、輸出や不動産投資に依存する現在の中国の経済構造を抜本的に変える必要があると指摘します。
今年中国は31の省で、再度、最低賃金を引き上げたものの、インフレのスピードに追い付いていません。
香港誌“開放”編集責任者 蔡詠梅氏:「中国の富の再分配は不公平さが増して、貧富の格差が非常に深刻です。公正さに欠ければ経済発展するほど、内部の矛盾と衝突が高まります」
貧富の格差について、記者会見では、ブルームバーグ社の記者が、全国人民代表大会の代表38人は、億万長者だと指摘しました。
胡潤富豪榜(フーゲワーフ長者番付)によると、人民代表大会でもっとも資産をもつ70人の総資産は、4,981億人民元で、およそ6兆円強。一方アメリカ連邦議会で最も資産をもつ議員70人の総資産は、約4,000億円ときわめて大きな差があります。
この統計によると、2010年、資産10億元を超える中国の富豪1300人のうち、167人が全人大の代表や政治協商委員でした。
去年の人民代表大会で、温家宝首相は人々の生活をより幸せで尊厳のあるものにすると強調。
しかし最近のある中国メディアのネット調査によると、94%の中国人が自分は幸せだと感じていないことが判明。一党独裁が生みだす不公平に、社会の不満は募る一方です。
シンガポール大学・公共政策 黄靖教授:「ご存じのように富を作り出す時には新たな政治システムが必要とは限らない、しかし富の再分配には新たな政治システムが必要です。すべての政治改革政治革命は結局それは富の再分配に行きつきます」
貧富の格差を表すジニ係数は、レッドラインである0,4を超え、0.5に近づいています。
中国でも民主化の声が叫ばれる中、共産党政権は政治改革ではなく、いわゆる治安維持のための予算を大幅に増やすことで対応しようとしています。実際、中国では毎年集団抗議事件が10万件以上起きています。
香港誌“開放”編集責任者 蔡詠梅氏:「民主自由の国では社会に危機や矛盾があっても、自分で処理できます。民主制度自由な情報を通じ、問題を解決できるのです。しかし独裁社会は人々を圧制し情報を封鎖し、自由が欠けています。社会は矛盾を解決できないので累積して最後に崩壊します」
中国の指導者にとって、“民主”の2文字は禁句のようです。温首相は今回の政府活動報告で、3度しか“民主”に触れませんでした。4年前、胡錦濤主席は党代表大会で60回も使用。
香港の“文匯報”でかつて主任を務めた姜維平さんは、中国で深刻化する一方の腐敗について、党内部の権力争いが出発点にあると述べます。
温首相は今回再び、積極的、着実に政治改革を進めると発言したものの、これは去年すでにとりあげられ、実行されていません。
中国政治改革の専門家 陳永苗氏:「共産党は社会・政治の矛盾を分析・判断できているものの、永遠に実行できません。言葉と行動が違います。現行の体制に対し庶民はもう絶望しています」
ある専門家は、共産党政権の政策について、すべては政権維持、あるいは官僚の特権を守るためだと指摘します。これが続いて、社会の危機が爆発し、市民が政権にみきりをつけた時、ようやく中国で、真の政治革が実行できるともいわれています。
新唐人テレビがお伝えしました。
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