【新唐人2015年04月03日】アジアインフラ投資銀行への参加申請が3月末で締め切られましたが、注目されていた日米両国は参加を見送りました。物議を醸しているアジアインフラ銀行ですが、中国政府はなぜ積極的に主導しているのでしょうか?その狙いについて、専門家が分析しました。
中国政府主導のアジアインフラ投資銀行は、参加申請が3月末に締め切られましたが、現在のところ、46の国と地域が参加を申請しました。日本とアメリカは参加を見送っています。
アジアインフラ投資銀行の参加申請が締め切られた3月31日、中国を訪問していたアメリカのルー財務長官は、アジアインフラ投資銀行のような国際発展銀行をアメリカはいつでも歓迎するが、その前提は現有の国際金融機関を尊重し、国際社会への約束を守ることだと釘を刺しました。
アメリカの国務省スポークスマンも先日、アジアインフラ投資銀行の運営方法と融資の審査体制に懸念を示していました。
アメリカの国務省スポークスマン
「アジアの投資銀行設立を激励しますが、その基準と透明性に懸念が残るので、米国は参加見送りを決めました」
アジアインフラ投資銀行の主旨は、「アジア地域のインフラ建設のために迅速な融資を提供するためのルート」だとしています。アジアインフラ投資銀行の法定資本は1000億ドルで、設立当初は中国が最大の出資国となり、50%を出資します。本部は北京に置く予定です。
これについてアメリカ・サウスカロライナ大学の謝田(しゃでん)教授は、中国は銀行が資金不足で、中小企業が資金繰りに苦しみ、経済も停滞する中で、中共当局が他国にお金を貸そうとするのは理屈に合わないと首をかしげます。
西側メディアは、ヨーロッパなどアメリカの同盟国は、中共に惑わされたと指摘し、世界公共政策研究所のカトリン・キンツェルバッハさんは、すべての国が中共に譲歩していると述べました。
イギリスの新聞「ガーディアン」は、ヨーロッパは自分を安売りしているだけでなく、人権と経済利益で取引していると批判しました。
謝田教授によると、世界銀行の総資産は目下、3000億ドル以上で、アジア開発銀行の資産は1600億ドルです。三峡ダムの建設だけでも260億ドルかかるのに、アジアインフラ投資銀行は、500億ドルの投資の機会しか与えません。にもかかわらず、多くの国が中国になびいていると、謝田教授は理解に苦しんでいます。
また謝田教授は中共がアジアインフラ投資銀行の設立を進める理由について、2つの狙いがあると分析しました。まず、世界銀行や国際通貨基金において、中国の投票権はわずかで、日本やアメリカにはるかに及びません。そこでアメリカなどに挑むために、別の組織を設立したと考えられます。もう1つは、中国自身の過剰な生産能力やインフラ建設のパワーをアジアで消化するためです。
米・サウスカロライナ大学の謝田教授
「中国はセメント、鋼材の建材、生産能力も極度に過剰です。現在 不動産バブルの崩壊で、関係者は失業の恐れがあります。そこで このアイデアが生まれたのです。お金を他国に投資して、稼げるだけでなく、自分の過剰生産エネルギー、労働力や市場を他国に売り出せます」
中国人民大学・国際関係学院の金燦栄(きん さんえい)副院長はメディアに対して、アジアインフラ投資銀行がもしスムーズに設立され、うまく運営できれば、極度に過剰な産業エネルギーを移転させられるほか、人民元の交換も推し進められ、金融分野における中国の発言権強化につながると話しました。
これは謝田教授の見方と一致しますが、出発点が違います。教授は世界経済の角度から考えましたが、副院長は中国の経済利益の角度から分析しています。
米・サウスカロライナ大学の謝田教授
「アジアインフラ投資銀行は了解覚書の段階に過ぎずません。当初 注目されたいわゆる新開発銀行は棚上げになっています。アジアインフラ投資銀行はどうなるでしょうか。6月末に出る協定の草案で、国際ルールに合うかどうかようやく分かります」
情報によると、アジアインフラ投資銀行は設立前から、すでに激しい争奪戦が始まっています。総裁、副総裁の人選から、支部や中共が北京に置くと表明した本部の場所まで、奪い合いが起きています。将来、入札のルールなどでは、いっそうもめると見られます。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/04/02/a1188350.html(中国語)
(翻訳/河合 ナレーター/水田 映像編集/李)