【新唐人2015年06月26日】中国には留守児童、つまり、両親が出稼ぎに行ったため農村に残された子供が6100万人いますが、そのうち、1年に1度、親に再会することさえできない子供は、推定で1000万人近くいることが分かりました。
6月18日に発表された「留守児童白書」は、共産党のボランティア組織が中国の6つの省で2000人以上の留守児童に対し、アンケートを行った結果と分析が収録されています。
白書によると、6100万人の留守児童のうち、1000万人近くは、1年に1度、両親に会うこともできず、新年さえ再会できません。4・3%の留守児童は1年間、両親から電話がなく、電話が1回から2回しかない子供は885万人、3か月に1回の子供は1519万人だと見られます。
また「白書」は、子供は3か月に1度、親に会えないと、「焦燥感」が急激に増すと指摘し、特に女の子は男の子よりも、「焦燥感」や「戸惑い」が強い傾向があると分析しています。
陝西テレビ局・元記者 馬暁明さん
「両親の温もりや見守りがなく、両親の愛がない家庭では子供は心に傷を負います。場合によっては事件に巻き込まれたり、勉強が遅れたりします」
山東省人権派弁護士 李向陽さん
「中国の留守児童の死亡率は非常に高いです。虐待で障害を負うケースや行方不明になるケースもよく見られます」
6月15日、安徽(あんき)省で11歳の留守児童の女の子が自殺しました。その数日前には、4人の留守児童が服毒自殺しています。12日の報道によると、四川省で13歳の留守児童の女の子が長期間失踪した後に発見されましたが、意識不明で下半身は裸、頭に多くの傷があり、ウジも湧いていました。
この問題について、李向陽(り こうよう)弁護士は、当局の農村政策が招いたと指摘します。
山東省人権派弁護士 李向陽さん
「今 中国の農民は貧困にあえいでいます。作物は高く売れないのに、種子や化学肥料、農薬など出費はかさみます。耕作では暮らしていけないので、仕方なく出稼ぎに行きますが、子供は家に残すしかありません」
陝西テレビ局の元記者、馬暁明(ば ぎょうめい)さんは、戸籍制度の問題を指摘しました。
陝西テレビ局・元記者 馬暁明さん
「故郷を離れて働くなら家族を連れてゆくべきですが、中国の戸籍制度がネックになります。子供を連れていけば、住宅、入学、託児所入り、病院治療などで差別されます。だから仕方なく、子供を故郷に残すのです」
馬(ば)さんによれば、中国の戸籍制度は居住の自由を制限するだけでなく、これにより、農民工は福祉や保護を受けられず、子供も都市の学校に通えません。
去年8月末、14歳の留守児童、鄧偉強(とう いきょう)くんは、温州市で働く両親と別れて、1人で故郷に戻り中学校に入学しようとしましたが、2000元の「関係費」を要求されました。大陸メディアによると、幾度も入学を拒まれた鄧偉強くんは劣等感と屈辱感に苦しみ、ダムに飛び込み、自殺しました。母親が救おうと飛び込みましたが、結局、母子共に死亡しました。
山東省人権派弁護士 李向陽さん
「農民の命は軽んじられています。人権も尊厳もないと言えます。留守児童の死や虐待は農村の悲劇の一部に過ぎず、貧家の留守老人も苦境にあるのです」
李向陽弁護士は、土地の強制収用に抗議した農民が逮捕されたりするなど、農村問題は計り知れないと述べました。
都市に出稼ぎに行った農民工も苦境に陥っています。当局が去年、発表した「農民工調査報告」によると、2億7400万人の農民工のうち、62%は労働契約を結んでおらず、200万人以上が給料の未払いに遭っています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/06/22/a1205262.html(中国語)
(翻訳/河合 ナレーター/村上 映像編集/李)