【新唐人2016年07月13日】
世界が注目していた南シナ海の主権をめぐる国際仲裁裁判の判断が12日に下されました。裁判所は中国が南シナ海に独自に設定した「九段線」で主張する主権や管轄権について法的根拠がないとして認めず、南シナ海におけるすべての島と岩礁には排他的経済水域が認められないとの判断を下しました。今回の裁判所判断が今後もたらす影響について分析しました。
オランダ・ハーグの仲裁裁判所は国際紛争などの仲裁や調停を行う歴史ある常設の裁判所です。
フィリピン政府は南シナ海の主権問題をめぐり仲裁裁判所に15項目にわたって仲裁を申し立て、合わせてスカボロー礁など10の島嶼の属性についても説明を求めていました。
国連海洋法条約によれば、海上の島礁は3種類に分けられます。
自然条件が人の居住に適している「島」は、12カイリの領海と200カイリの排他的経済水域を有します。
満潮時に海面上に出ているけれど人の居住には適さない「礁」は、12カイリの領海のみを有します。
潮が引いた時だけ海面上に現れる「低潮高地」は、いかなる海洋権益も有しません。
仲裁裁判所は今回、南シナ海には島が一つもないと結論づけました。
中国政府が実効支配するスカボロー礁、台湾政府が実効支配する太平島など10を超す島礁は「礁」と判断され、12カイリの領海のみ認められ、排他的経済水域は認められませんでした。
中国政府が実効支配するスビ礁とミスチーフ礁は低潮高地と判断し、何の権益も認められませんでした。
時事論評員・文昭氏:「仲裁裁判の判断を受けて、中国が南シナ海における経済開発の権利を独占しようとして、たとえば同海域で操業する他国の漁船を追い払ったり、あるいは2014年の時のようにベトナムの排他的経済水域内で石油プラットフォームを建設して石油探査を行ったりといった行動を取った場合、国際社会からさらに大きな圧力を受けることになるでしょう。」
裁判所は島の属性については自然の状態によって決められるとし、中国が造成した人口島は島とは認められないと判断しました。
また、中国が主張する「九段線」についても、法的な根拠がないとして認めませんでした。
時事論評員・文昭氏:「これにより、九段線を根拠に他国の軍艦が中国の水域に侵入したと責める中国の主張が、国際社会で影響力を失うことになります。」
現在、中国、台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイが南シナ海における権益をそれぞれ主張しています。
判断を受け、中国と台湾が強く反撥しています。
中国はいかなる仲裁も受け入れないとしながらも、「国際法に基づき、話し合いによって平和的に解決する」と述べ、軍事行動は取らないことをほのめかしました。
しかし、中国が今後南シナ海の島礁に駆逐艦を配備するかどうかが注目されています。
時事論評員・文昭氏:「仲裁裁判所の決定には執行力が伴いませんが、認めないこと、執行しないことと、軍事的手段を取ることは別問題です。もしも中国がさらに島礁の軍事化を進め、同海域に防空識別圏を設定したなら、この地域に大きな緊張をもたらし、軍事衝突が起こる危険もあります。」
また、中国政府内部も政治が混沌とし、激しい権力闘争が繰り広げられる中、軍部と失脚させられた勢力が南シナ海でもめている隙を突いて習近平政権に反撃するかもしれないとの憶測も流れています。
もしもそうなった場合、中国政府上層部が対決する時が早まるだろうと専門家は見ています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2016/07/13/a1275852.html(中国語)
(翻訳/白白 ナレーター/淳萌 映像編集/李)