【新唐人2016年10月19日】
10月から中国で「史上最も厳しい」といわれる不動産市場の調整政策が始まりましたが、半月が経った今も不動産価格は下落しないどころか、値上がりにさらに拍車がかかっています。中国中央銀行はこのほど住宅ローンの融資条件を厳しくしましたが、不動産価格の高騰を抑えることはできるのでしょうか。
報道によると、中国中央銀行は10月12日、17行の銀行を招集し、不動産ローンの融資条件を厳格化しリスクを軽減するよう求めました。
不動産市場の高騰は銀行が性急に不動産ローンを提供していることと関係があります。今年3月以来、不動産価格は高騰し続ける一方、銀行の融資ケースも膨大な量に上っています。銀行同士で抵当金利をさらに下げ合う競争が行われてきました。『財新』の取材に対し、多くの銀行幹部が、不動産価格の急騰は金融の安定を損ない、産業の空洞化を招き、社会の発展に長期的な悪影響を及ぼす可能性があると述べています。
規制機関は金融機関の住宅金融業務について監督とチェックを強化し、マクロプルーデンス政策を進めなければならないと、『財新』は報道しています。
しかし、銀行関係者は、銀行が表面的には抵当金利融資を縮小しても、消費ローンの貸付など別の手段で資金を提供し、結局は不動産市場へと流れてゆくだろうとの話を紹介しています。
中国の経済評論家の劉兆輝(りゅうちょうき)氏は、当局の規制は不動産価格の現状維持をはかるためのものだと指摘しています。
経済評論家・劉兆輝氏:「政府はこの不動産バブルをこのまま維持したいのです。中国の経済発展を維持したいのです。しかし、このまま不動産価格が高騰し続け最高点に達したら、あとは下降するしかありません。そうしたら、不動産価格の下落、為替レートの下落、資金の海外流出が起き、政府がコントロールできない状況になるかもしれません。もしバブルをはじけさせず何年か持ちこたえ、別の方面から経済改革を行い、経済崩壊を食い止めることができればいいですが、そううまくいくとは限りません。」
10月1日前後から、北京市をはじめ22の都市で、「史上最も厳しい」と言われる不動産市場の規制政策の実施が始まりました。深セン市の規制規則では、北京市と同様、「同市に本人または家族名義の不動産を有していないが、商業目的の住宅ローンや公金による住宅ローンを行ったことがある場合は頭金の50%以上を先に支払うこと。同市に本人または家族名義の不動産を1件有している場合は頭金の70%以上を先に支払うこと」と定められました。
しかし、規制が始まった後も、不動産価格の高騰はおさまりません。北京市でも10月期の不動産価格は上昇しており、前月比6・76%、昨年の同月比36・25%の伸びを見せています。とくに人気の地域の住宅価格は前月比12%上昇しており、10月の北京市内の中古物件の1平方メートル当たりの価格は、9月に比べ3300元(約5万円)上昇しています。
上海や深セン、広州でも不動産価格は高騰を続けています。
中国政府メディアは以前、規制実施により蘇州の不動産価格は4日以内に1平方メートル当たり40%下落したと述べていました。ですが、『毎日経済新聞』は、蘇州ではそのような現象は起きていないと指摘しています。現地の不動産ブローカーは、蘇州の不動産価格が下落すると予想した報道に懐疑的で、価格は下落してはいけないと言いました。
サウスカロライナ大学教授・謝田氏:「政府が行っている不動産市場に対する規制は実体を伴わないものです。実際には資金を回流させているだけで、財産を掠め取るのに最適の方法であると知っているのです。実際には、不動産市場を正常な市場レベルに引き戻そうなどとは考えていません。正常に戻ればそれは一般国民にはよいことですが、そもそも中国共産党という利益集団にとっては、国民の財産など取るに足らない問題です。」
経済学者の楊佩昌(ようはいしょう)氏は、人民元が下落すれば国内ではよい投資先がなく、富裕層は持ち家の価格を保とうとするのも不動産価格が下がらない要因であると指摘しています。
劉兆輝氏は、中国の住宅価格が下落しない原因は、政府が住宅市場のターゲットを居住目的の国民に設定しているわけではなく、住宅を金の印刷機のようにみなして、簡単に銀行が住宅ローンの貸付を行ってきたからだと指摘しました。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2016/10/17/a1291964.html(中国語)
(翻訳/白白 ナレーター/根本 映像編集/李)