【新唐人2017年2月9日】
北京大学がまとめた大気汚染に関する報告書によると、中国の31都市で大気汚染が原因で死亡した人の数は、2013年だけでも26万人に上ることが明らかになりました。ですが、中国で大気汚染を指す「霧霾(うばい、スモッグ)」という単語は報道が禁じられており、「特に強い濃霧」などの表記に置き換えられています。
北京大学は4日、「危険に晒された呼吸2:大気中のPM2.5が中国の都市住民の健康にもたらす影響」と題する報告書を発表しました。
報告書は北京大学公共衛生学院の潘小川(はん しょうせん)教授らの研究チームが一年かけてまとめたもので、2013年に大気中のPM2.5の汚染によって死亡した人の数は31の省都、直轄市で25万7千人以上に上っており、超過死亡率の平均は1000分の1近いことを指摘しました。
この数字は虚血性心疾患、脳血管疾患、肺癌、慢性閉塞性肺疾患による死亡例に限ったものであり、そのほかの疾病は含まれていません。
潘教授によれば、超過死亡率とは「本来死亡しなくてよい数」のことであり、もしもPM2.5がこれほどひどくなければ、これらの人は本来死亡することはなかったと説明しています。超過死亡率が高くなれば、それだけ住民の健康が危険に晒されていることになると潘教授は指摘しています。
報告書はさらに12都市では平均死亡率を上回っており、そのうち上位3位を占める石家庄市では10万人に134人、済南市では10万人に128人、長沙市では10万人に124人が超過死亡しています。
スモッグが深刻化する一方で禁じられる「霾(スモッグ、塵、埃の意味)」の文字です。
中国中央テレビ気象台は5日、朝の予報ニュースで、河北、河南、山東など8省に引き続き「濃霧警報」を発令しました。一部の地域では視界が500メートルにまで狭まり、50メートルにまで落ち込んだ「特強濃霧」が発令されました。
北京市気象局は大気汚染を報じる際、さまざまな工夫を凝らしています。中国版ツイッター微博では、映画「ハリーポッター」に出てくる悪魔、ヴォルテモート卿に濃霧を喩え、「ヴォルテモート卿を封印できるのは今日の夜中ごろ」と報じ、さらに「強風だぞ」とすごむヴォルテモート卿の画像を貼っています。
こうした報道に、「政府は『霾』の一文字をコントロールするのには長けているね。少なくとも気象予報からは跡形もなく消えている」などと揶揄するコメントも出ています。
『ラジオ・フランス・アンテルナショナル』は「霧霾」という単語の使用禁止は先月17日に政府が各省の気象局に発した「霾の予報警報停止に関する通知」と題する内部通達が発端だと明らかにしています。
四川大学環境科学工程研究所所長 艾南山氏:「いくら宣伝しても騒ぎが大きくなるだけで何の解決にもなりません。霧霾の問題は実質的に解決すべきものです。ですが国は多くの問題を都合よく宣伝することばかり考えています。特に中央テレビはよいことしか報じません。これが我が国の伝統的なやり方です。一方で霧霾は深刻化しているというのに。」
艾氏は、大気汚染問題はここ何年も改善されておらず、大気汚染を起こしている本当の原因を見落としていないか、或は大気汚染を抑えるやり方が間違っているのか、さらに深く研究する必要があると強調しています。
艾氏は、天気予報を見るに、大気汚染問題の解決は非常に難しい状況にあると指摘しています。政府の宣伝部がいかに大気汚染を隠そうとしても問題の解決にはならないと述べています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2017/02/07/a1310448.html(中国語)
(翻訳/白白 映像編集/李)