【新唐人2017年3月19日】
高齢化が進む中国では、2020年には60歳以上の人口が2億5500万人に達すると予測されています。政府は人口構成の不均衡を是正するため、子供を2人まで出産できる政策に昨年から切り替えましたが、就職難の若者の半数以上が出産を望んでいないのに加え、年金の不足額も増加しており、現行の年金システムで2億の高齢者を支えられるか心配する声が上がっています。
長い間の懸念である高齢化問題が、今年の全人代と政治協商会議でも議題に上りました。
年に一度の「両会」が開催されるのを前に、国務院は「第十三次五か年計画国家高齢者事業発展と高齢者福祉システムの建設計画」を発表し、2020年までに60歳以上の高齢者は人口の17.8%に相当する2億5500万人に達し、従属人口指数は28%に上ると予測しました。
現在中国では高齢化問題が注目を集めています。高齢化が進むにつれて社会保険費の不足や、一人暮らしの高齢者の急増など、高齢者をとりまく状況は厳しくなる一方です。
中国金融シンクタンク研究員 鞏勝利氏:「中国財政部長(財務大臣に相当)は、一部の省では退職金の支払いに支障を来していると言っています。国が支給するこれらの金は地方政府によって別の用途に使用されているとも話しています。」
年金が不足している省はますます多くなっています。政府の統計によると、2014年の不足額は1563億元で、2015年はその倍の3115億3300万元で、20年後には11兆ドルになる計算です。
計画書はまた、都市部や農村部など地域によって高齢者福祉が異なるため地域の不均衡を招き、さらに福祉サービスが供給不足に陥るなどの問題についても取り上げています。
元山東大学教授 孫文広氏:「農村の高齢者は年金がないため老後の経済状況は非常に厳しい。そこで政府は近年、年金を給付していますが、月にいくらだと思いますか。つい最近、済南省や山東省の知人に聞いた話によると、当地の高齢者が受け取る年金は月に50元だそうです。10ドルにも満たないお金でどうやって暮らせばよいのでしょうか。都市部では少し高いでしょうが、中国の高齢者は子供に頼らなければ生きていかれず、非常にみじめな暮らしを送っているのです。」
中国では高齢化問題のほか、若者の就職難も大きな問題となっています。イギリス連邦が発表した2016年度の世界青少年開発指数によると、中国は183カ国中118番目で、世界の平均値よりも低く、中国の若者が発展しにくい状況に置かれていることが示されました。
中国金融シンクタンク研究員の鞏勝利(きょう しょうり)氏は、政府が1979年に実施を始めた一人っ子政策が、現在のいびつな人口構成を招き、高齢化が若者にさらなる圧力を与えていると考えます。
中国金融シンクタンク研究員 鞏勝利氏:「中国は人口が二極化する時代を迎えています。1949年以降、無制限に出産した結果、人口激増を危惧した政府は1970年になって今度は一人っ子政策に転換しました。これは文化大革命がもたらした災難よりもさらにひどい結果をもたらしたと言えるでしょう。強盗の理屈と同じです。すべての家庭が一人っ子政策に従ったらどうなるか。親2人が子1人生み、また親2人が子1人生む。三代目以降、子を生める親がいなくなるのは必然のことです。」
元山東大学教授 孫文広氏:「40年近くに亘って一人っ子政策を実施してきた結果、子供は少なくなり、年寄りが多くなったのです。」
政府は2015年、一人っ子政策を中止しましたが、中国のいびつな人口構成はすでに是正が難しい状況になっています。
米国在住時事評論家 横河氏:「もう手遅れです。2人どころか3人、4人の出産を許可したとしても、もう遅すぎます。これは中国政府の制度的欠陥によって生じた問題であり、政府には問題を解決する能力がありません。そもそも問題に気付いた時にはすでに手遅れでした。一人っ子政策から2人目出産奨励に政策を変更して1年足らずですが、2人目の出産ブームは一向に起きていません。政府の体制が根本的な原因であるのは明らかです。」
国連と中国高齢化問題研究センターの予測によれば、2050年までに中国では65歳以上の人口は全体の約27%に達し、10%の大幅増加を記録した2015年よりも17%も増加する見込みです。とくに一人っ子政策と数十年来続いている都市部への出稼ぎと二重の影響を受けている農村部は、大変厳しい状況にさらされています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2017/03/17/a1316190.html(中国語)
(翻訳/白白 ナレーター/淳萌 映像編集/李)