【新唐人2017年4月4日】
前回では、多額の債権を抱えた遼寧省の輝山乳業が遼寧省政府から9000万元(約14億4千万円)の救済資金を受けたことを報道しました。そして今度は山東省の大企業が相次いで債権危機に陥り、メディアは「山東危機」と呼び、国家発展改革委員会が関与に乗り出しました。最近山東省で発生した「母を辱められ殺人事件」も企業家の債権が発端となって起こったものでした。山東省が債権危機に陥った経緯についてお伝えします。
かつて中国大企業500社の1つに数えられた山東省の天信集団が多額の債権を抱えています。3月16日、山東裁判所は天信集団が破産更生を申し立て、100億元(約1602億円)の債権が譲渡されることになったことを明らかにしました。天信集団と関連企業のうち7社がすでに破産更生の手続きに入りました。
続いて3月15日、齊星集団の基幹産業である鄒平アルミが生産中止となりました。このため同集団の流動資産では傘下企業の運営を支えることができず、半年間生産を中止することになりました。同集団が資金繰りに行き詰ったことにより、36社の金融機関は総額70億元(約1122億円)の債務不履行リスクに晒されています。銀行以外にも40億元(約641億円)以上が民間融資組織から貸付されています。
また2月28日には、アルミ生産業の中国宏橋が新規上場を準備していた2011年の時すでに虚偽の財務報告を行っていたことが指摘されました。同社はコストについて虚偽の報告を行う一方で、非常に安い価格で電力や酸化アルミニウムなどの原材料を購入していたと言います。3月21日、同社は2016年度の年間業績報告の発行を延期すると発表し、翌日には取引停止となりました。
同じく21日、世界の大企業500社の1つだった山東省の魏橋紡織も虚偽の財務報告を行っていたとの消息が流れ、同社もまた2016年度の年間業績報告の発表を延期しました。魏橋集団は2000億元(約3兆2千億円)以上の債務を抱えており、国の有色金属工業協会に緊急報告書を提出し、救済を申し入れています。
このほか山東省の西王食品も多重担保により株が暴落し、2013年には長星集団が銀行10数社から借受けた60億元(約962億円)以上の債務の返済不能に陥っているとの消息が伝わっています。山東省で広がる債務危機に対処するため、政府は国家発展改革委員会の処理グループを同省鄒平市に派遣しました。
さて、これらの問題を引き起こした根本的な原因とは一体何なのでしょうか。それには3つの原因があります。1つ目は中国共産党政府の制度が従来のビジネスにおける信用や評判をめちゃくちゃに壊したこと。2つ目は政権維持のためにバブル経済を奨励し企業の過度の膨張を引き起こしたこと。3つ目は政府が融資緩和政策により増刷した人民元が金融や不動産に流れ、実体経済では流通しなかったこと。この3つの原因が挙げられます。
女性企業家が借金の取立人から凌辱され、息子が相手を刺殺する事件が山東省で起こりました。母親の蘇銀霞は2009年、4兆元(約64兆円)のバブル経済の最中に鋼材関連企業を起こしました。しかし2011年から鋼材の価格が暴落し、鋼材貿易業界が抱える債務は全体で100億ドルに達し、10人が自殺したほか、300人が逮捕、700人以上が指名手配されました。蘇銀霞も債務に陥りましたが、銀行は民間企業には融資を行わなかったため、高利貸しから借金するしかありませんでした。この高利貸しは政府と結託して不動産売買によって成り上がった人物でした。現在中国で起きている問題は、まさに政府が引き起こしたもので、山東省の債務リスクはその縮図と言えるものです。政府は山東省を救うことができるのでしょうか。もし政府が魏橋集団の財務破綻に救済資金を投入すれば、全国の企業が続々と救済を求めるでしょう。政府では救いきれない状況となるでしょう。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2017/04/03/a1318623.html(中国語)
(翻訳/白白 映像編集/李)