【新唐人2017年4月27日】
世界最大の学術書出版社シュプリンガー(Springer)は、同社が発行する学術誌『腫瘍生物学(Tumor Biology)』が2012年から2016年までに発表された研究論文107本の掲載を取消したと発表しました。掲載取消の理由は査読の段階で捏造行為があったからだと説明しています。同社が明らかにした掲載取消論文の執筆者リストによると、この107本の論文はすべて中国人研究者が執筆したものだとわかりました。
シュプリンガー社は4月20日、慎重に調査した結果、これら107本の論文は査読段階で不正があったと信じるに足る強固な理由があったと声明を発表しました。同社と同誌編集部は国際出版倫理委員会の勧めに従い、これらの論文を取消すことを決定しました。
調査に参加した同社の細胞生物学と生物化学の総編集長、ピーター・バトラー氏は21日、メディアの取材に対し、「論文提出時に推薦のあった査読担当者の名前は実在の人物のものだったものの、嘘の電子メールアドレスが記載されていた。編集者は本物の査読担当者にメールを送付したと思い込んでいた。我々が査読担当者本人に調査を行ったところ、彼らがこれらの論文について査読を行っていないことが分かった」と述べました。
107本の論文取消は正規の学術雑誌が一度に取消した数としては最多です。
同社が公表した掲載取消リストによると、これらの論文執筆者は全員中国出身で、しかもそのほとんどが中国各地の大病院でした。中南大学付属湘雅二院、浙江大学付属第一病院、中国医科大学付属第四病院、山東大学付属斉魯病院、上海交通大学付属第一人民病院、中国医学科学院、北京協和病院などです。また問題に関与した大学として協和医学院、復旦大学、浙江大学などの名門校が含まれています。
問題が発覚した後、中国科学協会は中国の学術界で論文捏造が横行していることを反省するどころか、調査して違反者を罰することもせず、あろうことか「審査が甘い」としてシュプリンガー社を非難し、責任を転嫁しました。
一方、中国の学術論文はこれまでも度々国際的な学術誌や出版社から掲載を取消されました。
2015年3月、イギリスの現代生物出版社は43本の論文を取消しましたが、そのうちの41本が中国の論文でした。同年8月、シュプリンガー社は同社傘下の10冊の学術誌に掲載された64本の中国医学関連論文を取消しました。10月、『ランセット』『セル』など著名な学術雑誌を出版するエルゼビア社傘下の5冊の雑誌に掲載された9本の中国の論文も取消されました。10月15日、『米移植学会報』も中国工程院院士で前香港大学外科学部主任、「肝移植の父」と呼ばれる範上達氏とその研究チームが9年前に発表した2本の論文を取消すとの声明を発表しました。
今回、『腫瘍生物学』に掲載を取消された論文執筆者の所属機関のうち、北京協和病院、浙江大学付属病院などは、法輪功学習者に対する臓器狩りに関わった疑いがあるとして、国際組織の追及リストに上げられています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2017/04/25/a1321831.html(中国語)
(翻訳/白白 映像編集/李)