【新唐人2017年5月2日】
ニューヨークに本部を置くジャーナリスト保護委員会は最新の調査報告書を発表し、ジャーナリストや独立メディアが新たな危機に直面していると指摘しました。そのうち中国では政府が信用評価システムを構築し、ネットやSNSで発言するジャーナリストを弾圧しようとしているといいます。
NGOのジャーナリスト保護委員会は4月25日に最新の調査報告書を発表しました。報告書で、アジア担当研究員の王亜秋(おう あしゅう)氏は中国政府が「ジャーナリストの経済的信用とネットでの発言を結びつけようとしている。これは非常に憂慮すべき監視の方法だ」と指摘しています。
中国政府は、公共、民間のデータを大量に収集して個人と企業の社会的信用を評価する「社会信用システム」を全国で推進しています。これらのデータにはネットでの言動も含まれ、国務院が2014年に発行した「規則綱領」に基づいて、ネットで流言を捏造あるいは拡散したり、詐欺行為を働いた者はブラックリストに載せられます。
あるジャーナリストのSNSでの投稿内容を政府が「流言」と見なした場合は、そのジャーナリストの社会的信用が低下し、ローンなど融資を受けられない、或いは高い利息がかけられるようになると、王氏は指摘しています。また、ショッピングサイトで中古品を売ろうと思っても、信用度数が低いために信用されず、取引から除外される可能性もあります。
この「社会信用システム」は今のところはまだ確立されていませんが、政府に都合の悪い情報を発表した中国のジャーナリストが弾圧されることは従来から普遍的に起こっていると王氏は指摘しています。
雑誌『中国民営』の元深セン市駐在記者で、現在フリージャーナリストの劉逸明(りゅう いつめい)氏は、自身が発表したある報道が原因で、生活に支障を来すほどの影響をこうむったと証言しています。
元『中国民営』記者 劉逸明氏:「深セン市にいたころひどい弾圧を受けました。警察はさまざまな嫌がらせをしてきました。しまいには、私が借りている住居の大家にまで圧力をかけて、そこに住めなくしました。このため私は何度も引っ越しを余儀なくされ、仕事も何もままならなくなり、最後には実家に帰るしかありませんでした。」
陜西テレビの元記者、馬曉明(ま ぎょうめい)氏も現地の農民の権利保護活動に関心を持ったことで、当局の弾圧を受けました。
元陜西テレビ記者 馬曉明氏:「今年はとくに締めつけが厳しい。友人から、どうして電話が繋がりにくいのかと聞かれて、いつも家にいるのにおかしいと思ったら、私の電話番号にかけると『通話中』や『只今電話に出られません』というアナウンスが流れるように当局が細工をしていたことが分かりました。全人代の期間は20日間以上もネットが繋がりませんでした。ネットプロバイダーもグルなのです。最近は私の電子メールアカウントが凍結されました。」
問題の本質は信用評価システムにあるのではないと劉氏は話します。
元陜西テレビ記者 馬曉明氏:「中国社会にとって、記者を評価するシステムは必要なものです。ですが、今問題なのは、それでは誰が信用できるかできないかの判断を下すのか、ということです。法治社会とはいえないこの社会で、政府がその判断をするということは非常に不適切です。」
もしビッグデータによる「社会信用システム」が構築されたら、ジャーナリストがネットで発表した言論が経済的な影響を及ぼすことになるのでしょうか。
元陜西テレビ記者 馬曉明氏:「こうした影響が出れば、ジャーナリストは政府に服従するしかなくなり、プロパガンダの担い手に成り下がってしまうでしょう。」
しかし劉氏は、この「社会信用システム」が構築されたとしても、政府が思うような運用ができるとはかぎらないと指摘します。
元『中国民営』記者 劉逸明氏:「現在、政府と民間の間ではさまざまな事柄に対する認識がかなり異なっています。政府がある記者に悪い評価をつけたとしても、民衆の評価は高いかもしれません。反対に政府の評価が高い記者の報道は嘘かもしれないと、民衆の評価が低いことも考えられます。このシステムの影響力がどれほどのものか、どれほどの脅威をもたらすのかは分かりません。」
馬氏は、中国政府はこれまでもずっと報道の自由を弾圧してきたけれど、事実を報道する良識と職業モラルのあるジャーナリストや報道関係者はいる、と指摘し、こうした人々は今後も消えていなくなることはない、と話しました。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2017/04/27/a1322164.html(中国語)
(翻訳/白白 ナレーター/淳萌 映像編集/李)