【新唐人2017年5月27日】
アメリカのメリーランド大学で21日に行われた卒業式典で、中国人留学生の楊舒平(ようしょへい)さんが行った卒業スピーチが中国で批判を受けています。楊さんはスピーチで、アメリカを留学先に選んだ理由として二つ挙げ、一つは自然環境の良さ、そしてもう一つは自由で多様な社会だと語りました。しかしこの発言が売国的だとして中国のネットで批判の的になっています。
楊さんは5年前に中国の昆明(こんめい)市からアメリカのメリーランド大学へ留学しました。
今年同大学で行われた卒業式で、楊さんは学部生の卒業生代表に選ばれ、スピーチを行いました。
8分間のスピーチで楊さんはまずアメリカの素晴らしい自然環境について述べた後、残りの6分間はアメリカの自由で多様で包容力に溢れた文化を称えました。
同大で心理学とドラマを専攻した楊さんは、劇を作り上げる過程でアメリカの学生はセンシティブな人種問題や性別による偏見や政治問題を活潑に討論する姿を見てきました。
こうした話題は中国では政府の宣伝部門によりタブーとされており、教材などはすべて政府の思想と統一していることが求められます。
政治評論家 陳破空氏:「彼女の発言には中国人留学生がもつ光の部分が現れています。中国と外の世界がどんなに違うのか、一党独裁下の中国と文明社会の間の差はどれほど大きいのかに、彼らは気づいたのです。心から発せられた言葉だと分かります。」
言論の自由と民主主義への参加、批判的思考と人間的な思いやりを、独裁国家で生まれ育ったこの若者は民主国家アメリカでの生活を通して深く感じ入り、アメリカの人々はこの自由を大切にしてほしいと呼びかけました。
楊さんのスピーチは学生から拍手喝采を受け、学長も感動して涙をこぼしました。
一方、中国のネットでは楊さんが中国共産党統治下の環境汚染や欠如した社会などを暴露したことは「中華を辱しめる行為」と断罪する声が上がりました。口汚く楊さんを罵ったうえ、楊さんの家族の情報まで公開されました。
政治評論家 陳破空氏:「多くの中国人の若者が海外に留学していますが、彼らは国内で徹底的に洗脳されて育ったため、国家と民族と国民に対する概念を分けて考えることができません。中国共産党政権イコール中国だと考えている彼らは、中国国民の立場ではなく統治者の立場になって発言しているのです。かわいそうなことに、民主国家では国民が政府を批判することは普遍的な価値観であることを知りません。一党独裁下ではぐくまれた思考法は変わらなければなりません。」
中国のネットユーザーから激しい非難攻撃を受け、楊さんは謝罪に追い込まれました。しかし同時に楊さんは謝罪する必要がないと、楊さんを擁護する声もたくさん上がっています。批判する者を抹殺するというやり方は中国共産党の「文化」ともいえるもので、中国の進歩を妨げている原因の一つです
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2017/05/23/a1325832.html(中国語)
(翻訳/白白 ナレーター/佐藤 映像編集/李)