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中国の対外援助で得するのは誰なのか?

2017年10月17日

【新唐人2017年10月17日】

中国の対外援助額が2000年以降急増しており、アメリカの対外援助額に追いつく勢いであるものの、その国の国民生活の改善には役立っていないとする研究報告書が、このほどアメリカで発表されました。それでは、中国マネーの恩恵を被るのは誰なのでしょうか。

 

アメリカのウィリアム・アンド・メアリー大学の研究グループが10月11日、2000年から2014年における中国の対外援助資金の流れを研究した報告書を発表しました。

 

報告書は、この15年間で中国はアフリカ、アジア諸国や地域に3544億ドルに上る援助やODAを行っており、アメリカの3946億ドルに追いつく勢いであると指摘しました。

 

報告書は1万5千件以上の情報出典と、138カ国・地域の4304件の計画を調査しています。研究チームは、報道や大使館など政府の文書、さらに中国側の援助に関する債務の情報などをもとに、資金の流動を追跡しました。

 

2000年以降、中国マネーを最も多く獲得したのはアフリカ諸国ですが、中国マネーの援助対象は世界各国にわたっており、セネガル、パキスタン、スリランカなども含まれています。2014年にはロシアが中国の援助対象国の首位を占めました。

 

研究グループの首席研究員、ブラッド・パークス氏は、中国の援助やODAは国連で中国政府の意向に沿って投票する国に多く提供されていると指摘しています。

 

また、中国とアメリカの援助額は同じくらいであるものの、両国の援助の仕方は非常に異なるとも指摘しています。アメリカの金銭的援助の93%は伝統的な援助の価値観に基づくもので、西側の工業国が賛同する援助概念です。援助の目的は主に被援助国の経済発展と国民生活の改善にあります。一方、中国の金銭的援助は、伝統的な援助はそのうちの21%でしかなく、それ以外のほとんどは商業的な借款であり、中国が経済的な見返りを得られるものばかりで、現地住民の生活を改善するのにはほとんど役立っていません。

 

さらに、中国の援助や借款を受けている国の中には、法整備が欠如している国もあり、例えばベネズエラやアンゴラ、パキスタンなどへの援助や借款は最後には無駄になることが多く、中でもベネズエラへの650億ドルの借款は戻ってきません。

 

中国の身勝手な援助が、世界の援助や借款のシステムに影響をもたらすことが明らかになっているため、従来のODA国は被援助国に対し、多くの条件を停止せざるを得ない状況になりました。

 

カンボジアがその一例です。当時中国との関係を強化していたカンボジアの指導者は、アメリカが求めていた公正な選挙の条件を無視し、独立系メディアや西側のNGO団体が取締りに遭いました。

 

アメリカ・サウスカロライナ大学教授 謝田氏:「世界銀行の長期借款は被援助国の貧困に苦しむ国民を助けるためのものであり、そのため透明でなければなりません。政治的な構造と権力のチェック・アンド・バランスによって、汚職を防ぐ必要があります。ですが、中国が資金を出すのは、その国の指導者が国際的な場において、中国を支持させるためです。中国国民の血税を浪費し、しかもアフリカの人々にとっても何の得にもなりません。ただ、貧困国のチンピラ政府の高官の私腹を肥やすだけです。」

 

実際、中国の対アフリカ援助は、新植民地主義であると言われ、現地住民の反感は益々強まっています。

 

新唐人テレビがお伝えしました。

http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2017/10/13/a1346512.html(中国語)

(翻訳/白白 ナレーター/佐藤 映像編集/李)

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