子供の夜泣き、これに頭を抱える親は少なくないだろう。もし夜泣きが深刻なら医者にかかるだろうが、西洋医学ではこれを一般に「神経の過度の興奮」とみる。よって鎮静剤が処方されるが、ベテラン医師の胡乃文先生は「それは薦められない」と言う。子供の神経を害してしまう恐れがあるからだ。そこでまず取り上げるのが「金」である。
金、それは他でもないゴールド。つまり指輪など宝飾品に使われるあの金である。漢方の記載によれば、この金を水で煮出してから飲むと神経の興奮が和らぎ、夜泣きにも効果があるそうだ。だが胡先生も指摘している通り、金を水で煮出すことはできない。つまり、現代科学の観点からではこの効用の解釈のしようがないのである。
そこで李さんが触れた仮説は面白い。「金は重いから、心を鎮める作用もある」。つまり、我々の目には見えない他の空間には金の質量が存在し、その重みが高ぶる心を抑え付けた。こういうことであろう。
最後に胡先生が取り上げたセミも興味深いものである。セミそのものつまり蚱蝉(さくぜん)のほか、セミの殻である蝉蛻(せんたい)も、子供の夜泣きに多少の効果が見られるのだそうだ。これも現代科学では解釈が難しい。「セミは昼間にぎやかに鳴くのに、夜になると静かになる」。李さんは冗談めかしてこう言ったが、確かに一理あるかもしれない。胡先生のいうように漢方は自然の現象を参照しているからだ。
現代科学では解釈のしようがない、漢方にまつわる不思議の数々。これからも番組でたくさん取り上げる予定。どうぞお楽しみに。