【新唐人2010年5月28日付ニュース】
米大統領 オバマ
「今回の原油流出は生命海岸線、魚、野生生物を損ない、市民の仕事も脅かします。漁師や外食業・ホテルなど」
4月20日、メキシコ湾の石油掘削施設が爆発・炎上。専門家によると、4月24日の流出から、毎日2万5千~8万バレルの原油が流れだし、掘削権を持つイギリスBPが予想する5千バレルを遥かに超えます。
サラザール内務長官によると、この事故の被害は恐らく、1989年のエクソン社のタンカー原油流出事故よりも深刻です。
目下、原油はルイジアナ州・ミシシッピ州・アラバマ州の各沿岸に漂着しています。専門家によると、これらの原油は恐らく完全に取り除くことが難しく、地元の魚介類などに致命的な影響を残します。
また地元当局によると、漂着した原油は、445種類の魚、134種類の鳥、45種類の哺乳動物などを脅かしています。
さらには、死亡した或いは死にかけた150匹のカメがメキシコ湾の岸に打ち上げられました。
この原油は、フロリダ諸島やマイアミ・キューバまで漂着すると見られます。
湖沼生態学専門家 スティーブン・デイビス
「心配なのは原油がフロリダ諸島に漂着し、フロリダ湾に入り、マングローブやサンゴ礁の生態系などに影響することです」
さらに続けます
「原油の影響は数年続くでしょう。寿命の長いカメへの影響は数十年に及ぶでしょう」
さらに地元の漁業や造船業も下降気味です。この事故の影響を受けて、この地域の禁漁区域は4万6千平方マイルにまで拡大しました。
地元の漁師は、「船を出せない」と訴えます。
漁船船長 ボブ・ケニー
「多くの漁計画は取り消しです。皆、原油流出を案じています。全てが正常になるまでは、漁をしたくないそうです」
今回の事故によって、地元の漁業・海運・観光などが、数百億ドルの経済被害を受けたほか、多数の失業者も出たと見られています。
今回の事故は、アメリカの石油業界にとって大きな打撃です。深海に眠る石油が減った上、政府の監督管理も厳しくなるので、石油生産のコストが上がるからです。
この事故により、石油から代替エネルギーへの転換の動きが活発になるかもしれません。
大統領は現在、沖合いでの石油掘削計画を一時棚上げにしました。これにより、温暖化法案の国会通過が困難になるかもしれません。
今年はちょうど中間選挙の年です。原油流出事故はこの選挙のほか、アメリカの外交へも影響すると見られます。
流出した油を燃やす、ロボットを駆使する、巨大な箱を沈める……など、アメリカ政府とBPは必死に原油の流出を食い止めようとしています。しかし、どれも十分な効果は得られていません。サラザール内務長官は、「『徹底的な解決』には3ヶ月かかる」と漏らしました。