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肺炎(一)―SARSで有名になった非定型肺炎

2010年09月06日

肺炎、それは死を招くことすらある。現在日本人の死因の第4位を占めているが、では肺炎とは一体どのような病気なのか。肺にはぶどうの房のように、無数の肺胞があり、それを通じて酸素と二酸化炭素の交換を行っている。この肺胞は0.001ミリという実に薄い膜なので、もし炎症が起こり肥厚すると、肺に十分な空気が入っていけなくなり、しかも酸素の供給も困難になる。そこで、肺炎が悪化すると命取りになるのだ。

ところでこの肺炎は、典型的肺炎と非典型肺炎に分かれる。典型的肺炎は肺炎連鎖球菌の感染などにより肺葉全体に炎症が起こるが、治療は難しい。一方の非典型肺炎は肺全体に炎症が起こる。細菌性とウィルス性に分かれるが、対処する薬があるので治療はそれほど困難ではないそうだ。
 
「非典型肺炎」と聞いて、ハッとした方もいるかもしれない。実は、2002年11月中国広東省で発生し、制圧宣言が出るまでに8000名以上が命を落としたSARSを、中国政府は「非定型肺炎」と呼んだ。胡先生はこれを厳しく非難する。SARSすなわち重症急性呼吸器症候群という正式の呼び名に比べて、非定型肺炎には恐怖感が少ない。これこそ中国政府が意図したことではないかと指摘するのだ。しかも、元軍医の蒋彦永博士は中国がSARSの発生を隠蔽していると暴露。確かに中国政府の隠蔽により、医療関係者や周囲の人は十分な予防措置を取れず、対策も後手に回って世界中へ感染が広まる素地を作ってしまった。この「真実の隠蔽」を胡先生は何よりも強く批判している。
 
感染病についてはよく、感染源を割り出し感染経路を経つ大切さが強調されている。だが、その前提となるのは正しい情報だ。正しい情報こそがあらゆる対応策の基本になる。だから、中国の「隠蔽」は多くの死を招いたと言っても過言ではない。真実を伝えること、それがどれほど大切なのかを痛感させられる。

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