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腎結石(二)―「化石草」自分こそ最良の医者

2010年09月13日

石が腎臓にたまる腎結石は、人体にどう影響するのか。糸球体などにたまれば尿のろ過が出来なくなる。腎盂(じんう)や尿管にたまれば、尿が正常に流れていかなくなる。したがって悪化すれば、水腎症や腎不全にまでいたってしまう。 

通常の治療法だが、薬で溶かすか、結石を衝撃波によって細かく砕いて自然な排出を待つか、あるいは手術をするかである。薬で溶かすといえば、中国には「化石草」と呼ばれる草があるという。漢字が示すとおり「石を化す」、つまり石を溶かす草のことだ。
 
この「化石草」にはちょっとした逸話がある。卵を飲み込む蛇を見たある人が、ちょっとしたいたずらを思いついた。「卵に石を入れたらどうなるか」。この魂胆をつゆも知らない蛇は、石の入った卵を飲み込んでしまった。もちろん、蛇はもがき苦しんだ。何とかしようと、草むらに入ってある草を探し出して食べると、なんと蛇のお腹に入った石が溶けて消えたという。これが「化石草」の由来だ。
 
もちろん、これが人間に効くかどうかは定かではないが、ひとつ興味深いのは蛇が自身の症状にぴったりの薬を探し当てたことだ。経験をつんだ医者や薬剤師だって、なかなか思い通りには行かない。まるで、自身こそが最良の医者だといっているようだ。
 
胡先生によると、人間は元々こうした能力――自分の体調に最もふさわしい薬や食べ物を探し当てる力を備えていたのだという。しかし、科学の発展と共に、分業がいっそう進化した。自分の体調はプロに診てもらえばよい。だから自身でケアをする能力が自ずと廃れていったのである。
 
本来の能力を取り戻す、そのための唯一の方法、それは本来の自分に立ち返ること。すなわち返本帰真である。逆に言えば、本来の自分から遠ざかるほど、本来の能力である本能は消えてなくなってしまうのだ。

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