【新唐人2014年6月23日】中国当局が国債を発行して育てて来た国有企業が最近、アメリカの貧困地区に1億ドル近くを投資し、工場を建設しました。先月完成したこの工場は、地元の就職問題を解決したと、中国メディアによって大きく取り上げられています。一方、中国にはまだ600近い貧困県がありますが、国有企業はなぜ中国より裕福なアメリカの貧困者を助けるのでしょうか。報道をご覧下さい。
6月2日、「人民日報」は「アメリカの貧困県にチャンスをもたらした中国金竜」というタイトルの文章を掲載しました。それによると、国有企業「金竜精密銅管集団」がアメリカで最も貧しいと言われるアラバマ州ウィルコックス郡に1億ドル近くを投資して、大型の銅管工場を建てました。工場ができたことによって、近隣の複数の郡や市の、半世紀近く新たな工場建設がなかった歴史に終止符を打ったとのことです。
文章ではまた、「地元発展局の役人は金竜集団が彼らを21世紀に導き、農業社会から工業社会に入る事ができたと賞賛した」としています。また、「アラバマ州知事は、金竜集団は最も貧しい郡の500世帯に美しい生活の機会をもたらした。彼らはこの日を3年前から待ち望んでいたと感謝の意を述べた」と報じました。
この報道に対し、香港のアップルデイリーは、「アメリカの政府役人が本当に人民日報の報道のような言葉を並べたのかどうか定かではないが、投資の動機は様々な憶測を呼んでいる。政治的な要素があるのか。あるいは投資移民?それとも国有企業のマネーロンダリングなのかどうかについては、報道では全く言及していない」と疑問を呈しています。
一方、アラバマ州政府の公式サイトによると、「金竜集団」が雇った職員数は150人で、2;19今後1年半の間に300人まで増やす予定だそうです。
米サウスカロライナ大学 謝田教授
「アラバマ州には韓国の自動車企業やベンツなど、ドイツの自動車企業が大量の資金を投じています。彼らは数百、数千人の労働者を雇っていますが、アラバマ州を『農業社会から工業社会へ導いた』とは言っていません。だからこれほどの自画自賛には値しません。世界の中国人に恥をかかせています」
2010年の全米人口調査によると、人口わずか11000人あまりのウィルコックス郡では、ミドルクラス世帯の年収は2万2200ドルで、1人当たりだと1万900ドル。アメリカ平均の半分以下です。
一方、中国当局のデータによると、去年、中国の貧困県の数は2012年から変わっておらず、国家級の貧困県は592に上ります。
中国統計局が定めた中国人の標準年収は200ドル、人民元で1274元です。これに基づくと、標準以下の生活をしている中国の貧困人口は2688万人の計算になります。しかし、国際基準に基づいた場合、中国の貧困人口は1億5000万人になります。また、年収400元にも満たない地区もあり、アメリカで最も貧しい地区の平均年収の100分の1にもおよびません。
湖南省の貧困県、石門県では、貧困から抜け出す為に長年「鶏冠石」を採掘して「ヒ素」を精錬しています。結果、大気、土壌、水などが全部ヒ素に汚染され、小麦のヒ素含有量は基準値の28倍だそうです。長年ヒ素汚染の中で生活している村民の多くが「ヒ素中毒」による症状に苦しんでいます。
では、金竜集団はなぜ、自国の貧困者を無視して、アメリカの人たちを援助するのでしょうか。
在米中国問題専門家 張健さん
「やむを得ない選択でしょう。民営でも国営でも、中国では資金の流れの問題があり、最も安全な方法が投資という方法で、資金を海外に移すことです。海外では地元法律の保護を受けられるのです」
金龍集団の公式サイトによると、金龍集団は国家級重点プロジェクトで、かつて複数の最高指導者が視察しています。2001年と2003年に発行した国債のいずれもが、金龍集団に使われています。
在米中国問題専門家 張健さん
「金竜は今は中共の寵児です。しかし今日は寵児でも、明日は嫌われ者になるかもしれないということをよくわかっています。人々が中共を捨てる原因がここにあります。現在の趨勢です」
人民日報によると、今年、中国の対米投資額は、アメリカの対中投資を超える可能性があるそうです。
国際不動産サービス会社「サヴィルズ」のデータによると、去年、中国人の海外不動産投資総額は135億ドルに上り、前年の63億ドルから倍増しています。また、他の調査データによると、富裕層の8割が子どもに海外で教育を受けさせることを望んでいます。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2014/06/06/atext1114167.html (中国語)
(翻訳/坂本 ナレーター/佐藤 映像編集/李)