【新唐人2014年8月28日】「農村部の人にとって、日頃きれいな水を飲むのは、贅沢な望みである」。これは中国の環境保護NGO「創緑中心」が先日発表した報告書の中の言葉です。中国は経済成長の為にかつてないほどの環境コストを払っているにもかかわらず、環境汚染は深刻の一途を辿っています。その原因について、中国で長年環境部門の幹部を務めた専門家に話を伺いました。
NGO「創緑中心(グリーノベイション ハブ)」の「一杯のきれいな水プロジェクト」は昨年の末までに、中国の96か所の村や学校で調査研究を行ってきました。報告書では72の村と農村地区の学校6か所の、憂慮すべき飲用水環境の現状を報告しています。
報告書によると、半数以上の村の飲用水に問題があります。地表水の水源が減少しているだけでなく、水源の汚染は深刻化の一途を辿っていますが、住民は未処理の水を飲んでいます。一部の村では多くの村民が口腔疾患、結石、皮膚炎などを患っていますが、飲用水の水質との関係が指摘されています。
飲用水の主な汚染源は工業汚染、養殖業、ごみ処理施設などがあげられています。このほか、水道管がメンテナンスされていないため、生水を飲む農村地区の子供たちにとって、リスクが大きいと指摘されています。
しかし、農村だけが飲用水の安全問題を抱えているわけではありません。昨年、メディアの報道によると、「中国の半数の都市の飲用水が不合格」です。今年3月、環境保護部も、「中国2.8億の住民が安全でない水を使用している」と発表しました。では、中国の水汚染問題は、なぜ治理するほど深刻化しているのでしょうか。
中国国内で長年、環境部門の幹部を務めた高博士が、あまり知らされていない環境体制上の原因を明かしてくれました。
元中国環境管理職員 高博士
「実は中国の環境保護目的は最初から間違っています。人々の生活の為ではなく、経済成長の為でした。汚染処理の方法においても、経済成長を考慮します。だから治理の過程で、『汚染排出費』の徴収問題が生じるのです。しかし この『汚染排出費』は汚染物質を排出させないよう、企業に圧力を加えるために、徴収するものではなく、逆に 環境保護部門が環境資源を代償に金儲けをしているのです」
報告書ではまた、地方政府は政治業績より品質を重視すべきであり、調査、設計、管理監督をしっかり行うよう提案しています。高博士によると、地方官僚に対する評価基準の中には「環境項目」があり、ほかの項目が基準に達していても「環境項目」が不合格ならば、そのほかの成績もすべてゼロになるそうです。
元中国環境管理幹部 高博士
「環境保護の際、たとえその都市の環境品質が非常に悪くても、この都市への評価、市長への評価を考慮して、別のデータを作成します。基準値に達したデータを作って、省、中央政府の順に報告します。だからデータ上では、都市や農村の環境は毎年良くなっているように見えます」
高博士は、環境保護データに問題があるだけではなく、汚染企業の管理監督に関する政府のデータにも問題があると指摘します。例を挙げると、甘粛省では汚染物質排出管理の為に100社以上の企業を閉鎖したことがあります。
元中国環境管理幹部 高博士
「100社以上と言っても全て小規模企業です。一部は名前だけで、生産記録もない企業です。100社を全部合わせても、甘粛省『白銀有限公司』の汚染には及びません。ではこの企業はなぜ閉鎖しないのでしょうか。地元最大の納税者だからです」
環境保護部門は環境保護の名目で金を設け、地方官僚はニセのデータで政治業績を上げます。政府のいわゆる「大々的な改善措置」は、データだけを見ればとても効果的です。
元中国環境管理幹部 高博士
「今の中国の環境保護方法、或いは今の国の運行システムでは汚染は治りません。経済成長を根本とする政策を変えなければ、不可能だからです。国全体の運行システムを『以人為本』(人をもって本とする)システムに変えねばなりません」
「人をもって本とする」。つまり飲用水をただのデータ上で合格させてはならないということです。長江に豚の死骸が漂流していても、当局は飲用水の基準に達していると評価しました。しかし高博士は、このような水は飲めないと指摘します。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2014/08/19/a1131560.html(中国語)
(翻訳/赤平 ナレーター/水田 映像編集/李)