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エジプトの混乱 北京は厳しく制限

2011年01月31日
エジプトの混乱 北京は厳しく制限

【新唐人日本2011年1月31日付ニュース】チュニス政変は、瞬く間にエジプト、ヨルダン、イエメン、アルジェリアなどのアラブ各国に波及し、広い範囲で反政府デモが発生。特にエジプトでは、政権の危機にまで陥った。欧米各国は、暴力の回避をムバラク大統領に呼びかける一方、中国は関連報道に厳しい制限をかけている。

 
1月25日から、エジプトでは30数年ぶりの大規模なデモが発生。人々は、82歳のムバラク大統領の退陣と30年敷かれている非常事態令の解除を求めた。
 
警官とデモ隊が衝突で死傷者が発生。機動隊も催涙ガス、ゴム弾、放水などで対応した。スエズでは26日夜、政府機関ビルが焼き討ちに遭った。
 
28日、首都カイロでは夜間外出禁止令を無視した数万名が、国営テレビ局や外務省などを取り囲んだ。与党本部ビルなどが放火されたほか、警察はデモ隊に発砲し、死者も出た。
 
軍は、カイロの重要地点に戦車を配備したものの、国家博物館は28日の夜、略奪に遭い、一部の所蔵品が被害に遭った。連日の衝突により、多くの商店や建物も襲撃されている。
 
30日、デモ隊はカイロ市中心のタハリール広場を占拠。エジプト政府は、目下800人を拘束したというものの、人権組織は拘束された人は、2,000人を超えるという。
 
カイロの携帯電話は29日に回復したものの、インターネットはまだ寸断されている。
 
ムバラク大統領は28日の夜、テレビ演説をし、内閣解散のほか、政治・経済改革を約束したものの、辞意は表明しなかった。
 
29日、ムバラク大統領は、スレイマン情報局長官を副大統領に、シャフィク前民間航空相を首相に任命。これはムバラク政権にとって初めての副大統領職の設立である。
 
野党は、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ前事務局長を、政府との交渉役に指名した。
 
ノーベル平和賞獲得者のエルバラダイ氏は、28日、イギリスの新聞“ガーディアン”に対し、“民衆の声に耳を傾け、具体的な行動で改革を行い、民主てきで公平な新たなエジプトを築くべきだ。事態が平和な的な方向に発展にすることを望む”と政府へ訴えた。
 
28日の夜、アメリカのオバマ大統領は、ムバラク大統領と電話会談し、政府とデモ隊、双方とも自制し暴力的な事態を避けるよう要求。ただし、ムバラク氏をアメリカの大切な盟友だとも認めた。
 
イギリスのキャメロン首相、ドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ大統領も共同声明で、ムバラク大統領へ、武力弾圧の回避を呼びかけた。
 
オバマ大統領は、“エジプトは多くの重要問題で我々の盟友であり、イスラエルとも平和協定を結んでいるほか、ムバラク大統領は、中東の一連の難題で大きな貢献をしてきた。しかし同時に、政治改革、経済改革など改革面での進歩を約束するよう求めてきた。これらは絶対にエジプトの長期的な安定にとって肝心だからだ”と語った。
 
イスラエルはエジプトの混乱がイスラエルの安全に波及するのを案じている。ネタニヤフ首相はすでに、エジプト問題で発言を慎むよう閣僚や政府報道官に命じた。
 
イスラエルは、エジプト、シリアなど周辺各国と5度の大規模な戦争を経験。エジプトはそのうち、初めてイスラエルと平和協定を結んだ中東国家だ。
 
イスラエル国営テレビ局は、国防関係者の話として、イスラエルが最も案じているのは、エジプトの最大野党“ムスリム同胞団”などのイスラム勢力がエジプト政権を握ることだと報道。
 
英国BBCなどの国際メディアは、エジプトのデモの影響は中東を遥かに超えたと指摘。エジプトは、米国の軍事援助を受ける国として、イスラエルに次ぎ第2位であり、エジプト政局の行方は、中東和平と国際情勢に巨大な影響を与えると分析している。
 
雑誌“中国事務”の伍凡編集長は、“エジプトは、非常に特殊な地域だ。スエズ運河を通過する国なので、世界の経済貿易やエネルギーの輸送にとって、非常に重要な航路がある。もしこの国が長期的に不安定ならば、世界経済に重大な影響をもたらす”と案じている。
 
一方中国政府は、エジプトの混乱に対し反応が控えめだ。ラジオ・フランス・アンテルナショナルは、中国のネット情報として、国務院と公安省は共同で以下のような報道禁止令を出したと伝えた。“エジプトの件は、中国全土のメディアは必ず新華社の記事を使うこと。外国メディアの記事の翻訳編集は厳禁。ネットのコメント、転載、ブログ、フォーラムなど、管理を強め、必要ならば強制的に閉鎖せよ”
 
“シナネット”など多くのブログでは、“埃及(中国語でエジプトの意味)はすでに敏感な言葉になっており、検索できない。かつて中国外交省で勤務していたネット作家の楊恆均は、シナネットのブログに、エジプトの事件の感想を書いたために、直ちに削除された。
 
この当局の挙動は、エジプトの反政府活動が中国のネットユーザーの共感を呼ぶのを恐れているからだとの分析がある。中国の政治腐敗、独裁政権、高失業率、食料価格の高騰、貧富の格差などは、エジプトやチュニスと似通っている、あるいはもっと深刻とさえいえる。中国の政治変革を求める巨大なうねりにつながるのは時間の問題ともいわれる。
上のリンクをクリックすると、このニュースの中国語版が見られます。

 

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