【新唐人2015年02月12日】香港で「粉ミルク購入制限令」が出されてから2年近く経ちますが、粉ミルクを大量に購入し中国本土に持ち込む現象は却って深刻になっています。香港の呉蕙芳(ご けいほう)裁判官は最近、この問題について、「国民が国産の粉ミルクを恐れるのは国の恥であり、悲しいことだ」と直言しました。
近年、中国産食品や製品に自信を無くした多くの中国人が、香港や海外で粉ミルクなどを大量に買い占めています。中には、投機目的のために並行輸入品を中国本土に運ぶ人もおり、俗に「水客(すいかく)」と呼ばれています。
ラジオ・フリー・アジアによると、香港で「粉ミルク購入制限令」の実施後、「水客」は主に羅湖(ローウー)、皇崗(ウォンコン)などの税関で捕まるため、「制限令」違反の案件は香港の粉嶺(ファンレン)か、屯門(テュンムン)の裁判所で審理されます。
2月5日、香港の粉嶺裁判所の呉蕙芳主任裁判官は24件の「粉ミルク購入制限令」違反案件を集中審理した際、「2013年に2700件の類似案件を審理したが、2014年には5000件以上に急増した」と示しました。裁判官によると、昨年から処罰を強化したにもかかわらず、状況は好転しておらず、「水客」が30キロの乳幼児用粉ミルクを密輸するのは、ごく当たり前のことで、状況はすでに制御不能であると嘆きました。
6日、再び23件の類似案件の審理を行った呉裁判官は、「国産の粉ミルクを自国民までが恐れるとは、これは国の恥であり、悲しむべきことである」と法廷で述べました。
香港立法会議員 単仲偕さん
「数年前の『結石ベビー』問題は周知のことです。一部『結石ベビー』の親は中国の様々な部門に責任追及しましたが、逆に原告から被告になってしまいました。これは本土人の悲哀です」
2008年、中国大陸では世界を揺るがした「メラミン入り粉ミルク事件」が発生しました。有毒な化学工業原料であるメラミンを混入した粉ミルクを摂取した多くの乳幼児が、腎臓結石などを発症しました。三鹿(サンルー)、伊利(いり)、蒙牛(もうぎゅう)、光明(こうめい)など、中国大陸の有名乳製品メーカーも事件に関連したと指摘されました。当時、各地で有害粉ミルクが原因で治療を受けた乳幼児は、1万人以上に上りました。
しかし、中共当局は有害粉ミルク事件の実情を全力で隠蔽し、かえって被害者らを抑圧しました。どうする事も出来ない状況のなか、北京の趙連海(ちょう れんかい)さんは「結石ベビー」の父親として有害粉ミルクの被害者団体「結石ベビーの家」を立ち上げました。
しかしその後、趙さんは「騒動挑発罪」という罪名で逮捕され、2年半の実刑判決を言い渡されました。
実際、有害粉ミルク問題は、中国の食品安全問題の氷山の一角に過ぎません。
近年、中国大陸では偽物、有害製品が氾濫し、粉ミルク以外にも、重金属に汚染された米、地溝油(ちこうゆ)、毒入り歯磨き粉、毒もやし、病死した豚の肉、漂白剤を使用した鶏の足、偽玉子、偽物のタバコや酒、偽ワクチン、子供の毒おもちゃなど、枚挙に暇がありません。さらには古くなった革靴などに工業用ゼラチンを加えた「毒カプセル」など、まさに毒のないモノはなく、防ごうにも防ぎようがありません。
この他にも、GDPの成長率のみを追求した結果、深刻な環境汚染がもたらされ、土壌や水源から空気に至るまで、汚染状況は日に日に深刻化しています。
山東大学元教授 孫文広さん
「当局は人々が住む環境、食品、空気を無視しています。現在北方の多くの都、例えば私の住む済南市は十大汚染都市の1つで、外出するのも怖いほどです」
福建省のフリーライター、廖祖笙(りょう そしょう)さんは「大紀元時報」の取材の際、「中共の眼中にあるのは金銭だけで、道徳など全く考えていない。中共の独裁体制と奴隷化教育のもと、中国大陸の人々の道徳の滑落はこれ以上にないほど深刻だ。だから大陸の有毒食品の氾濫も当然なことである」と述べました。
メラミン入り粉ミルク事件以降、大陸ではますます多くの人が香港から安全な粉ミルクを購入しようとしています。このため香港では粉ミルクが不足し、地元の市民すら買えなくなりました。
2013年3月1日、香港政府は香港から持ち出せる粉ミルクの数量に制限をかけました。1人が所持できる数量は2缶まで、重量は1.8キログラムを超えてはなりません。違反者は罰金が科されるか、または拘留されることになります。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/02/09/a1175843.html(中国語)
(翻訳/赤平 ナレーター/村上 映像編集/李)