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【禁聞】水不足の北京で如何に冬季五輪を開くのか

2015年04月22日

【新唐人2015年04月22 日】「深刻な水不足と雪の降らない北京で冬季オリンピックを開催できるのか?」3月の全人代で、北京代表団の開放日にあるドイツ人記者がこのような質問を出しました。北京が2022年の冬季オリンピック開催国に立候補した後、北京の「水不足」が話題になっています。

 

北京の立候補申請資料によると、冬季オリンピックの雪上競技は北京の延慶県と河北省の張家口市が会場となっています。しかし公開資料によると、延慶県は年間降水量400〜500mm、半干ばつ地区。張家口市の降水量も97年から減少し始めていることに加え、清水河の水資源も枯渇しつつあります。地下水も過度に採取され、水不足問題が深刻です。

 

一方、北京が提出した申請資料には、「この競技区には雪上競技のための水資源が充分にあり、人工雪を造る為に必要な水量を満たしている」とあります。また、「スキー場付近の水資源は充分であり、雪解け水も回収して利用できるため、冬季五輪期間中の人工造雪が地元の生態系にマイナス影響を及ぼすことはない」としています。

 

民間の環境保護活動家 張峻峰さん

「いずれも水不足の地域なので、人工的な方法で行うのでしょう」

 

しかし、民間の環境保護団体は当局のように楽観的ではありません。

 

中国の環境保護NGO「縁家園」の発起人、汪永晨(おう えいしん)さんによると、1人あたりが保有する水資源の世界平均は約8000トンですが、中国人の平均保有量は3000トン。北京市民となると、わずか100トンです。さらに現在、北京の水源である密雲ダム、懐柔ダムおよび官庁ダムのうち、懐柔ダムはすでに利用できなくなっており、官庁ダムも水質に問題があります。密雲ダムは最大貯水量が40億立方メートルですが、現在の貯水量は1億立方メートルしかありません。

 

環境NGO「縁家園」発起人 汪永晨さん

「人工雪で五輪を開催することは反対です。水不足が深刻だからです。実際2008年に開催国に立候補した時、中国にはやれることが他にもたくさんあるのに、なぜこんなことをして、国際的影響を拡大せねばならないのかと思いました」

 

政府系メディア「新華網」さえも数年前、人工造雪に中水(ちゅうすい)を使うとしても水資源の浪費であることに変わりないと報道しました。中国スキー協会が北京のスキー場10か所に対し行った調査によると、人工造雪に使われる地下水の回収率は40%前後しかなく、大量の水が浪費され、山岳地域の春季干ばつに拍車をかけています。また、人工造雪は植生に対しても影響をもたらすと、生態専門家は指摘しています。

 

環境保護活動家らが懸念しているのは、このような人工造雪が一度だけで終わらないことです。北京冬季オリンピック申請委員会は国際オリンピック委員会に対し、2022年の冬季オリンピックを「持続的発展が可能な冬季五輪」にすると誓約しています。

 

例えば延慶競技区で建設が計画されている「高山スキーセンター」は、競技終了後、中国の高山スキーとリュージュ・ボブスレーの訓練専門の基地となり、さらには一般のスキー愛好家にも開放されることになります。つまり、オリンピック開催が決まれば、スキーセンターでは毎年人工造雪が行われることを意味します。

 

民間の環境保護活動家、張峻峰(ちょうしゅんほう)さんは、スキー産業が現地で発展し続けることは不可能だと考えています。

 

民間の環境保護活動家 張峻峰さん

「持続不可能な原因は現地の水資源の量では、この産業の運営と発展を支えるのは無理だからです。長期になれば、現地の生態環境に大きな影響を及ぼすでしょう」

 

一方、現地の住民にとっては、スキーや観光業で生計を立てているわけではないため、人工造雪は利益よりも弊害の方が多いと思われます。当局は張家口祟礼(すうれい)スキー場に近い雲州ダムから水を運び、冬季五輪の「雪不足」を防ぐ準備をしています。工事の完了後は、年間500万立方メートルの水が運ばれるようになります。ニューヨークタイムズは雲州ダム付近に住む農民の話を引用し、気候の変化で降水量が減少し続けているため、農業耕作がますます困難になっていると伝えました。

 

民間の環境保護活動家 張峻峰さん

「この種の工業化がさらに加速化し、この種の娯楽施設がさらに増えれば、(北京地区の)水田が消えたように、張家口附近でも農業に徐々に危機と変化が現れるでしょう」

 

当局の計画に基づくと、張家口の祟礼地区では冬季オリンピックのスノーボード、フリースタイルとクロスカントリースキー競技が行われます。この地区にはスキー場がすでに何か所もありますが、新たに五輪用スキーコースとリュージュコースの建設が進められています。閉鎖していた大型スキー場も再び開放されました。北京が冬季オリンピックの開催権を勝ち取れば、他のスキー場も規模を拡大する予定だそうです。

 

新唐人テレビがお伝えしました。      

http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/04/14/a1190616.html (中国語) 

(翻訳/赤平 ナレーター/村上 映像編集/李)

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        

 

 

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