【新唐人2015年05月30日】5月25日は「国際失踪児童の日」でした。中国では毎年多くの児童が行方不明になっており、近年は増え続けています。児童の誘拐と人身売買が根絶できない背景に何があるのでしょうか。
失踪した子どもを探すための専門サイト「中華尋人網」には、多くの事例が掲載されています。中の一人、羅超凡(ら ちょうぼん)君。1998年9月1日、湖南省生まれです。4歳半の時、幼稚園から誘拐されました。
羅超凡の母親 張貴紅さん
「息子の羅超凡は2003年3月19日、午後3時半頃に郴州市金太陽幼稚園で、父親を装った人に連れて行かれました。今日まで12年 4361日が過ぎました。この12年間、ママはずっとあなたのことを思い、ずっとあなたを探しています」
羅超凡君の失踪後、幼稚園は賠償金として家族に数万元を支払いました。一方の警察は、手がかりがなくなったとして、調査を中断しました。諦めきれない父親は未だに各地で出稼ぎをしながら、息子を探し続けています。母親の張さんも、インターネットの各ポータルサイトに息子を探す知らせを出し続けています。
羅超凡の母親 張貴紅さん
「心の中が空っぽになり、天が崩れ落ちたような気分です。それでも子どもを探し続けるしかありません。強く生きながら探し続けます」
失踪者を探すための専門サイト「中華尋人網」には、同じように誘拐されて失踪した子どもの事例が33件掲載されています。サイトの責任者、代さんは失踪児童の家庭を助けるために、10年前にこのサイトを立ち上げました。代さんには被害者からの電話が1日平均8件から10件、多い時には30件もかかってくるため、携帯電話の電源を24時間オンにしています。
ドイチェ・ヴェレの報道によると、中国では毎年大勢の児童が行方不明になっていますが、政府による統計はなく、年間10万人程度と推測されています。一方代さんは、失踪児童の数は毎年増え続けていると話します。
「中華尋人網」責任者 代さん
「失踪児童数が増加の傾向なので、はっきりした統計はありません。多くの場合、子どもは大人の視線から離れ、それからいなくなっています。失踪児童の子どもは10歳以下であれば、ほとんどが誘拐の可能性が高いのです」
失踪児童を探すためのもう一つのサイトの法律顧問、張志偉(ちょうしい)弁護士によると、児童の誘拐と人身売買に対し、当局は家族に無料の血液検査とDNA鑑定などのサービスを提供しています。また、児童と少女の人身売買事件は刑事事件として立件し、専門捜査チームを結成し、捜査に臨むなどの措置を採っています。
では、児童の誘拐と人身売買問題は、なぜ根絶できないのでしょうか。
河南省新郷市公安局元警官 何祖華さん
「子どもが失踪すると普通警察に通報します。しかし一部の地域では、これをあまり問題視していません。類似事件が何件も発生してから、ようやく上の注意を引き、また市民も絶えずネットに投稿したり、抗議したりするので、それでようやく動き出すのです」
「中華尋人網」責任者 代さん
「子どもの家族を探すのに、一番いいのがDNA鑑定です。簡単なことですが、管轄範囲でないので、権限がないと言われると、できなくなります。これは中国社会の不合理な現状でもあります」
大陸の元警官、何祖華(か)さんも、末端の警察官の苦しい立場を明かしました。
河南省新郷市公安局元警官 何祖華さん
「末端の警官も難しい立場にあります。多くのことは警察の管轄外のことでも、地方政府からやらされます。例えば強制立ち退きなど。だから警察の立場も難しいのです。警察のやるべき業務さえもできなくなるのです」
羅超凡君の母親も今、ボランティアスタッフの一員となり、子どもを持つ家庭に誘拐防止意識を強めるよう促しています。また、今年も希望を捨てずに、生きていれば17歳になる息子の行方を探し続けています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/05/26/a1199237.html (中国語)
(翻訳/坂本 ナレーター/佐藤 映像編集/李)