【新唐人2015年07月01日】年金は高齢者の命綱なので、投資をするなら、まずは資産の安全を確保しなければなりません。しかし中共当局は、1兆元もの年金をハイリスクの株式市場に投入することを決めました。当局はなぜ、あえて危険を冒すのでしょうか?
6月18日、人力資源・社会保障部の官僚は、年金投資政策について、次の新たな政策を打ち出した後、3割を超えない割合で株式投資すると明かしました。
専門家によると、2014年末までで、中国の基本年金の累計余剰金は3兆5000億元。補充年金の積立基金はおよそ7600億元。30%だと、1兆3000億元の年金が株式投資されることになります。
社会保障基金の90%を占める年金は、社会保障の中核と言えます。
今年4月3日、財政部の副部長は、社会保障基金について、民衆の「命の綱」で、全国民の財産でもあるので、安全第一の原則から、株式投資はしないと発言していました。
昨年10月、人力資源・社会保障部農村社会保険局の慮海元(ろ かいげん)副局長はメディアに対し、中国のA株は投機性が高く、完全にコントロールされた市場なので、そこに年金を投資する必要はないとコメントしていました。
慮副局長の分析だと、2008年から2011年まで、株式投資した全国社会保障基金のうち、年平均で167億元近くが損失となったと分析しました。
年金の株式投資は高い関心を呼んでおり、ポータルサイトの網易(ワンイー)だけでも10万人近いネットユーザーが討論に参加していますが、大部分が年金の株式投資に反対しています。
米サウスカロライナ大学・謝田教授
「中国の株式市場は高リスクです。中共が年金を株式投資しようとするのは、中国は年金を始めたのが遅いので、すでに赤字だからでしょう。しかも年金の多くが着服されたそうです」
2006年、上海市労働・社会保障局の祝均一(しゅく きんいつ)局長は、補充年金保険金の3分の1を流用したことが暴露されました。この事件では、総額で100億元が着服されたといわれます。
サウスカロライナ大学の謝田(しゃ でん)教授は、中国の株式市場について、特権階級や既得権益層の金儲けの道具に過ぎないと指摘し、中共の体制がその現状を助長していると分析します。
また謝田教授は、もし利下げでも低迷する株価を刺激できなかった場合、年金の株式投資によって、市民にも中国株の危機を共有させようとしていると分析し、それは明らかな責任逃れで誤りだと述べました。
上海株式市場はここ2週間で20%下落し、6月26日だけでも2069銘柄がストップ安になりました。その翌日、中国人民銀行は消費を刺激するため、追加利下げを発表しました。これは、最近8か月で4度目の利下げです。
北京の雑誌『国情内参』の首席研究員・鞏勝利(きょう しょうり)さんは、中国株式市場について、実体経済と連結していないため、空中に浮かぶ楼閣のようだと指摘。当局が実体経済を重視せず、GDPだけを追い求めているため、経済の持続的な成長につながらないと見ています。
北京の雑誌『国情内参』 首席研究員・鞏勝利さん
「実体経済を重視すべきです。中国は超大型国営企業の独占経済で、中小企業はまったく発展できません。そこで中国経済は持続的に成長できないのです」
鞏勝利さんは、中国経済が落ち込むのは、根本的な管理方法に問題があるためで、たとえ社会保険基金を株式投資しても、経済刺激の効果は短期間しか続かず、その場しのぎに過ぎないと指摘しています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/06/29/a1206889.html(中国語)
(翻訳/赤平 ナレーター/水田 映像編集/李)