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中国南部洪水で堤防決壊 再び手抜き工事の惨事

2016年06月26日

【新唐人2016年06月26日】

激しい雨が降り続ける中国南部の江西省鄱陽(はよう)県で20日夜、洪水により堤防が決壊しました。中国の公共土木施設に依然として欠陥工事が存在するのではないかと危惧する声が挙がっています。

 

中国南部で6月18日から激しい雨が降り続け、浙江省や安徽省など10省内の48河川に洪水警報が発動されています。政府発表によると、これまでに35人が死亡し24人が行方不明、被災者は768万人に上っています。

 

3日間にわたる豪雨により、長江の中下流域にある江西省鄱陽県の浜田ダムから川に水があふれ出し、20日の夜、堤防が決壊しました。

 

堤防は約100メートルにわたって決壊し、沿岸の住宅が水没しました。これにより約13000人が避難しました。

 

政府系メディアは今年4月、長江流域で今年、1998年に発生したのと同規模の大洪水が発生する可能性があると報じていました。ですが、長江沿岸の土木施設はその被害に備えていたのでしょうか。

 

近年長江の堤防建設事業に携わったことのある建設作業員が新唐人に明らかにしたところによると、部分的に安全が懸念される箇所があったと言います。

 

建設作業員・王さん

「堤防の下側には擁壁を築かなければなりませんが、夜半に作業するいくつかのグループでは、指示に従わず、セメントモルタルを使っていませんでした。」

 

98年の長江大洪水では1500人が死亡、2億2300万人が被災しました。江西省九江の堤防が60メートルにわたって決壊し、この際に当時の朱鎔基首相が「手抜き工事」だと非難しました。

 

同建設作業員によれば、通常、建設業者は政府役人に賄賂を渡して公共建設を入札した後、下請けの下請け、さらには悪質な建設作業員グループにまで作業を丸投げするということです。

 

また、中国には土木事業を監督する公正で独立した機関がなく、検査機関も容易に買収されると言います。各階層で利益を引き抜くので、人命に関わる土木事業が手抜き工事となると言います。

 

建設作業員・王さん

「土ならしの基礎工事では、土を最低5回はならし土の厚みを1メートルにしなければならない規定ですが、2回しかならさず、十分な厚みになっていないのをよく見かけました。堤防が完成してから見に行くと、水により土が大きく欠損していました。堤防の下の方の土が欠損してゆけば、堤防が決壊する危険があると思いました。」

 

長江の堤防は施工段階での手抜き工事のほか、設計ミスの可能性もあります。清華大学の黄万里教授は、長江流域の一連の土木建設の要である三峡ダムが、下流の堤防決壊など12通りの災害をもたらすと指摘し、当時の主席・江沢民に手紙を出して警告しましたが、工事の見直しは行われませんでした。

 

また、三峡ダムの貯水量が高く見積もられすぎているとし、下流域の江漢平原や武漢を水害から守るには重慶を水没させるしかなく、重慶を守るには下流域を犠牲にするしかないと指摘する専門家もいます。

 

長江流域ではこの6月から8月にかけて、大洪水が発生する可能性が60%あるとのことです。天災に人災が加わりさらなる被害をもたらさないか、心配されます。

 

新唐人テレビがお伝えしました。

http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2016/06/22/a1272611.html(中国語)

(翻訳/白白 ナレーター/淳萌 映像編集/李)

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