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長江上流で豪雨の恐れ、三峡ダムについて心配の声も

2016年07月08日

【新唐人2016年07月09日】

中国に接近中の超大型台風1号による被害が懸念されています。特に内陸部での洪水は、これから数日間にわたって四川省盆地に豪雨が降り、三峡ダムの水量が増量すると気象関係者が警鐘を鳴らしています。実際にダムが調節可能な水量は予測レベルに到底及ばないのではとかねてより専門家の間で懸念されており、予断を許さない状況です。

 

非常に強い台風1号は8日に中国に上陸、東部の6つの省と市を直撃すると見られています。

 

また、中国中央気象台の発表によれば、長江下流の主な雨域は次第に北上します。

 

 

7月7日から9日まで、四川盆地では豪雨が続き、総降雨量は100ミリ~300ミリ、一部地域では400ミリを超えると予想されています。

 

中国の気象専門家は、長江上流域の水量が増えるため、三峡ダムの流量が増えるのは明らかだと警告しています。

 

三峡ダムについて心配する声が多く挙がっています。

 

水利専門家・王維洛(おう いらく)氏:「ダムが洪水被害を食い止められるどうかは、ダムの洪水調節許容量がどれくらいかによります。簡単に説明すると、ダムの洪水調節許容量は川の年間総流出量と同等でなければなりません。エジプトのアスワン・ハイ・ダムはナイル川の年間総流出量をすべて許容することができます。三峡ダムの洪水調節許容量は政府発表によると221・5億立方メートルで、これは流出量の5%に相当します。中国科学院院士の張光斗氏は国務院の三峡ダム建設委員会に手紙を出し、221.5億立法メートルさえも計算ミスによって出した数字と指摘しています。ですので、三峡ダムの治水機能は非常に小さいと考えられます。」

 

清華大学土木科の周建軍教授は、三峡ダムの洪水調節許容量は実際には180億立方メートルと予測します。三峡ダムの水位が175メートルに達した場合、重慶市涪陵区(じゅうけいしふりょうく)が冠水するかもしれないといいます。

 

もしも再び1998年の時のような規模の洪水が起き、ダムの放水量を1秒間に4万5千立方メートルに抑えたいなら、三峡ダムの洪水調節許容量は360億立方メートルなければならない、と周教授は指摘しています。

 

水利専門家・王維洛氏:「三峡ダムが貯水するのなら、武漢の洪水被害を軽減できても、上流の重慶での被害は増します。三峡ダムが下流への放水量を増やせば、下流での洪水被害は大きくなります。」

 

政府が1800億人民元(約2兆7100億円)を投じ、国の威信をかけて建設した三峡ダムは、1994年に着工し2009年に利用が開始されました。

 

清華大学の黄万里教授はかつて、三峡ダムが長江下流の堤防を決壊し、川の交通阻害、移住、生態系破壊など12種類に及ぶ問題をもたらすと警鐘を鳴らしました。黄教授は当時の江沢民国家主席に3回手紙を送り、三峡ダムの建設に反対しましたが、江沢民はその警告を無視してダム建設を許可しました。

 

2014年、三峡ダム建設をめぐる大規模な汚職事件が、メディアによって明るみに出ました。

 

そして今、三峡ダムはその治水能力を問われる最大の危機に直面しています。

 

新唐人テレビがお伝えしました。

 

http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2016/07/08/a1275114.html(中国語)

 

(翻訳/白白 ナレーター/淳萌 映像編集/李)

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