【新唐人2017年4月21日】
アメリカ財務省がこのほど発表した各国の為替政策に関する報告では、トランプ米大統領が選挙で公約に掲げていたのとは異なり、中国を為替操作国に認定しませんでした。今回為替操作国への認定を免れた中国はこれで安心できるでしょうか。
アメリカ財務省は14日、半年に一度の為替政策に関する報告を発表しました。今回の報告では、選挙中トランプ大統領が公約に掲げていたのとは異なり、中国は為替操作国に認定されませんでした。
トランプ大統領は選挙期間中、中国が人民元を人為的に切り下げて輸出大国となり、アメリカ人の雇用を奪っていると批判してきました。
UCLA経済学者 兪偉雄氏:「先日行われた米中首脳会談はうまくゆき、互いに誠意をもって両国の経済問題や貿易問題、さらには北朝鮮問題など地政学の面でも協力し合えることを感じました。トランプは不必要な衝突や重大な災難を起こさないために中国が協力してくれることを願って、態度を軟化させたのです。」
米中首脳会談で両首脳は両国の貿易不均衡を解消するため「貿易100日計画」をただちに実施することで合意しました。これは中国が米国の対中貿易赤字を減少させる用意があることを示しています。
中国外務省の陸慷(りく こう)報道官は13日、中国は人民元の競争的な切り下げを回避すると述べた上で、米国との経済貿易関係がバランスよく発展してゆくようさらなる協力を行うと述べました。
トランプ氏の当選後、中国は実際に為替レートについて正常化をはかっています。米中首脳会談直前の3月30日には、中央銀行と外貨管理局がそれぞれ人民元の為替レートの幅を増やすと発表しました。
ここ数日の人民元の対ドル為替レートも上昇しています。
ですが今回のアメリカ財務省の報告は、米国の対中国貿易赤字が巨額に上っていることを強調しており、中国が為替操作を行っていないか監視リストに入れるとしています。
金融アナリスト 任中道氏:「報告は年に2回あるので、今回の調査では為替操作国に認定されなくても、次回も同じであるとは限りません。半年後の10月にまた報告があります。だから今回は為替認定国への認定を免れたとしても、中国は安心できるわけではありません。」
『ウォールストリート・ジャーナル』の報道では、アメリカ政府は引き続き中国の為替レート管理と貿易活動について注意してゆくとのことです。中国は人民元の下落を完全に抑えようと思っているのではなく、人民元の段階的な切り下げを行おうとしていると指摘しています。
もし人民元が大暴落すれば、中国の通貨膨張が輸入コストの値上がりに伴って加速され、資本の流出をコントロールすることができなくなり、中国に寄せられた信頼がそがれることになると報じています。
また、多くの中国企業が外債を返済するに当たって多くの問題に直面しているとも指摘しています。人民元が弱まれば、企業はさらに多くの人民元を支払ってドル債権を返済しなければなりません。⑪これらの企業の多くは国内での業務によって収入を得ており、債務返済とコスト高騰の圧力を受けて、国内の投資削減やリストラを余儀なくされる可能性があります。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の経済学者、兪偉雄(ゆ いゆう)氏は、人民元の切り下げは米中貿易摩擦を引き起こしただけでなく、さらにひどいことに中国の金融市場を不安定にさせたと指摘しています。
UCLA経済学者 兪偉雄氏:「かつて強かった人民元の価値はどんどん下がり、経済恐慌を引き起こしたことに人々は気づきました。そして資本の流出を招き、それがさらに人民元の暴落の原因となるという、ひどい悪循環に陥っています。」
金融アナリストの任中道(にん ちゅうどう)氏は、企業家のトランプ米大統領はアメリカの利益を最大にすることを重視しており、為替問題は最大の関心事ではないと指摘しています。
金融アナリスト 任中道氏:「この1~2年、人民元の下落、資本の流出、ドルの高騰によって、各国の資本がアメリカに流れています。ですから為替レートの問題はもう最大の問題ではなく、一番の問題は貿易です。高関税を課すなどのカードをちらつかせて、トランプは貿易面で中国に圧力をかけてくるでしょう。」
大統領府の管轄下にあるアメリカ合衆国通商代表部は3月30日、中国工業における過剰生産能力とダンピングや強制的な技術移転、米国産牛肉や電子決済サービスなどの輸入の長期に亘る禁止など、中国との貿易問題について批判しました。
兪氏はトランプ大統領は選挙公約を履行しなければならないので、遅かれ早かれ米中貿易の現状維持は不可能となるだろうと考えています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2017/04/17/a1320653.html(中国語)
(翻訳/白白 ナレーター/淳萌 映像編集/李)