【新唐人2011年9月4日付ニュース】リビアでは新政権誕生に向けた動きが活発になっているものの、物資が絶対的に足りません。そこで、イギリス、ドイツ、フランスの3カ国は、国連制裁委員会に対し、食料などの緊急救援物資を購入できるようにするため、銀行に凍結されているリビアの資産のうち、約50億ドルを引き出せるようにすることを提議しました。しかし、中国の国連代表団は、これに難色を示しました。
AFP通信によると、イギリス、ドイツ、フランスの3カ国は合わせて、50億ドル近く、日本円で約3500億円のリビアの資産を凍結しています。
リビア新政権を担う予定の国民評議会はこの直前、人道援助のため、海外にあるリビアの資産の凍結解除を求めていました。これに対し、イギリス、ドイツ、フランスの3カ国は食料購入のための資産凍結解除に同意したものの、中国国連代表の反対に遭います。
中国の社会問題に詳しい程暁農さんによると、カダフィ政権崩壊に対し、中国政府はずっとあいまいな態度を取り続けていました。カダフィ政権の終わりが近づくと、態度を変えましたが、それは表面だけに過ぎないといいます。
中国社会問題研究家 程暁農さん
「暫定政権に凍結資金を渡す問題について、中国政府は背後で、妨害していました。
この点 見て取れます。中国政府はカダフィのような独裁者の失脚を見たくありません。
だから中国政府は心穏やかではありません。機会があれば動きます」
中国政府もカダフィと同じ独裁政権。ただし、独裁政権の崩壊が避けられないことは歴史が物語っていると程さんは強調します。
AFP通信によると、国連の規定では、反対がない限り、国連制裁委員会は提議の3日後には、資金凍結解除を承認できます。そこで、イギリス、ドイツ、フランスの国連外交官は、中国の国連代表が反対しないよう、説得を続けているそうです。
山東大学 孫文広・元教授
「過去を振り返ると中国共産党はカダフィの味方でした。リビアの飛行禁止空域の決議でも、中国は棄権しました。リビア反政府派の存在も、その正当性も認めていません。つまり多くの面でカダフィ寄りなのです」
カダフィ政権の資金凍結解除に中国政府が反対することについて、中国の多くの高官がすでに資産を海外に移しているため、それらの凍結を恐れているのだとも述べました。
アメリカ在住の中国人経済学者、何清漣さんも自身のブログでこの問題を指摘しています。欧米にある独裁者の巨額資産に対し、欧米各国は凍結したうえで、それらの資産をその国に返すと宣言していると指摘。返還された資産は、国民の生活を良くし、司法システムの基盤づくりに使われるといいます。何清漣さんはさらに踏み込んで、独裁者が不正な手段で手に入れた大量の富は、最後の砦を失ってしまうとも分析しました。
新唐人テレビがお伝えしました。
(中国語)