HOME > ニュースページ > 世事関心 > 詳細

【世事関心】二面性を持つ中国どこへ・危機(3)―モラルの崩壊

2012年12月25日

二面性を持つ中国どこへ・危機(下)――モラルの崩壊

 

新疆ウィグル自治区、カラマイ市の西5キロにある墓地には、284人の子供が眠っていますが、墓石にはみな、“1994年12月8日国の犠牲になった”と彫られています。

 

その日の夜、地元の教育委員会が組織した小中学校15校の教師と生徒が、教育委員会の指導者のため、芸術公演を実施。夕方6時、ライトで舞台のカーテンが燃え始めると、瞬く間に火の手が700人余りの観客に襲いかかりました。避難を誘導する者すらいない中、官僚はマイクで子供たちに“落ち着いて、座りなさい”“指導者を先に行かせるように”と命令。数分後、明かりが消え、館内は混乱に陥ります。しかし副市長がやけどを負ったほかは、前列に座っていた、火の手から一番近いはずの官僚と教育委員会のメンバーたちはみな、奇跡的に危険を脱しました。一方で停電と共にシャッターが落ち、逃げ場を失った323人が命を落としました。そのうち284人が子供。何より痛ましいのは、指導者に花を渡すため前列に座っていた小学生100人余りが、ほぼ全員焼死したことです。

 

この年は、中国が市場経済に踏み出して16年目。中国の経済改革が始まって4年目の年には、こんな事件も起こっていました。1982年7月11日、第四軍医大学の24歳の大学生、張華因さんは肥溜めに落ちた69歳の農民、魏志徳さんを救おうとして、命を落としました。当時、市場経済の荒波を受けたばかりの中国社会では、若き大学生が69歳の農民を救うため死んだのは、価値があるのかどうかで全国的な議論が沸き起こりました。ただし当時の人々にとって、そのわずか12年後に、カラマイ市の大火事で子供たちの救出が後回しにされるなど、想像すらしなかったことでしょう。

 

本日お伝えする中国の状況は、起点と終点に関する話ですが、その終わりを目にした方は、怒りに震えるはずです。たとえ起点を目にしなくても、ただその過程をわずかに見ただけで、涙があふれてくるかもしれません。

 

2010年8月18日、中国・報道写真の最高栄誉、“金鏡頭”賞が授与されました。大賞は“死体を抱えて金を請求”という写真。2009年10月24日、長江大学の学生15人が長江の川沿いでバーベキューをしていたところ、子供2人がおぼれているのを発見。助けようとして、うち3人が命を落としました。遺体の引き揚げを請け負った業者は、遺体を引き揚げながら破格の費用を要求、合わせて3万6千元受け取りました。

 

「頼んでも無駄でした。業者は冷淡でした。私たちがひざまずいても業者は動きません。漁船はずっと岸にいました。学生が引き揚げを頼んでも業者は引き揚げません」

 

対岸でひざまずく学生を前に、金を受け取るまでは死体を渡せないと業者は頑なでした。

 

この写真をどう読み解くにせよ、このようなショッキングで悲しい場面から、今の中国社会が抱える深刻なモラル崩壊が透けて見えます。

 

2006年、南京市の市民、彭宇さんは、つまずいて怪我をした徐さんという高齢の女性を支えて、病院まで送りました。しかしその後、相手から加害者だと訴えられます。双方の言い分は対立し、争いは司法の場に持ち込まれ、最終的に彭さんが敗訴。原告に4万5千元の賠償金を払うことになりました。

 

事件の判決は中国で熱い議論を呼びました。しかも事件後のあるネット調査によると、半分が今後、高齢者が道端で倒れていても、助け起こさないと答えました。

 

しかし中国には、聖人が残してくれたこんな言葉があります。“人は自分の親や子供を愛するだけではなく、すべての老人が天寿を全うでき、青年が社会に貢献でき、子供がすくすくと育つようにすべし。配偶者を失っても、親を失っても、障害を負っても安心して暮らせるようにすべし”

 

この聖人の教えは、中国で脈々と2500年も受け継がれてきました。しかし、わずか数10年で人と人の心の間に、巨大な壁が出来上がったかのようです。

 

中国問題専門家 文昭さん

「中国はこの10数年で急激にモラルが低下しました。代表的な事件からそれが分かります。1990年代、強盗を見て見ぬ振りをしたらメディアが騒ぎました。2000年代になると状況は変わります。2006年、彭宇さんの事件の後、中国では老人が倒れても誰も助けず亡くなる事件が多発しました。

 

2009年は遺体引き揚げの事件です。人助けで亡くなった若者の遺体が金もうけの道具になり果てました。こんな短期間でモラル崩壊が驚くほど進んだのです」

 

わずか10数年の間に、人の心が冷淡から冷酷、冷酷から暴走へとエスカレートした社会。このような現象は、残酷だといわれる西洋の資本主義の初期でも見られませんでした。では、これはどのようにして生まれたのでしょうか。

 

これは中国で人気のお見合い番組です。ゲストのある美人モデルが述べた一言が、瞬く間にネットで話題になりました。一緒に自転車に乗ってくれるかとの男性ゲストの問いに対し

 

中国美人モデル 馬諾さん

「やっぱりBMWで泣く方がいいわ」

 

 “自転車の後ろに乗って笑うより、BMWに乗って泣く方がいい”。これが流行語になったのは、多くの若い女性の声を代弁したからなのでしょう。

 

金もうけが悪いわけではありません。昔から“民を富ますことが君主の道”だといわれてきました。しかし、肝心なのはどうお金を稼ぐかです。孔子はかつて、“国に道義がある治世に貧しい身分にあまんじている事は恥である。国に道義が無い乱世に豊かな生活をむさぼる事は恥である”と述べました。道義がなければ、国がたとえ豊かになったとしても、それは恥なのです。

 

しかし今の中国の統治者にとって、道義があるかどうかは大した問題ではありません。彼らは統治の過程で、お金の持つ魔力に気付いていきました。当初、経済発展のためなら、公平さを犠牲にしてもかまわないという論理がまかり通り、その後、失われた信仰に取って代わったのが、お金の追求でした。最後、お金は麻薬にまでなり果てます。この麻薬さえ打てば、堕落したヒューマニティなど、感じづらくなります。お金が人の心を支配する社会、それが今の中国です。

 

世界保健機関、WHOによると、現在中国には合わせて600万もの娼婦がいるといわれます。軍人の総数の2.5倍です。さらには1000万人をとっくに超えたとの民間の統計すらあります。国連エイズ合同計画も、売春による収入は合わせてすでに日本円で、340億円を超えると予測。一方共産党が1949年、“極悪非道”と呼んだ旧社会の残した売春施設244か所から収容した娼婦の数は、1200人に過ぎませんでした。

 

1980年代、“腐敗反対”が最も国民の関心を呼んでいました。89年の天安門事件も、そもそもは腐敗反対が主なスローガンの一つで、国民的な支持を得ました。しかし天安門広場に出動した戦車は、市民や学生の肉体をひいただけではなく、市場経済に入って以来、貴重になった中国人の理想までも打ち砕きました。

 

今日、腐敗はもう中国ではマイナスのイメージの言葉ではありません。“おい、どこで腐敗をしているのか”と尋ねるのがあいさつ代わりになることすらあります。つまり腐敗はすでに、金もうけ、享楽、生きる糧(かて)の代名詞にすらなったのです。インターネットには、“腐敗レジャーの旅”“腐敗3日旅行”“腐敗ゴールデンウィーク”などといった言葉が飛び交っています。さらには汚職官僚になりたいという子供すら現れ始めました。

 

「官僚になりたいです」

(どんな官僚になりたいの)

「なりたいのは…汚職官僚です。汚職官僚は色んな物を持っているから」

 

中国問題専門家 文昭さん

「子供は思ったことを話します。大人のごまかしも分かりません。将来汚職官僚になりたいと言った子が20年後も同じ考えだとは限りませんが、今の中国では汚職官僚こそ誰もがうらやむ職業です。子供は汚職官僚の意味を理解していないかもしれません。でも汚職官僚へのあこがれは周りの大人から来たものです。子供に伝えられたメッセージは、汚職官僚は恥ずべきという嫌悪感ではなく、汚職官僚は金と特権を持つあこがれなのです。中国社会が“恥の心”、善悪観を失った時こそ社会全体の価値体系が崩壊する時です」

 

伝統的に、中国人が自身を律してきた基準が“孝悌忠信(こうていちゅうしん)礼儀廉恥(れいぎれんち)”の八文字。

 

最後の文字は“恥”。恥を忘れたら、人間として最も基本的な原則すらなくしたに等しいのです。ある社会で腐敗行為が当たり前に受け入れられ、非難を受けなくなったら、つまり伝統的な恥の意識を失ってしまったら、実際、社会の価値体系自体が崩壊した証しだといえます。

 

2010年、公的組織が上海市で信頼に関する調査を実施。その結果、9割の市民が誠実だったり約束を守ったりすると損をすると回答しました。“嘘をつく方が却って良いことがある。信頼を大切にしない方がいい思いができる。このような悪循環が社会の不誠実感を助長する”との考え方が社会に根付いています。

 

嘘いつわり。これこそ中国の各業界で横行しているものです。清廉なイメージのある学術界も例外ではありません。

 

2009年12月19日、国際的な学術雑誌“晶体学報”の公式サイトは社説で、中国の井岡山大学の教員2人が少なくとも論文70本をねつ造したことが分かったため、発表を取り消したと述べました。しかしこれは氷山の一角にすぎません。名門大学の学長や中国科学院・中国工程院の会員など、多くの知識人が関わるねつ造についてのワーストランキングも登場しました。

 

これはアクセス数が100万に上った書き込みです。中国における悪徳業種、ワースト10が列挙されています。かつて人間の魂のエンジニアとさえ称された教育者が、ここではワースト1位に。しかもネットでは広く賛同の声が上がりました。

 

中国問題専門家 文昭さん

「教育と司法の腐敗は社会モラルの崩壊が最も大きい行為です。司法の腐敗は社会全体に対し、公平・正義は存在しないと言うに等しい。賄賂や詐欺も正当化されます。教育の腐敗は次の世代に対し、我々が継承する価値観は偽物だと伝え、教育で最も大事な内容を放棄するのに等しいです。2010年中国メディアの報道によると、ある政治協商会議委員は中国教育界の九大腐敗をまとめました。小中学校だけでも様々な名目で寄付金を集めています。一部の教師は授業中、肝心な内容を話さず、自分の補習に出るよう子供に迫ります。しかも補習の費用は高価です

 

 

教師は次の世代を育てる、重要な役目を担っています。中国の有名な教育家、陶行知は、“教師はまず人間たるものを教え、学生はまず人の道を学ぶべきだ”と述べました。しかし今日の中国でこれを真に実践するのは困難です。人間愛、人権などの価値観も共産党の精神に反していれば語れず、伝統文化も途絶え、信仰面でもタブーばかりです。歴史の授業では真実が語れない一方、共産党を称える内容は教えないわけにいかないのです。

 

悪徳業種の第3位が医療業界です。2010年7月23日、広東省の深セン鳳凰病院で、付け届けが少なかったため、産婦が助産師に肛門を縫合される事件が発生。その3ヶ月後、やはり広東省・深センの病院で、ある妊婦が追加手術の費用の支払いを拒否。結果、下半身に医療器具をはさまれたまま、手術台に3時間も放置されました。警察に通報し、ようやく妊婦は救い出されました。

 

このような事件はもうめずらしくありません。しかも中国各地では、お金が払えずに、急病患者が病院に治療を拒まれるケースは当たり前です。人の命を救うことが天職である医者、白衣の天使と称される看護師たちが、今日の中国では、金の虜になってしまったのです。

 

中国問題専門家 文昭さん

「腐敗は官界から始まりましたが、共産党は社会の一切を独占しているので、多くは党を通さないと何も出来ません。腐敗は党が社会に押しつけた方法で常態化しています。だから腐敗は社会全体を毒しました。今中国人は自分の利益に関わる事の際、まず賄賂を思い付きます。つまりコネです。自分が贈賄しなくても他人がやります。だからモラルを守った人は損します。このような現実の中で、腐敗は民族が生きるための文化現象になったのです」

 

国民全体のモラル崩壊によって、何が起こったのでしょうか。まず、他人が自分を傷付けるのではと周囲に対し、警戒感を持たざるを得なくなります。一方、生きていくために、自分も他人を傷つけるようになります。農民は、販売用の野菜は農薬使用量が多すぎるからと、自分では食べません。養殖業者も自分で育てたカニは、抗生物質漬けだからと口にしません。このように人々が互いに傷つけあう状況の下、モラルを守ろうとする人は、いつも困難にぶつかることになります。そのため起こる一連の社会問題は、複雑極まりなく、それらの解決は容易ではありません。

 

2003年安徽省で有毒な粉ミルクにより、赤ちゃんの頭が異常に大きくなる事件が発生。当時、被害者はブランド品の粉ミルクを買えない、低収入者にとどまるとみられていました。しかしその後発見されたメラミン入り毒ミルクは、大手メーカーが製造していました。被害者はすでに、富裕層から低収入層まですべての階層にまで及んでいたのです。近年は毒入り粉ミルクに限らず、有毒ワクチンやホルモン入りの粉ミルク、さらに子供の鉛中毒なども発生。“凶暴な虎でも自分の子は食べない”といいます。子供を傷つけるようになったら、その社会は最低限のモラルさえ踏み越えたといわざるをえません。

 

安価な製造業と環境問題は、このシリーズ番組が取り上げてきたきわめて複雑なテーマです。実際、今の中国のモラル崩壊こそが、様々な社会問題を生み出す直接的な原因となっています。さらにそれによって、各種社会問題が複雑に絡み合い、問題解決をより一層難しくしています。

 

安価な製造業と環境問題から分かるように、中国経済の発展は今日に至るまで、ある問題に直面しています。つまり、環境や資源を犠牲にしたエネルギー大量消費型、環境汚染型に加え、労働者の基本的権利を犠牲にした低賃金、低保障、重労働の経済発展モデルです。結果今、中国は国内外から圧力にさらされています。内部からは、人権意識に目覚めた労働者からの圧力。外部からは、世界的な省エネ・温室効果ガス削減の流れや人民元引き上げの圧力。これらにより、政権も経済モデルの転換を考えざるを得なくなります。

 

経済モデルの転換には技術の投入、知的財産権の発展、自主プランドや創造型企業を必要とします。しかし、今日の中国の経済環境ではこれらは至難のことです。

 

時事評論家 章天亮博士

「大きな発展を願う企業は海外に出るでしょう。このような企業は唯一無二の特徴がある製品が必要です。言いかえれば、自社製品の知的財産権です。中国では知的財産権の保護がずっと深刻な問題でした。中国には模倣品が多すぎるからです。新製品が出たら数日後には、あるいは数ヵ月後には模倣品が出てきます。米国のハイテク商品iPhoneなどのスマートフォンもすぐ中国で模倣品が作られました

 

知的財産権が十分保護されないと、新商品開発には膨大な時間がかかるうえ、巨大な知力 資金が必要なので、たとえば開発費用、テスト費用など非常に長いスパンなのですが、知的財産権が保護されないと、開発してもすぐ模倣品が作られるなら、しかも偽の粗悪品が作られたら、当然のことながら、開発への意欲もうせます。利益も得られません

 

我々が語っているのは、起点と終点の物語です。この物語の起点は、人類史上もっともすぐれた思想と文化を育み、2000年余り、礼儀の国と称された中華民族であり、終点はモラルの崩壊した今日の中国です。

 

中国社会全体のモラル崩壊は、経済発展と共に始まりました。しかし、その前兆は共産党が政権獲得時から見られ、さらに中国伝統文化と信仰の破壊へとつながっていきます。

 

物乞いをして学校を興した清代の教育者、武訓(ぶくん)。民衆のために皇帝に直言をして投獄された海瑞(かいずい)。“仁義礼智信”で儒家文化の基礎を築いた孔子。これらの偉人が、政治の都合によって、情け容赦ない批判や罵倒の対象となりました。伝統的な美徳は古くて胡散臭いものとされ、中国人の善悪を基準が覆されたのです。数十年後の今、中国人は“道徳にいくらの価値があるのか”とさえ恥じらいもなく尋ねます。

 

改革開放の後、中国人は社会全体を維持するための政治の理想がどれほど非現実的かに気付き始めます。伝統文化の礎(いしずえ)が壊された社会に残されたもの、それは物質的な利益追求しかありません。一方、自ら数多くの社会問題を作り出し、足元から揺らいでいる中国共産党にとって、人々の関心を政治から経済へ移すことこそ至上命題です。中国人は政治闘争の恐ろしさを知っているので、政権から政治闘争をやめて、経済を発展させることが真理だと言われれば、容易に賛同します。そのため手段を選ばず経済発展に力を注ぐ指導者は、優れたリーダーとなることが容易なのです。

 

1980年代初頭の中国は、疲弊(ひへい)した経済の立て直しの他、破壊された伝統文化や信仰といった根の深い問題も抱えていました。しかしそのためには、数々の政治上の弊害を除かねばいけません。しかも、それらには短期的な効果は望めませんでした。この時中国共産党政権は、“国民経済はすでに崩壊の淵にまで来た”との言い方で、経済発展の必要性を強調します。つまり、経済発展こそ真理だとの言い分は、共産党政権にとって選択肢ではなく、保身のために必要だったのです。

 

伝統文化と信仰の柱を失った社会では、人々の心にわずかに残った良心と誠実さえ、金もうけ優先の叫びにあらがえません。伝統的価値観に基づくモラルを社会がいったん失えば、腐敗官僚が瞬く間に権力を利用して巨大な富を手にし、何人もの愛人を囲います。どれほど庶民を虐げても、司法の制裁やモラルの制約も受けません。となれば、市民も詐欺や売春などを恥とは考えなくなります。

   

数々の政治運動の中で、中国人は自分を守るために、最低限のモラルすら捨てて、良心に背くことを覚えました。見知らぬ人ばかりか、家族友人すら告発の対象としたり、政治に関わらないとの口実で、同胞が虐げられていても見て見ぬふりをしたりします。やはり自らを守るため、強盗がいても、傍観するばかりで気にもかけません。さらには商売で生き残るためとなれば、コネや賄賂などを常套手段とし、ひいては毒入り粉ミルクなど有毒な食べ物すら製造、販売するようになりました。

 

中国人のモラルが雪崩を打つように崩れていく中でも、わずかに残された勇気ある正義感の強い中国人が努力を重ねていきました。しかし政治の安定を第一とする当局から、情け容赦ない弾圧を受け続けます。

 

毒入り粉ミルク事件の被害児童の親、趙連海さん。四川大地震の手抜き工事を訴えた譚作人さん。法輪功迫害の停止を呼びかけた高智晟弁護士。環境保護活動家の呉立洪さん。盲人弁護士、陳光誠さん。エイズ患者を支援する胡佳さん。これら多くの勇士が、違法な有罪判決から拷問、性虐待など、政権から数々の迫害に遭っています。

 

時事評論家 章天亮博士

「社会で真に公正を維持するには多くの要素が必要です。中国はまだそれがありません。たとえば宗教の面からいえば、悪さをすれば罰を受けると信じる人は、命令されても悪さをしないはずです。つまり人がモラルを自覚すれば、社会管理のコストは減らせます。当然、道徳の他に世論もあります。独立した世論には悪さを抑える働きがあります。人も悪さをするのを諦めます。さらに法律という要素。法律は悪さをした後の懲罰を重んじ、懲罰によって悪さをしないよう警告を発します。

 

しかし中国では宗教面あるいはモラル面で共産党に破壊されました。世論においても

中国には独立したメディアがなく、同時に中国には独立した司法もありません。真の公正を求めて中国では陳情者が絶えません。司法では問題を解決できないからです。このように社会の公正が侵された時、ある人やある闇社会、悪の勢力ではなく、社会全体が堕落していきます。

 

実際共産党は統治の過程で故意に人々をこうさせたのです。共産党は改革開放後、すぐ社会の公正を犠牲にして、経済を発展させようとしました。しかしその過程で得た共産党の利益は違法に奪ったものです。腐敗、汚職、賄賂、やましい手段で得た富。独立した司法と世論の監督がないため、彼らの既得権益が守られてきました。この環境下で、さらにやりたい放題です。これは悪循環です。彼らの違法行為が追及されないようにと

共産党は社会の公正やそのための努力を必死に抑え込みます。つまり共産党統治こそモラル退廃の最大の原因です」

 

民族文化および社会全体のモラルの崩壊。これこそ中華民族が直面する最大の災難です。環境、政治、経済など一切の災難の根本には、すべて退廃したモラルがあります。モラルを失った社会にとって、これから起こりうるいかなる社会問題も、解決がきわめて困難です。なぜなら法律は犯罪者を罰するだけに過ぎない一方、モラルは社会に行為全般を規範化することができるからです。信頼や良心を失い、社会の基本的な正義に自信を持てなくなった社会が直面するのは、経済発展するかどうかではなく、生存か滅亡という問題に他なりません。

 

http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2011/02/20/a495112.html  

トップページへ