【新唐人2010年6月29日付ニュース】人民元切り上げは、インフレを悪化させるのでしょうか。それとも、インフレを抑制するのでしょうか。学者の意見も大きく分かれます。中国では5月、消費者物価指数が前年の同じ時期に比べて3.1%上がり、インフレの危険があるという3%を超えました。つまり、中国でのインフレはいまだに深刻なのです。
人民元を切り上げれば、市民の購買力が上がり、インフレ抑制につながると言われますが、それを否定する声があります。逆に人民元を買う投機的な動きが高まる危険さえあるのです。
現在の進退きわまる状態に対し、「人民元の固定相場こそがインフレの元凶だ」との意見が出ました。では、専門家の声をお聞き下さい。
経済評論家 李凡博士
「私の予測では、今回の人民元切り上げはゆっくりでしょう、インフレも しばらく続くでしょう。というのも、インフレの原因ですが、インフレを招く元凶は人民元の固定相場です。なぜなら、固定相場になると、人民元相場の安定のため、余ったドルを買わねばなりません。でないと、ドル安になってしまいます。だから中国当局は買います。当局がドルを買う場合、人民元を使います、この人民元の出所は、まず政府による発行。もう一つは、民間からの借金です。政府発行の人民元ならば、すぐインフレの原因になります。借金の場合もインフレの潜在的な原因になります。このほかに固定相場は一種の束縛となり。将来変えにくくなります」
「なぜかというと、例えば当局が1ドル買おうとしたら、今の相場だと7元払います。この7元が借金ならば将来 ドルが下がって、1ドル当たり4元になったら、当局は ドルを買った後1ドルは数年後4元の価値しかありません。7元 返さなければならないのに、返せますか」
「返せなくなったら、当局はきっと3元 発行するでしょう、3元の穴を埋めるため。だから これは潜在的なインフレの要素です」
「その一方、今 中国の外貨準備高は巨額です。だからドルが下がったら、または人民元が上がれば政府の損失が甚大です。今のドルは借金頼みですが、一旦ドルが下がれば借金が返せなくなります。これも現実です」
「ですから当局はずっとドル安と人民元高を望みませんでした。今回も同じです。だから私が思うに今回の切り上げは、非常にゆっくりでしょう。ここ数日、元が上がった翌日は、また下がっています、こんな状況です」
「このほか 中国政府が急速な元の上昇を許さない原因は、投機的な金が中国へ流れ込むのを防ぐためです。元高が急速で勢いが強いと暴利を目的とした、投機の金がなだれ込みます。これも困ります。ですから急速な元高を許さないでしょう」
「私が思うに人民元の局面は、どっちにせよ リスクがあり、引くに引けないのです。元相場も変えられません。もし数年前時機を逃さずに内需を拡大できていたら…、または政府が何らかの措置をとっていたら、中国経済が外国依存から脱却するのに役立ちました。しかも 今日の状態に陥らなかったでしょう」
「でも 今日の状態になったら、元相場は 大きく動かないと思います。インフレ懸念もすぐには消えません。しばらく続きます。当局の新たな動きとしては金(きん)の購入です。金の購入ですが、貿易黒字を減らす作用はあります。なぜなら金を買うのは一種の輸入だから。輸出が増えれば貿易黒字も減ります。すると元切り上げの圧力は一時的に弱まります。しかし 一方でリスクは存在します。まず金には利子がありません。国債などには利子がありますが、金にはありません」
「しかも金の値動きは激しいです、こう見てみると金は長期的な問題解決方法ではないです。つまり、経済面で政府の役割を期待して、中国人が安心して消費するには政治改革から始めるべきです。今腐敗が深刻です。この状態で内需拡大をすれば、さらに深刻な腐敗や汚職を招きます。税金を湯水のように使うのです。だから中国経済は引くに引けない状態で、抜本解決には政治改革をすべきです」