【新唐人2013年12月29日付ニュース】先日、中国当局が農村工作会議を開き、「いかに食糧安全を保証するか」について討論を行いました。中国メデイアも「食糧生産量連続11年間増産」などのスローガンを叫ばなくなりました。では、中国当局の「農村問題」における戦略目標がなぜ「食糧の安全問題」に変わったのでしょうか。報道をご覧下さい。
12月23日と24日に開かれた「農村工作会議」では、来年の「中央１号文書」の核心内容—「食糧生産量および品質安全問題」が重要な課題として定められました。
「中央１号文書」とは中国共産党中央が毎年発令する最初の文書のことで、党中央が農村問題を強調する専用名詞となっています。
この前提の下で、来年の「１号文書」は小麦、米、トウモロコシの３大穀物の自給率について調整を行うと見られます。うち、討論が行われた三つの主要項目は、１人あたりの食糧自給率がほぼ100％に達したこと、穀物の自給率が90％以上を保っていること、食糧総生産量が長期的に80％以上を保つことでした。
異例にも、「食糧生産量が11年連続増加」、「中国は自力で食糧の自給を実現」などの宣伝文句も中国のメディアから姿を消しました。
「中国国家食糧安全中長期計画綱要(2008 -2020年)」によると、中国の食糧自給率は95％以上を維持しなければなりません。しかし、中国「経済観察報」が引用した海外の統計資料によると、中国2012年の食糧輸入量は7236万トンに達し、年間総生産量の12.2％に相当します。また、2013年の税関の最新データによると、11月の中国の大豆輸入量は603万トンで、暦年同月比で最高記録を創りました。11ヶ月間の大豆輸入総量は5597万トン、前年同比6.6％増加しています。
また、今年10月の小麦の輸入量は前年同比273.27％増加。１月から10月までの10ヶ月間、輸入総量は前年同比16.4％増加しています。
中国の雑誌「財経」によると、2010年の農産物の輸入量から推測すると、これらの農産物のために海外で７億ムー、およそ４千700万ヘクタールの耕地を使用。およそ黒竜江省の面積に相当します。
中国農業専門家 呉さん
「これは社会問題です。農業をする人がいない、牛を飼う人がいない、皆 都市に出稼ぎに行き、農村で働く人がいないのです」
農業専門家の呉さんは、中国が農業大国なのに食糧不足に陥っている原因を２つ指摘します。まず、官僚と企業が安値を求めて、アメリカやブラジルから大量に食糧を輸入した結果、食糧価格に影響を与え、農民の積極性にも打撃を与えている。次は、科学技術による管理と監督の欠如。農業管理部門が利益のみを重んじるため、農業に従事する者がいなくなり、農業が均衡を失っている。例えば、中国の伝統的な穀物の1つであるアワ。いまや生産量が激減し、手に入らない珍品となりましたが、これは管理による問題だと指摘します。
呉さんはまた、農村会議に参加しているのは農業従事者ではなく官僚ばかりで、これでは食糧安全をどのように保証するのかと疑問を投げかけます。
11月28日、山東省を視察した習近平国家主席は、山東省農業化学院の座談会において、「食糧があってこそ、心が落ち着く」と述べ、一旦大飢饉が発生すると、お金があっても無駄だと発言しました。
一方、中国のネット上では中国の「雑交稲の父」と呼ばれる袁隆平氏の文章が広く伝わっています。「中国最大の災難はもう避けられない」と題したこの文章では、中国の食糧危機が避けられない10の理由を列挙しています。
袁隆平氏は、中国社会は政治、経済、信仰、領土問題など、多くの危機に直面しているものの、食糧が保証される限り、全て解決可能であると指摘します。しかし、一旦食糧不足が発生した場合、天下大乱となり、食糧危機の前では政府も存在しなくなると指摘します。
農業専門家 呉さん
「もし大飢饉が発生すると、動乱が起き、農民が蜂起します。歴史上の農民蜂起はどれも 飢饉の後に発生しています」
一方、食糧危機について異なる見解もあります。
中国農業研究者
「ポイントは我々が世界と同調するか、それとも世界を敵に回すかです。今のところは敵に回しています。もし 世界と同調し、足並みをそろえれば、正常な取引ができ、世界的な食糧不足が発生しない限り、問題ではないのです」
匿名希望の中国のこの研究者は、中国が世界と足並みをそろえる事ができれば、食糧危機は大きな問題ではないと考えます。
また、食糧危機は中国にとって危機であると同時に、良い事でもあると指摘します。中国社会の改革が迫られるからだと述べます。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2013/12/28/atext1032465.html （中国語）
（翻訳/坂本 ナレーター/村上 映像編集/工）
