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【中国ニュース解読】南シナ海での米中の互角を読み解く

2013年12月28日

【中国ニュース解読】南シナ海での米中の互角を読み解く

 

司会 

中国ニュース解読へようこそ。

 

文昭さん、こんにちは。

 

文昭

こんにちは。

 

司会

12月5日、南シナ海で米中の海軍艦船が対峙して、衝突しそうな事件が起こりました。先月末、中共が防空識別圏の設定を宣言した直後の出来事でもあって、国際社会の高い関心を集めました。12月18日、中共国防部は公式サイトでこの事件について、米国側と意思疎通を行ったと声明を発表しました。東シナ海の騒動がまだ収まっていないのに、南シナ海の波風が立ちました。中共はこの行動をもって、どんなシグナルを発信しようとしているのでしょうか。

 

文昭

この出来事には大きな背景もあれば、具体的な要因もあります。大きな背景は中共の軍側が軍事力を誇示する機会をずっと覗っていたこと。具体的な要因はやはり、東シナ海騒動が起こった直後、つまり 先月末から米軍が先頭を切って、米国日本台湾の軍用機が相次いで、東シナ海防空識別圏を飛行したことに対し、軍事的な行動を一切起さなかったことが多くの怒りを買いました。騒動の直後、毛主義左派の代表人物である張紅良が中共の腰ぬけ対応に文句を付けました。かの張召忠も「断固として闘って、度胸を据えて虎を恐れない」と発言しました。米国は軍用機が東シナ海防空識別圏を飛行した行動をもって、識別圏の存在を無視する態度を明らかに表明しました。この行動は多くの好戦者に怒りを募らせました。

 

東シナ海防空識別圏の外交的な失敗は中共を受動的な立場に立たせ、その手足纏いとなっています。識別圏の設定後、支持を得るどころか、理解さえも得ていないからです。いつも外交的に同じ立場を取るロシアや絆の固いパキスタンも一語も声援を送っていません。このような情勢の中で、中共はかなり孤立しています。例え識別圏を設定する前の振る舞いを続けたとしても、一旦日米の軍用機と摩擦が生じたら、自分の魂胆ももっと詳しく読みとられ、地域の緊張がさらに高まるばかりなので、この先暫く同じ事態を避ける必要があります。

 

一方 南シナ海情勢の方が緊迫化していることから、中共軍側は前から自分の実力や気骨をアピールするチャンスを狙っていたので、空母「遼寧」が訓練を行っている海域の近くに現れた米軍の艦船に対し、中共の軍艦がその進路を塞ぐ行動に出ました。すなわち、米軍用機が東シナ海防空識別圏を通過した際、中共軍がスクランプル発進すらできなかったという鬱憤を晴らすためです。

 

司会

 それで、今回米中の海軍艦船が異常接近して衝突しそうになったことは周到に計画されたのではなく、偶発的だとお考えですね。

 

文昭

そのはずです。艦船同士の異常接近は現場対処ですから、中共上層部が必ずしも真っ先に知らされることはないと思います。この間、中共の艦船が火器管制レーダーで、日本の艦船を照射した事件に類似しています。偶発的な要因がある一方必然的な要因もあります。まず 中共上層部は現在東シナ海の軍事活動を控えさせ、波風を立てぬようにしています。東シナ海が今一触即発ですから、もう1つは 軍が既定方針として、常に相手の米国の腹を探って、米国のボーダーラインに圧力をかけて、ボーダーラインの後退を逼ることです。この方針に従えば、現場では摩擦に発展する行動に出ることがあり得るのです。中共当局は異常接近が起った時、米国の艦船が「遼寧」の内側防衛圏、つまり「遼寧」から約50キロ離れた所にいたと公表しました。通常空母が外洋でミッションを遂行する場合、半径数百キロに上る防空や対潜防御圏を設けています。空母が真ん中にあって、他の艦船が空母を中心に配置されます。南シナ海は公海でありながら中共はこの一連の行動をもって、ある思惑を伝えようとしています。つまり 空母艦隊が出航すれば、その活動水域はその勢力圏になるので、如何なる人もそこを離れなさいということです。軍事的な目的から言うと、外国の船舶がその防御圏にある程度入ったら、戦術的な行動を取って、空母の安全を確保する必要があります。この先10年間で中共は4〜6隻の空母建造を予定しているから、もし 少なくとも2つの空母戦闘群が南シナ海に配備され、いつもこの海域で活動する場合、空母戦闘群ごとにかなり広いエリアを防御圏にする必要があります。そうなると、南シナ海周辺の国々や国際船舶の通常運航に支障を来たすでしょう。なぜなら 南シナ海の幅は約900キロしかないからです。中共はこの手口を使って、南シナ海周辺の国々の海上活動範囲を圧迫するかも知れません。空母戦闘群が出航すれば、相当広いエリアに他国船舶の進入を制限するからです。今回中共の軍艦が米国艦船の航路を妨害したことは、政治的な意義がかなり濃厚で、自分の勢力圏をアピールしているからです。

 

司会

中共は東シナ海と南シナ海で次から次へ波風を立て、その頻繁な軍事活動は地域の緊張を高めています。いつもの話題に戻りますが、果して中共が本気で隣国と戦争をする可能性はありますか。

 

文昭

この可能性があまりないと言えます。中共の上層部が軍隊さえしっかり掌握していれば、戦争を発動するリスクはとても小さいと思います。戦力を比較すると、米軍は巡視や実力誇示をする時、1つの空母戦闘群を出動し、小規模な地域紛争に対応する時は、2つの空母戦闘群を出動し、比較的に大規模な紛争に対応する時、空母を3隻以上出動しますが、中共やロシアのような相手に対応する時、短期間で西太平洋に6〜7つの空母戦闘群を集めるでしょう。あと 日本と韓国にある米軍基地日本自身の軍事力を合せるので、中共が自分の海軍、空軍の力に頼って、対米日戦争で勝つことは不可能に近いです。中共の軍拡目標は2010年代後期に海軍の質が2010年初期のロシア海軍のレベルに、2020年代後期に2010年代初期の米国海軍のレベルに達することです。つまり 中共の海軍の質がロシアより10年、アメリカより20年立ち遅れているということです。現代 軍事の分野では5〜6年の技術の格差は1世代に相当し、その差は実践ではっきり現れます。だから、この先20年間もしくはもっと長い期間、中共は日米から大規模な通常戦争の勝利を得ることがないでしょう。ですから、近いうち本当に東アジアで戦争を起すことは、中共の上層部にとって相当不利なことです。

 

司会

中米の技術の格差についてはトークショーを見ました。デイヴィッド・レターマンが中国の「嫦娥3号」の月着陸をからかっていました。中国では当然国威を発揚したとか、夢を実現した云々騒がれていますが、実はこれは1957年からの駆け比べで、人はとっくにゴールに着いたのに、中国は数十年後にやっと着陸したのです。ここからも中米実力の格差が見えてきます。

 

中共には戦勝の実力がないのにいつも剣幕を見せています。本当に有事になったら、自ら恥をさらすことになりませんか。

 

文昭

確かにそうです。中共当局は今綱渡りをして、危ないゲームをしています。今 実力が不足しながら矢も盾もたまらず、大国面をしているのは内政の必要性があるからです。中華民族復興や愛国心などを大義名分にして、国内の民衆にその支配を納得させようとしているので、国内の危機が迫れば迫るほど外部にもっと強気を見せねばなりません。いざ本当に戦えれば 、ぼろが出て、逆にすべてを失うかもしれません。中共上層部が本当に欲しがるのはコントロールできる衝突です。つまり 闘っても血を流さない、鞘同士がぶつかり合っても刀を抜かない。火事になってもすぐ消せる小火程度にすることを望んでいます。常に地域の緊張をエスカレートさせるような茶番劇は最終的に続かなくなり、仮面も剥がされる恐れがありますが、国内の対立や圧力のはけ口がなければ、もっと危機が深まりますので、派閥の共倒れよりこの手口を好んで使うのです。情勢の変化により、中共上層部が日米と戦争したら、勝ち目がないことを重々知りながらも、軍側や好戦主義者の献言を聞き入れて、多少リスクを冒しても、小規模な紛争を起して、甘い汁を吸う可能性は排除しません。ちょっと気になるのはこの先中共の発想が北朝鮮に近寄ることです。周知の通り、北朝鮮は韓国やアメリカと大規模な通常戦争をしたら、全然勝ち目がないことを熟知していながら、時たま事件を起して、例えば 韓国哨戒艦「天安」を撃沈したり、延坪島を砲撃したりして、甘い汁を吸ってはすぐ撤収して、常に強い姿勢をアピールします。今後 中共もこれに見習う可能性があります。日本の軍用機を1〜2機撃墜して、ちょっと甘い汁を吸って、すぐ撤収するとともに国内で国威を発揚し、軍の威厳を守ったと誇示する可能性があります。

 

司会

東シナ海の防空識別圏の設定と南シナ海の艦船対峙、この2つの出来事で中共は何か得をしたのでしょうか。

 

文昭

今中共が防空識別圏を実行する能力を持っていないので、このコンセプトの公表はあくまでも、当事者の心理を変化させ、実質的に周辺国家の警戒心や緊張を高めさせただけで、現状を変える事が出来ていません。つまり 当事者が従来通りの振る舞いをしているから、何も得をしたことになっていません。ただ 国内で外国の民間航空会社の協力と、米国艦船の衝突回避を自分の勝利として、アピールしていますから。確かに国内の好戦者の感情を煽ることになります。今中国の周辺国が足並みを揃える動きに出ています。中国本土、中共の挑発に応酬するために、日本と東南アジア諸国の協力関係がさらに進化しています。周辺国の反発力が高まる一方、中共の力がそれなりに高まっていないのに、すでに強い姿勢を示したので、茶番劇を続けるために、強い姿勢をさらにエスカレートしなくてはなりません。今後 中共の上層部が次のようなリスクに直面するかも知れません。つまり 予想もつかない、勝ち目のない戦争に遭遇することです。そうなれば、このカラクリがばれてしまいます。

 

司会

歴史を振り返れば、日本も第2次世界大戦前まで、軍の勢力が絶えず拡大され、最終的に何回も勝ちましたが、中共の指導者は手を胸に当てて、自問してください。中共にこの能力があるかどうか。

 

ありがとうございました。

 

http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2013/12/23/a1029115.html (中国語)

(翻訳/中山 映像編集/工)

 

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