【新唐人2014年3月10日付ニュース】3月3日から8日間の日程で北京で開かれている全人代で、李克強首相は冒頭で行った政府活動報告において、2014年の中国の国防予算は前年比12%増の8000億元を超えることを明らかにしました。では戦争もないのに、中国の国防費はなぜ毎年増加を続けるのでしょうか。専門家の分析を聞いてみましょう。
李首相は5日の政府活動報告において、中国の2014年の国防予算は前年比12.2%増の8082億元になる事を明らかにしました。
中国の国防費は2011年で前年比12.7%増、2012年は11.2%増、2013年は10.7%増と、連続4年二桁増となっています。当局は軍の最新鋭装備の導入のためだと説明しています。
香港雑誌「開放」 蔡詠梅編集長
「中共は実際は、ずっと軍国主義傾向にあります。『中国の台頭』時から、軍国主義傾向が潜んでいるのです。特に近年は軍の幹部が『核爆弾を打つ』 『東京を空爆する』など公言しています。体制が変わらない限り、彼らは軍事費を拡大し続けます。他国にとっては脅威です」
中国当局の国防費予算の発表をうけ、菅義偉官房長官は5日午前の記者会見で、「中国の国防政策や軍事力の透明性の欠如が国際社会の懸念事項になっている」と指摘し、関係国と連携して透明性の向上を求める考えを示しました。
アメリカ国防省アジア・太平洋問題担当国防次官補代理デヴィッド・ヘルヴィー(David Helvey)氏も、「中国は軍拡を続けることで、領海、領土の主権問題において強硬な姿勢を取っている」と懸念を示しました。
中国の政府系メディアは、国防費の増加部分について、最新鋭の軍装備の導入、インフラ建設の推進、物価上昇による影響の緩和、テロ防止と治安維持などが主な目的であると説明しています。
一方、香港には1997年7月1日から陸軍と海軍、空軍を含めておよそ6000人が駐屯しています。
香港雑誌「開放」 蔡詠梅編集長
「誰も香港を侵略するとは思いません。では香港に軍隊を配置するのはなぜ?現在中国の政治構造は集権社会で、軍隊も暴政の国家機器の1つで、対内的な一面もあるのです」
このほか、2012年から、東シナ海、南シナ海における主権問題で、中国と周辺国の摩擦はますます増えています。これも国防費増加の原因の1つであると言われます。
在米時事評論家 藍述さん
「(国防費は)主要問題ではありません。最も根本的な問題は官民の矛盾がすでに相容れないところまで来ていることです。中共の統治がますます不安定になっている状況下、尖閣諸島問題において、石油を手放してでもこの問題を利用して、国内の民族主義感情を煽るのです」
時事評論家の藍述さんは、尖閣諸島問題が典型的な一例で、北京当局は民衆の注意力を国内の矛盾からそらすために、軍事費を拡大する事で戦争でもするかのような構えを見せていると考えます。もう一方で、国防費の増加は共産党の内部争いの白熱化とも関係があると考えます。
在米時事評論家 藍述さん
「中共上層部の各グループの利益分配の平衡がますます取れなくなり、軍の統制が必要になり、軍の歓心を買いたいので、軍の予算を増やしてあげるのです。軍をコントロールしてこそ最高権力を手に入れることができるからです。去年から今年は急増していますが、5代目政権になってから中共内部の派閥闘争が一段と激しくなっている証です」
公表データによると、1998年に軍の肩書き制度が回復してから、中央軍事委員会は96人に上将の称号を与えています。うち、鄧小平時代に17人、1993年から2004年までの江沢民時代に79人、胡錦濤時代には10人に上将の称号が与えられました。
「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、国際戦略研究所(IISS International Institute for Strategic Studies)のジョン・チップマン(John Chipman)所長の話を引用し、衝突を伴う領土の主権争い、および長期にわたって衝突のリスクのある地域において、中国の軍事支出の増加によって軍備拡張に拍車がかかると述べました。ドイツメディアも、中国の大幅な国防費の増加はアジアの軍備競争を刺激するだろうと伝えています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2014/03/07/atext1075952.html (中国語)
(翻訳/坂本 ナレーター/村上 映像編集/工)