漢方の基本的な考え方は、「予防は治療に勝る」。つまり、病気にならないような体作りをする。体を良好な状態に保てば、細菌は虚に乗じて入って来ることもできない。この点を重んじるのだ。
それでも、普通の人なら多少の風邪は避けられない。そんなちょっと風邪気味のときには、食材を活用してみてはいかがだろう。例えば、鼻づまり。林先生が今回ご紹介するのは、葱の白い部分だ。
この葱、「肺の野菜」とも呼ばれる。でも、肺と鼻に一体どんな関係が?こんな疑問が湧くはずだ。実は漢方では、「鼻は肺の状態を表す」という。つまり、肺に問題があればそれが鼻に表れる、と見るのだ。したがって、鼻のトラブルに対しては、肺にアプローチする必要がある。すなわち、「肺の野菜」を使うのである。
漢方の考えは実に面白い。このように五臓の状態は、体の穴の開いているところに反映されると見るのだ。「目は肝の状態を表す」「鼻は肺の状態を表す」などなど。これは人体を一つの小宇宙と見なす、陰陽五行説に基づいているためだ。
さて話を戻すと、葱の鼻づまりに対する使い方だが、まずは葱を細かく砕く。そして、鼻の奥に詰め、この状態で1時間ほど置く。
このほか、匂いがうまく嗅げない場合は、葱を絞り汁にする。この汁を2、3滴鼻の奥に垂らすのを一日2、3回行う。これを5日間ほど続ける。
ここで要注意なのが葱との食べ合わせだ。鼻づまりの場合、気の流れをスムーズにしたいので、気を膨らます作用のある蜂蜜やナツメは控えるように。
このほか、軽い風邪にお勧めなのが葱と豆豉(とうち)を煮込んだスープ。どうぞお見逃しなく。