【新唐人2015年1月20日】中国企業の海外投資が増えるにつれ、中共の税務部門は最近、海外に進出した企業や海外で働く中国人に目を付け、海外での収入を報告し、納税するよう求めています。海外企業や海外で働く人に対する徴税は新しい税法ではなく、90年代に発効されているものです。では、中共はなぜ今になってこの法律を執行しようとしているのでしょうか。報道をご覧ください。
「ニューヨークタイムズ(NYT)」は1月8日、広東省広州市政府は1月28日、本部を広州市に置く150の大手企業の経営幹部を招集し、在外企業従業員の納税問題を討論する会議を開くと伝えました。この動きは、北京市当局やほかの大都市でも見られています。
ニューヨークタイムズによると、これは中共の各レベルの税務機関が水面下で始めた監督管理規制で、公民と企業は中国で得た収入だけでなく、別の国や地域で得た収入に対しても納税しなければなりません。
さらに、中国国家税務総局も相応の取り組みとして、節税対策とみなされる外国への投資を禁止する新規定を、2月1日から発効させると伝えています。
米サウスカロライナ大学 謝田教授
「海外に投資、または海外で収入のある中国人はほとんどが大手国営企業、独占企業、中共の高官などです。これらの人々はいずれも反腐敗運動の調査対象です」
アメリカ・サウスカロライナ大学の謝田(しゃでん)教授は、中共のこの措置は習近平国家主席の反腐敗キャンペーンに関係しているとみています。反腐敗キャンペーンを通じ、民意の支持を得ようと考えているからです。
謝田教授は、税務部門のこの措置は、巨額の資産を海外に移そうとする中国の富豪を牽制するためのようだが、実際の効果についてはまだ観察が必要だと述べます。
実際、中国の資産の海外への流出はますます激しくなっています。
昨年1月、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は、2000年以降、中共上層部のエリートやその親族は、カリブ海のタックスヘイヴンに密かに所有しているオフショア会社を通じ、中国から4兆ドルに達する資金を運び出したと報告しています。
ある中央規律検査委員会委員は、2012年だけで1兆ドルが海外へ流出していると推測しています。昨年の下半期から中共は「キツネ狩り2014」という作戦を開始し、反腐敗キャンペーンの手を海外にも伸ばしています。
謝田教授は、中共が今になって海外企業とその職員の税金を徴収するのは、まさに海外での反腐敗キャンペーンの一環であると指摘します。
在外企業に対する世界各国の徴税方法は様々です。ヨーロッパ、日本、オーストラリア、カナダなどの国では、国民に対する徴税は、本国の内のみであり、海外派遣や海外子会社に対しては国内の所得税を免除しています。一方、アメリカは海外で得た収入に対しても徴税を行っています。
実際、中共は90年代からアメリカの税法と経験に習い、1993年にこの税法を公布しています。
ニューヨークタイムズは、アメリカの政策を参考にしているとはいえ、中共の税収政策はさらに厳しいものであると見ています。
中国で最も高い収入税率が45%であるのに対し、アメリカは39.6%です。しかも適用されるのは月収12900ドル以上です。アメリカでは昨年から、外国での収入を最大99200ドル、所得から除外することが許されています。しかし、中国では国民が海外で得た収入に対し、月当たり210ドルしか除外されません。
在米中国語雑誌「中国事務」編集長 伍凡さん
「中国の税収が足りなくなっていることを物語っています。海外に進出した企業の税金に頼る必要があるということです。こうなると、企業家は両方から課税されることになります」
アメリカの中国語雑誌「中国事務」の編集長・伍凡(ごぼん)さんは、二重課税制度によって、中国の企業家はこの措置を回避する手を考えるようになり、さらには国籍変更を考える可能性があると指摘します。また、西側諸国の税収の大部分は国民に還元され、教育、年金、社会保険等に使用されるが、中国では中共の懐に入り、官僚の浪費のほか、インフラ投資、治安維持、軍隊などに使われ、国民にはほとんど還元されないとも指摘します。
謝田教授も、金融、投資、財産等の税率税法に関係する法律は厳格で公正でなければ、実施することは難しいと述べます。しかし、中国には法律を超越した特権階級がおり、これは中国でこの税法が未だに執行できない原因の一つにもなっていると指摘します。
アメリカの経済誌「フォーブス」が2009年に発表した世界各国の「税負担苦痛指数ランキング」で、中国は2位にランクインしていますが、アメリカはずっと低い順位でした。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/01/10/a1167906.html(中国語)
(翻訳/赤平 ナレーター/萩野 映像編集/李)