【新唐人2015年02月26日】中国の病院ではずっと血液不足が深刻です。輸血を必要とする患者は、親族が献血をしないと手術を受けられません。一方、身近に親族や友人がいない患者は、闇業者から血液を入手するしかありません。
中国の病院では、輸血を必要とする患者は、親族が献血するか、あるいは自分で血液を入手しないと、入院すらできません。「財新網」によると、腫瘍の切除手術が必要なある患者が、血液が不足しているため、家族が献血センターに行って400cc献血しないと入院できないと病院から告げられました。家族は主治医から発行される「互助献血申請書」を持って、血液闇業者から血液を購入し、「献血証明書」をもらいます。これでやっと、予定通りに手術を受けることができました。
骨髄異形成症候群(こつずいいけいせいしょうこうぐん)を患い、定期的に輸血を必要とするある女性患者はメディアに対し、患者は闇業者から「献血証」を買うしかなく、「闇業者がいなかったら、どうすることもできない」と嘆きました。
90年代、中国共産党当局は「血漿経済」を推進し、農民が血液を売って金を稼ぐことを提唱しました。ところが、献血の過程での衛生措置が不十分だったため、多くの献血者がエイズに感染しました。1998年、当局は「献血法」を実施し、無償で献血された血液の販売を禁じ、自発的な無償献血を奨励しました。同時に、1人が1年で献血できる回数を2回までと制限しました。
法令に基づくと、患者が血液バンクの血液を使用する必要がある場合、本人または親族が献血した事があることを証明する「献血証」を提示しなければなりません。さもなければ、病院は患者に血液を提供しません。
これに対し「財新網」は、「献血法」では献血者本人または親族が無料で血液を使用できることを保障しているが、多くの血液管理機構はこの約束を果たすことはできないと指摘しています。ほとんどの地区で「献血証」は、発行地以外では使用できないのです。
ロイター社は、定期的な輸血または大量の輸血を必要とする患者、および親族のいない患者にとっては過酷すぎると指摘。血液不足の隙に乗じ、近年新たな「血液闇業者」が現れました。彼らはサクラを雇い、血液ステーションで献血させたあと、発行された献血証を血液が必要な人に売り渡します。
一方、血液闇業者はメディアに対し、互助献血の規定では「血液を使用できるのは献血者の家族と友人」と定められているが、地方から来た患者は周りに親戚や友人がいないため、最終的に彼らに頼るしかなく、そのうえ医者もほとんど「目をつぶっている」と漏らしました。
中国は膨大な人口を有するものの、献血者は常に不足しており、献血者のほとんどは学生や兵士です。WHO世界保健機関の基準では、献血率が人口の1%に到達すれば、その国の臨床用血液の最低基準を満たすことができます。一方、中国国家衛生計画出産委員会の統計によると、中国の2013年の献血率は0.94%にとどまりました。
中国の献血者数が増えないのはなぜでしょうか。人々のモラルの低下と公共サービスの信用危機が原因であるとの意見が聞かれます。
北京の人権活動家 胡佳さん
「郭美美事件などもあり、赤十字会の義援金はどこに行ったか不明です。義援金の乱用も問題です。中国赤十字会は共産党の管轄下なので、NGOではなく、官僚システムです。義捐金は適切に運用されておらず、まるで政府の衙門のようです。だから赤十字会の信用度は大幅に落ちました」
東南大学法学院 張讃寧教授
「献血者が少ない。主な原因は道徳の滑落にあると思います。全国民が金儲けだけを考え、官僚も上流社会もみな自分のために金儲けをしています。官僚がこの有様であるのに、民衆の考え方が良いはずがありますか?他人のために自発的に献血などすると思いますか」
東南大学の法学教授で、南京市で弁護士を務める張讃寧(ちょうさんねい)さんは、役人になる者が手本を示さないことも原因の一つであると指摘します。
東南大学法学院 張讃寧教授
「大陸で高官の献血者は1人もいません。報道も見たことがなく、ましてや党の指導者が献血することはなおさらです。官僚はみな金目当てで、自分の事だけを考えます。だから民衆も献血を支援しようとしません。これが主な原因です」
慢性的な血液不足を解決するため、地方政府は民衆に献血を奨励し、具体的な奨励法規を打ち出していますが、血液不足は依然として解消されません。大陸メディアによると、新年および冬休みの期間中、多くの都市で血液不足が現れました。四川大学華西(かせい)病院では血液の在庫が不足し、1月だけでも100件以上の手術が延期を迫られました。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/02/24/a1179633.html (中国語)
(翻訳/赤平 ナレーター/佐藤 映像編集/李)