【新唐人2015年07月04日】1000年以上の歴史を誇る甘粛(かんしゅく)省敦煌(とんこう)市にある世界遺産、莫高窟に、大型テーマパークを建設する計画が持ち上がりました。しかし莫高窟は、すでに観光客の増加でダメージを受けており、テーマパークの建設でさらに劣化する恐れがあります。
『ニューヨークタイムズ』の6月16日の報道によると、甘粛省政府と北京の企業は、敦煌の石窟と砂丘をつなぎ、そこを観光パラダイスにするという、巨大テーマパークの建設計画を打ち出しました。甘粛省政府は、このような観光地を20か所建設することを目標にしています。
『ニューヨークタイムズ』の記事によれば、プロジェクトを手がけるのは、観光開発業者の博雅方略諮詢(はくが ほうりゃく しじゅん)集団で、すでに昨年10月に企画書を完成させています。ただし、この企画書はまだ外部に公表されていません。
敦煌研究院で院長を務めて17年になる樊錦詩(はん きんし)さんは、このプロジェクトで莫高窟が破壊されることを案じています。
文化財の保護を目指すNGO組織、北京文化遺産保護センターの何戍中(か じゅちゅう)さんは、これまで当局は莫高窟で金儲けをしてきたと批判し、今回の計画で破壊が進むことを案じています。
中国社会科学院の馬勇(ば ゆう)研究員は、多くの文化財が中共に破壊されたと述べ、敦煌がその二の舞になることを案じています。
中国社会科学院 馬勇・研究員
「今の建築物の文化的価値は破壊された物に及びません。中共は数十年破壊と建設を繰り返してきましたが、一度破壊すれば、二度と取り戻せません。敦煌が破壊されれば、当然災難です」
『ニューヨークタイムズ』によると、石窟の周辺にはトレーラーパークやドライブインシアター、ブドウ園とワイナリーを建設し、砂丘と石窟の間にはホテルやショッピングセンターなどを備えた「シルクロード村」を建設する予定です。
企画書の推計では、2017年には毎年213万人の観光客が訪れ、収入は8000万ドルまで増加すると見込んでいます。
中国社会科学院の馬勇研究員は、これまでの大規模建設は文明の災害をもたらしており、得るものより失うもののほうが多かったと指摘しています。
中国社会科学院研究員 馬勇さん
「このような発展の目標は何なのか。統治者は認識すべきです。発展とは文化を豊かにすることで、低俗な物を建設し、文明を破壊することではありません。これは難しい問題です。このような経済発展で、加減を把握するのは容易ではありません」
北京大学新聞学院の焦国際(しょう こくさい)元副教授は、巨額の観光投資に心を痛めています。
北京大学新聞学院 焦国際・副教授
「なぜ このお金を社会保障に使わないのでしょうか。理解できません。このお金を教育や医療など、社会保障に使うべきだと思います」
莫高窟は、かつて王族が仏に祈るために建造した石窟寺院です。最も古い石窟は1600年の歴史があります。
これらの石窟寺院は中国と中央アジアの境に位置します。かつてはシルクロードの交通の要所でした。しかし今、押し寄せる観光客がこの世界遺産の脅威になることが案じられています。特に5月から10月の間は観光客であふれます。
観光客が増えすぎれば、石窟内の温度や二酸化炭素濃度、湿度が上がります。専門家は、文化財を犠牲にして観光開発をすれば、その利益はすぐに消えるだろうと警告しています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2015/06/30/a1207079.html(中国語)
(翻訳/赤平 ナレーター/村上 映像編集/李)