【新唐人2015年09月13日付ニュース】
ここ数か月、中国の株式市場の激しい揺れに対し、中国政府が立て続けに救済措置をとりましたが、経済崩壊を危惧したパニック対策ではないかと憶測を呼んでいます。一方、各界が中国経済の減速が世界にもたらす影響に注目するなか、イギリスのメディアは、中国は経済リスクより政治リスクを懸念すべきであると指摘しています。
中国の製造業は苦境にあえいでいます。8月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.7と50以下に転落し2012年8月以来最低となりました。上海総合指数もここ2か月で何度も暴落したため、政府は一連の市場救済措置を取りました。たとえば、政府関連部門の、持ち株を減らさない。社会保険組合は買い入れのみで売却をしない。証券会社の資産の自己売却を認めないなどです。しかし、効果は得られていないようです。中国の株式市場のバブル崩壊と経済の減速は世界市場に衝撃をもたらし、外界は中国経済成長の鈍化が長期化することを憂慮しています。
そのなかでイギリス『フィナンシャル・タイムズ』は、中国株式市場の本質は賭博でしかなく、経済全体との繋がりはわずかであり、懸念すべきは経済そのものより、中国の政治が、いかなる影響を経済にもたらすかだとの見方を示しています。
中国の金融アナリスト 任中道さん
「経済は一定のルールに従って動いています。人の意志によって変えられるものではありませんし、世界経済の影響も受けているからです。しかし中国では政治の影響力の方が大きいのです。中国共産党内部闘争の結果よって、社会の発展様式がかわるからです。」
また、評論文では、株式市場の暴落、天津爆発事故などの人為的な災害、失業率の上昇などの要因で、人々の不満がつのり、大規模な民意の反発を生じる可能性がある。中国共産党は民衆の集団事件に極めて敏感で、どのような代償も惜しまずに、抗議が生じるのを回避したい、という考えに注目すべきだと述べています。
中国公安部は最近、株価大暴落と天津爆発事故などに関する「デマ」の拡散容疑で197人を処罰しています。
『NYタイムズ』は、中国共産党のいわゆる「デマの抑制」という手段は、中国経済を傷つけるだけだと指摘しています。
評論文は、中国経済は、投資と製造の主導から、ハイテクとサービス業に転換する重要な時期であるが、中国政府が言論封鎖を止めなければ、より近代化したサービス型経済にはなりえない。経済議論したり情報交換したりするだけで投獄されることもありうる現状では、新しい概念を創造したり、新しい製品を製作したりする会社は存続することが難しいと述べています。
『フィナンシャル・タイムズ』は、日本では70年代、韓国では90年代に、民主的な政権主導により経済のモデル転換を成功させたが、中国では政治の締付けで経済改革がコントロールされてきたので、あまりうまくいっていないと指摘しています。
アメリカの雑誌『中国事務』の編集長・伍凡(ご ぼん)さんは、政府官僚は政治主導で経済システムに深く介入し、直接受益者になっていると指摘しています。
伍凡さん
「政治改革を行わなければ、この現状は変わりません。共産党各クラスの役人が支配しているのです。日本は民主主義なので、制定された法律や政策が、国や社会、民衆の利益に符合しています。中国では逆に政治が経済を衰退させています。」
『フィナンシャル・タイムズ』は国内の経済問題から人々の目をそらすため、ナショナリズムを扇動し、日本、ベトナム、フィリピンなど近隣諸国との領土紛争をエスカレートさせていく可能性があると述べています。
伍凡さん
「中国共産党は政権を維持するために、2つの事に頼っています。一つは経済を向上させこと。二つ目はナショナリズムを利用すること。9・3軍事パレード自身も愛国心を掻き立てようとしています。経済があてにならない時は民族感情を利用し、軍事力で対外拡張して政権を維持しようとしています。」
『フィナンシャル・タイムズ』はまた、「中国共産党が民族感情を利用することは、非常に危険である。領土紛争や海上での軍事衝突がエスカレートすれば、重大な国際事件に発展し、危機的な結果となり、中国と世界の経済に長期的な損害をもたらすだろう。」と伝えています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/09/09/a1222576.html(中国語)
(翻訳/赤平 ナレーター/佐藤 映像編集/李)