HOME > ニュースページ > 事件・事故・災害 > 詳細

法律家が語る中国『行政訴訟法』の真実

2016年02月15日

【新唐人2016年2月15日付ニュース】
 

昨年、上海で起きた数百件の「民告官」(みんこくかん)、いわゆる行政訴訟に関して、政府部門は全部勝訴だったことが、メディアの報道で分かりました。中国で、行政訴訟はなぜこんなに難しいのか。前中国行政法学会副会長程幹遠(てい かんえん)氏がその基にある『行政訴訟法』の成立当時の政府の真の目的を教えてくれます。

 

行政訴訟のことは中国で「民告官」といいます。中国の『京華時報』の1月18日の報道によると、2015年に上海市第三中級法廷が610件の行政案件を受理し、そのうち、上海市政府を被告とする案件は242件、敗訴になったのは「0」(ゼロ)です。

また、四川省法制弁公室によると、昨年、四川省政府を被告とする案件は126件で、政府はすべて勝訴です。

 

統計によると、中国の『行政訴訟法』は1990年から実施され、以来、法廷で受理された行政案件は計161万件、そのうち8万件は原告勝訴で、総数の5%前後、しかし、敗訴側は郷鎮(ごうちん)政府(中国の県級市の末端自治区のこと)に限られています。

中国の『行政訴訟法』の制定に携った著名な法学者、程幹遠氏は、「中国では、民間側の勝訴はほぼ不可能です。なぜなら、当局が『行政訴訟法』を制定する目的は、国民のためではないからです」と言っています。

 

米国在住の著名な法学者、前中国行政法学会副会長程幹遠氏

「制定する背景には『六・四』(天安門事件)に関係して、当時、民間からの不満が爆発寸前だったから政府の腐敗や不正に不満が多く、当局はこの法律の制定によって、安定を求めたのです」

 

程幹遠氏によると、「世界各国の『行政訴訟法』は、人々の権利を保護し、政府権力を監督し制限することを目的とし、いわゆる「権力制限法」です。しかし、中国当局は権力を制限されるのは望んでいないため、「政府の人民管理に役立つ法」の「管理権力法」にした。」と言います。

 

程幹遠氏

「私たちは、当時この法律を制定するときに、立法の目的第一条に『法廷が行政案件をスムーズに受理するため』 『行政機関の行政管理を強化するため」として、本末転倒でした。当初の認識の間違い、目的の間違いで、実際 この法律がもたらした結果は、負の効果がとても大きいことを歴史が証明しました」

 

また、「『行政訴訟法』を制定した当時、当局が法律の裁きを逃れるために、意図的に法律的な概念を曖昧にしています、これも、民間側に十分な理由があり、弁護士に十分な証拠があっても、訴訟に勝てない理由の一つだ」と程幹遠氏は述べます。

 

また中国の現体制では、行政訴訟に関して、政府は被告になれるが、共産党員はなれないという現象が『行政訴訟法』を無としている強調しました。

 

程幹遠氏

「事実上、党を起訴できない。党委書記を起訴できないことです。けれど決定するのは党委書記です。行政側は執行するだけ。政府の名義で執行し、実際に違法行為を行ったのは党です。でも行政訴訟は党に影響できない、あっても意味がない訳です。しかも、あらゆる手段で権威を維持するため、政府を敗訴させるわけにもいかないのです」

 

中国での行政訴訟は立案が難しい、勝訴が難しい、執行が難しいと「三難問題」になり民間の不満が大きくなっています。2014年11月1日、全国人民代表大会委員会で初めての『行政訴訟法』改正が行われ、行政区画法廷である「上海市第三中級法廷」が設立されました。その目的は、行政訴訟の地方保護の打破と法廷判決への圧力排除です。

 

しかし、問題の根本は制度にあり、立法の目的が変わらない限り、すべては表面作業に過ぎないと程幹遠氏は述べています。上海市第三中級法廷の設立以来、行政訴訟の案件は十数倍にも増えましたが、相変わらず政府側はゼロ敗訴です。

 

新唐人テレビがお伝えしました。

 

http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2016/02/12/a1252328.html (中国語)

 

(翻訳/小松 ナレーター/大口 映像編集/李)

トップページへ