【新唐人2016年11月08日ニュース】
最近発表された中国の「老人失踪」に関する調査報告によると、中国では毎年約50万人、一日平均1300人を超える老人が失踪しています。なぜ膨大な人数の老人が失踪しているのか、この状況は改善できるのか、その原因と改善策を巡って学者たちの意見を聴いてみましょう。
中国民生部に属する中民社会救助研究院は10月9日、“中国老人失踪状況白書”を発表しました。同白書によると、毎年失踪している老人がおよそ50万人、一日平均1370人を超えます。
うち、農村部と中小都市の留守老人の失踪が特に深刻で、それぞれ全体の36%と46%を占めました。大都市で失踪した8割の老人は見つかりましたが、農村部は5割に及びません。失踪者のうち、死亡率は約10%を占めます。
同白書の執筆者、中民社会救助研究院の熊貴彬(ゆう きひん)さんは、老人失踪の主な原因は痴呆症だが、老人に対する配慮不足や貧困も失踪のリスクを高めていると説明しています。
中国労働関係学院、王江松(おう こうしょう)教授は、中国共産党が40年間実施した一人っ子政策や社会年金補償の欠如が一連の老人問題を引き起こしていると指摘しています。
中国労働関係学院 王江松教授:「そもそも社会の経済発展で、寿命延長や老齢化はゆっくりとした過程ですが、中国では一人っ子政策の為にこの過程が加速されました。しかし対応すべき老齢化への措置、制度や社会供給が欠如しており、両者のギャップが老人失踪が増えている根本原因です。」
中国人民大学社会学の周孝正(しゅう こうせい)教授はラジオ・フリー・アジアの取材を受け、近い将来中国の人口のうち5億人が老人で、老後の生活保障が社会最大の問題になるとコメントしています。
“老人を養う”、“老後の為に子供を育てる”と言った中国人の伝統的な考え方は、高度経済成長につれ打ち破れ、“利益を重んじ礼を軽んじる”ように変わりつつあります。孔子の弟子、子路が百里離れた所から親の為に米を背負ってきた親孝行の故事が、中国共産党統治下の若者に道徳手本になることはもう難しいのです。
武漢大学が発表した農村の老人の自殺に関する調査報告の中で、驚くべき話があります。出稼ぎに出ている息子が7日間の休暇をとり、危篤の父親に会いに帰ってきました。二、三日経っても父親に亡くなる兆候が見えないと、息子は「死ぬのか死なないのか?7日の休みに葬儀の時間も入れているのに」と言いました。父親はその後、自殺しました。
王江松教授:「過去の『孝』文化はすでに瓦解しました。若者は生きる為に外へ出て奔走し、もう親孝行する時間も心の余裕もありません。もちろんこれには深刻な経済政治と社会背景があります。社会全体の体制が変わらない限り、この様な道徳の滑落現象は長いこと続くと思います。」
王江松教授は、ここ30年、中国は市場化、工業化、都市化に変わりつつあるものの、都市と農村は依然として分割された二元的社会構造だと指摘しています。都市人口は基本的な社会保障がありますが、農村では年金、医療保険、失業など各種の保障が充実しておらず、高齢者の老後が保障されていません。
王江松教授:「彼らは流浪し街頭で物乞いしています。孤独で身の回りを世話する人もいません。老人がいなくなる現象は彼が逃げ道を求めた結果で、ある者は自殺、ある者は流浪、犯罪組織が老人を連れ去り、物乞い行為に利用することも原因の一つです。」
また、中国政府が推進した一人っ子政策も原因の一つです。当初政府は、一人っ子政策が生み出した2千万人の「失独老人(たった一人の子供を亡くした親)」の老後を保障すると約束しましたが、実現しておらず、多くの「失独者」は何年も陳情してきましたが相手にされていません。
2013年、中国共産党は高齢者の権益保障についての法律を通過させ、老人が直面している苦境解決を試みましたが、本当に解決できたのでしょうか?
米国在住の作家 何哲さん:「解決できません。中国は共産党が執政しており、人民の為に働く党ではないからです。共産党は自分の為に働く党なので、老人問題を解決する事は出来ません。」
また何哲(か てつ)さんは、老人の老後保障は国家の政治制度によるものなので、中国共産党政権が崩壊しない限り、改善は期待できないとコメントしました。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2016/10/29/a1293794.html(中国語)
(翻訳/赤平 ナレーター/佐藤 映像編集/李)